反則行為をした日大の宮川泰介選手は22日午後、都内で記者会見を開き、反則行為に至った経緯などを説明しました。
「監督が “相手つぶせば出してやる”」
この選手は「試合前日の練習後、コーチから、お前をどうしたら試合に出せるか監督に聞いたら相手のクオーターバックの選手をワンプレー目でつぶせば出してやると言われた。『クオーターバックの選手をつぶしに行くので使ってください』と監督に言いに行け。相手がけがをして秋の試合に出られなかったらこっちの得だろうと言われた」と、試合前日のやり取りについて説明しました。
「監督 “やらなきゃ意味ないよ”」
反則行為のあった試合前の内田前監督とのやり取りを明らかにし、「私は監督に対して直接『相手のクオーターバックを潰しに行くので使ってください』と伝えました。監督からは『やらなきゃ意味ないよ』と言われました」と話しました。
「コーチが “できませんでしたじゃ すまされないぞ”」
さらに「試合当日、コーチに『クオーターバックの選手に突っ込みますよ』と確認したら『思いきり行ってこい』と言われた。さらに、試合前の整列のときもコーチが近づいてきて『できませんでしたじゃ、済まされないぞ。わかってるな』と念を押された」と説明しました。
また「本件直後はなにも考えられない状態でした。そのため相手のクオーターバックがけがをして代わったことにも気付いていませんでした。ふだんの試合でこんなことはありえません」と話しました。
「追い詰められ やらない選択肢なかった」
反則行為をやめることを考えなかったのかという質問に対し、この選手は「あのときの自分はそういうことは考えられなかった。1週間前から追い詰められていたのでやらないという選択肢はなかった」と話しました。
監督やコーチからの反則行為を指示するような指導については「僕が言える立場ではない。同じようなことが起きないようにと願っています」と話しました。
「監督に信頼あったかわからない」
内田前監督については「直接話をする機会はなく、意見を言える環境ではない」と話し、信頼はあったのかと問われると「そもそも話しをする機会がないので信頼があったのかはわからない」と言葉少なく語りました。
厳しさに理不尽さはあったのかという質問には「理不尽な部分もあったかもしれないですが練習のキツさも含めて去年の結果が出たと思っているので、みんな理不尽なことがありながらも練習をしていると思う」と話しました。
「公表求めたが大学に断られた」
一方、この選手は「大学が謝罪文を公表した翌日の今月11日に、監督とコーチ、私と両親で面会した。父が『監督・コーチがクオーターバックの選手にケガを負わせろと指示を出し、選手はそれに従っただけだ』と公表することを求めたが断られた」と話しました。
18日に被害の選手に謝罪
また「5月18日に私と父で関西学院大学アメフト部のクオーターバックの選手とその両親を訪問し、直接謝罪の意を伝えました」と話し、内田前監督が行う前日に被害を受けた相手選手への謝罪に赴いていたことを明らかにしました。
「アメフト続ける権利ない」
この選手は「試合があった1週間を通して監督とコーチ陣からのプレッシャーがあったにしろ、自分で正常な判断をするべきだった」と自身の行動を顧みました。
そして「アメリカンフットボールは高校の頃から始めたが、とても楽しいスポーツだなと思い、熱中していた。大学に入って厳しい環境に身を置くことになり、アメリカンフットボールがあまり好きではなくなってしまった」と話しました。
そのうえで、今後、競技を続けるかどうかについては「アメリカンフットボールを続けて行く権利はないと思っているし、この先続けるつもりはない」と話しました。
「被害届 出されて当然」
この問題でけがをした関西学院大の選手は警察に被害届を出し、21日会見したこの選手の父親は「息子になぜあのようなことをしたのか。真相を究明してほしい」と話しています。
これに対しては「(被害届は)出されてもしかたないと思う。相手の選手や家族にとっては当然のことだと思う」と話しました。
「真実明らかにすることが償いの第一歩」
記者会見の最後にこの選手は「真実を明らかにすることが償いの第一歩だと決意して、この陳述書を書きました」と話し、「私の行為によって大きなご迷惑をおかけした関係者の皆様に、改めて深くおわび申し上げます」と頭を下げて再び謝罪しました。
日大広報担当者「お話しすることはございません」
反則行為をした日大の選手が記者会見を行って、前監督やコーチから反則行為を指示されたことを明らかにしたことについて、日大の広報担当者は報道陣に対して「お話しすることはございません。会見を開くかどうかは未定です」と話しました。
この問題をめぐっては、けがをした関西学院大の選手が21日、警察に被害届を出して受理され、日大が24日までに学内の調査結果をまとめ、関西学院大に回答する方針です。
今月6日の日本大学と関西学院大学の試合を主催した関東学生連盟は、日大の選手のタックルを重大な反則行為だとして、弁護士などをメンバーとする規律委員会を設けて事実関係の調査を進めています。
規律委員会はこれまでに、反則行為をした日大の選手や辞任した日大の内田正人前監督のほか、けがをした関西学院大の選手などに聞き取りを行いました。
規律委員会は今後、日大の選手が反則行為に及んだ理由や処分の内容などについて調査結果をまとめることにしており、関東学生連盟は規律委員会からの報告を受けて、早ければ今月中にも臨時の理事会を開き最終的な対応を決定することにしています。