東日本大震災の
津波で
犠牲になった
宮城県石巻市の
大川小学校の
児童の
遺族が
起こした
裁判で、
石巻市は
2審の
判決を
不服として
上告する
方針を
固め、
7日、
承認を
求める臨時市議会の
招集を
申し入れました。
石巻市の
大川小学校では、
津波で
児童74人と
教職員10人が
犠牲になり、
このうち23人の
児童の
遺族が
起こした
裁判では、
4月、
2審の
仙台高等裁判所が、
事前の
学校の
防災対策に
不備があったことを
認め、
石巻市と
宮城県に対し
1審より
多い14億3000万円余りの
賠償を
命じる判決を
言い渡しました。
石巻市はこの判決を不服として上告する方針を固め、7日午前、亀山紘市長が市議会の丹野清議長に対し、上告の承認を求める臨時議会の招集を申し入れました。
亀山市長は報道各社に対し「津波が予測可能だったという2審の判断は科学的な根拠に欠けると思うし、教職員に専門家並みの防災知識を求めることも難しいと思っている。多くの犠牲を教訓に津波防災の取り組みを進めていく一方で、裁判については上告という判断をした」と述べました。
上告の期限は5月10日で、市議会の臨時議会は8日に招集される見通しです。
遺族側代表「憤り感じる」
石巻市が上告する方針を固めたことについて、遺族側の代表を務める今野浩行さんは「高裁の判決は未来の子どもの命を守るためのもので、一体何が不服で上告するのか憤りを感じる」と述べました。
そのうえで、臨時の市議会について「市民の代表である議員には、子どもの命に真剣に向き合い、同じ悲劇を絶対に繰り返さないという使命感を持って議会に臨んでもらいたい」と話していました。
村井知事「市長の考えを尊重したい」
宮城県の村井知事は記者会見で、7日朝に石巻市の亀山市長から電話で報告を受けたことを明らかにしたうえで、「遺族の気持ちが十分わかるとともに、行政を預かる立場としての判断もあり、葛藤があったと思う。市長の考えを尊重したい」と述べ、上告について市の決定に従う考えを示しました。
そして、対応について説明するため、県議会に対し、9日に全員協議会を開くよう申し入れたことを明らかにしました。