世界ランキング36位の錦織選手は21日、準決勝で、去年8月にアメリカで行われたツアー大会で敗れた世界4位、ドイツのアレクサンダー・ズべレフ選手と対戦しました。錦織選手は第1セット、サーブやストロークにミスが出たところを相手に攻め込まれて3ー6で取られましたが、第2セットは立ち上がりからストロークに正確さが戻り、相手のサービスゲームを連続でブレークして6-3で奪い返しました。
最終の第3セットでは、相手の200キロを超える力強いサーブや伸びのあるストロークに苦しみながらも集中力を切らさず、持ち味の多彩なショットで相手を揺さぶって6ー4で奪い、セットカウント2対1で逆転勝ちしました。
錦織選手は、マスターズ大会ではおととし7月に準優勝したカナダでのトロント大会以来、2シーズンぶりの決勝進出です。
錦織選手は、マスターズ大会初優勝を目指して、22日に行われる決勝で、世界ランキング1位のスペインのラファエル・ナダル選手と対戦します。
錦織「最後まで集中できた」
錦織圭選手は試合後のインタビューで「久しぶりに決勝の舞台に戻ってこられてうれしい。特に大事な大会で決勝まで来られたのは大きい」と話し、ツアー全体としても1年2か月ぶりとなる決勝進出を喜びました。
準決勝を振り返り、「第1セットもいいテニスはできていたので、集中力を保ってプレーすればチャンスがくると思っていた。最終の第3セットは我慢の展開の中、絶対にサービスゲームをキープすることを意識した。きょうは本当に最後まで集中してできた」と勝因を述べました。
また、試合後の記者会見で「決勝までこれたのはすごく大きな自信になる。プレー内容もよくなってきていて、トップ10の選手に勝てているので、自信をもってプレーしていいと思う。この楽しみなシーズンに向けていいスタートできている」と手応えを口にしました。
痛みを抱える右手首の状態については、「クレーコート独特のスピンの量などで違った手首の使い方をするので、休んでいた時期に動かしてなかった手首だけではなく、手のいろいろなところの関節なども痛む。痛みには慣れてきたが、こればかりは治るのに時間がかかると思う」と話しました。
そのうえで22日のナダル選手との決勝に向けては「彼の試合を見ていると、みんな試合中に振り回されている。それに対応するためにもなるべく自分から仕掛けることが重要だと思う。あまり考えなくてもショットが自然と入ってくれるような感覚は戻ってきているので、決勝は勝てるよう頑張りたい」と話し、悲願の初優勝に向けて意気込んでいました。
男子ツアーのマスターズ大会とは
テニスの男子ツアーのマスターズは、賞金額や世界ランキングに反映される獲得ポイントにおいて四大大会に次ぐ格付けの大会です。
年間9つの大会があり、モンテカルロ大会以外は、前年の世界ランキング30位以内の選手は原則的に出場が義務づけられています。
錦織選手はマスターズの決勝に2014年に1回、おととし2回の合計3回進んでいますが、いずれも敗れていて準優勝が最高成績で、四大大会とともにマスターズの制覇を目標に掲げています。
決勝で対戦のナダル選手とは
錦織圭選手が決勝で対戦するスペインのラファエル・ナダル選手は、31歳。
現在、世界ランキング1位で、ツアー通算で優勝75回、このうち四大大会で優勝16回を果たし、スイスのロジャー・フェデラー選手と共に長年にわたって男子テニスをけん引しています。
スピンを多くきかせ変則的な球筋を生むストロークと強じんなスタミナが特長で、長いラリーが多くなるクレーコートで圧倒的な強さを発揮します。
四大大会の優勝16回のうち、クレーコートの全仏オープンで10回を数え、このマスターズモンテカルロ大会でも10回の優勝を誇ります。
錦織選手は過去の対戦で2勝9敗と大きく負け越していて、クレーコートでは3回対戦しすべて敗れています。