スー・チー氏し「ロヒンギャ問題もんだい解決かいけつには時間じかんかかる」

少数しょうすう派はのイスラム教徒きょうと、ロヒンギャの人ひとたち、推計すいけいで70万まん人にんが隣国りんごくバングラデシュへの避難ひなんを余儀よぎなくされている問題もんだいをめぐり、スー・チー氏しは人権じんけん侵害しんがいについての国連こくれんによる調査ちょうさを拒否きょひしていることなどから、国際こくさい的てきな批判ひはんを浴あびてきました。

７なな日にちのインタビューで、スー・チー氏しは「これは数すう世紀せいき前まえから続つづく問題もんだいであり、ミャンマー国内こくないでさえ、歴史れきし的てきな背景はいけいをすべて理解りかいしている人ひとはほとんどいない。何なにが起おきていて、なぜ対策たいさくをとらなければならないか、まずは、ミャンマーの国民こくみんが理解りかいできることが最もっとも重要じゅうようだ」と述のべ、国民こくみんの間まにロヒンギャの人ひとたちに対にたいする根強ねづよい差別さべつ感情かんじょうもある中なかで問題もんだいの解決かいけつには時間じかんがかかるという認識にんしきを示しめしました。

そのうえで、ロヒンギャの避難ひなん民みんのミャンマー側がわへの帰還きかんが進すすまない現状げんじょうについて「ミャンマーは果はたすべき責任せきにんはすべて果はたしてきた」と述のべ、ロヒンギャの人権じんけん保護ほごに消極しょうきょく的てきだという批判ひはんはあたらないと反論はんろんしました。

そして、今後こんごは、ミャンマー政府せいふが主体しゅたいとなって人権じんけん侵害しんがいについての調査ちょうさを進すすめ、国連こくれんの支援しえんも得えながら帰還きかんの手続てつづきを進すすめることで問題もんだいの解決かいけつにつなげたいという考かんがえを示しめしました。

また、議会ぎかいの議席ぎせきの４よん分ぶんの１いちが軍ぐんに割り当わりあてられるなど、依然いぜんとして軍ぐんが政権せいけん運営うんえいに強つよい影響えいきょう力りょくを持もっていることについて「軍ぐんの影響えいきょう力りょくがミャンマーが抱かかえる課題かだいを複雑ふくざつにしているというのが実情じつじょうだ。ミャンマー政府せいふは、真しんに民主みんしゅ的てきな国家こっかのように、軍ぐんをコントロールすることができない」と述のべ、民主みんしゅ化かの実現じつげんや、少数しょうすう民族みんぞくの武装ぶそう勢力せいりょくとの和平わへいに向むけて、軍ぐんとの調整ちょうせいで苦慮くりょしていることをにじませていました。

最後さいごに、ロヒンギャの人ひとたちをめぐる問題もんだいに対にたいする日本にっぽんの関かかわりについて「有益ゆうえきで現実げんじつ的てきな支援しえんをしてきてくれたことに感謝かんしゃしている。今後こんごも両国りょうこくの友好ゆうこう関係かんけいを重視じゅうししている」と述のべたうえで、経済けいざい面めんも含ふくめた日本にっぽんからの支援しえんに期待きたいする考かんがえを示しめしました。

スー・チー政権せいけん２に年余ねんよ 問とわれる手腕しゅわん

ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家こっか顧問こもんが事実じじつ上じょうのトップを務つとめる政権せいけんが発足ほっそくしてから２に年ねん余あまりとなります。民主みんしゅ化かの象徴しょうちょう的てきな存在そんざいとして今いまも国民こくみんから高たかい支持しじを得えていますが、ロヒンギャの避難ひなん民みんへの対応たいおうなどを疑問ぎもん視しする声こえも出でていて、その手腕しゅわんが問とわれています。

ミャンマーでは50年ねん以上いじょうにわたって続つづいた軍ぐんが強つよい影響えいきょう力りょくを持もつ政権せいけんに代かわって、おととし３月さんがつ、民主みんしゅ化か勢力せいりょくが主導しゅどうする政権せいけんが発足ほっそくし、事実じじつ上じょうのトップとしてスー・チー氏しが国家こっか顧問こもんに就任しゅうにんしました。

スー・チー氏しは民主みんしゅ化かの象徴しょうちょう的てきな存在そんざいとして今いまも国民こくみんから高たかい支持しじを得えているほか、好調こうちょうな内需ないじゅに支ささえられ高たかい経済けいざい成長せいちょうも続つづいています。

一方いっぽうで、少数しょうすう派はのロヒンギャの住民じゅうみん、およそ70万まん人にんが隣国りんごくバングラデシュへの避難ひなんを余儀よぎなくされている問題もんだいをめぐっては、治安ちあん部隊ぶたいによる迫害はくがい行為こういが指摘してきされる中なか、事実じじつの解明かいめいや人権じんけんの保障ほしょうは進すすんでいません。

背景はいけいには、ロヒンギャの人ひとたちに対にたいするミャンマー国民こくみんの根強ねづよい差別さべつ感情かんじょうや、議会ぎかいの４よん分ぶんの１いちを占しめる軍ぐんが今いまも強つよい影響えいきょう力りょくを持もつといった現状げんじょうなどがあると見みられていますが、国際こくさい社会しゃかいからの批判ひはんが強つよまっています。

こうした中なか、先月せんげつ31日にち、ミャンマー政府せいふは、バングラデシュに避難ひなんしているロヒンギャの住民じゅうみんの帰還きかん手続てつづきに国連こくれんが関与かんよしていくことを発表はっぴょうしました。

ロヒンギャの避難ひなん民みんをめぐる問題もんだいについて、国連こくれんの関与かんよを受け入うけいれることによって問題もんだいの解決かいけつに取り組とりくんでいる姿勢しせいを示しめす狙ねらいがあると見みられます。

さらに、スー・チー氏しがかかげる「民主みんしゅ主義しゅぎ」の在り方ありかたが問とわれる事態じたいも相次あいついでいます。新しん政権せいけんが発足ほっそくしたあと、政府せいふを批判ひはんした雑誌ざっしの編集へんしゅう者しゃなどが次々つぎつぎと逮捕たいほされたほか、去年きょねん12月つきには、ロヒンギャの人権じんけん問題もんだいを取材しゅざいしていたロイター通信ろいた-つうしんのミャンマー人じん記者きしゃが機密きみつ文書ぶんしょを不正ふせいに入手にゅうしゅしたとして逮捕たいほされ、言論げんろんの自由じゆうをめぐる状況じょうきょうに懸念けねんが広ひろがっています。

軍ぐんが今いまも影響えいきょう力りょくを持もつ中なかで、民主みんしゅ化かの象徴しょうちょう的てきな存在そんざいとして、今後こんご、真しんの民主みんしゅ化かを実現じつげんさせることができるのか、スー・チー氏しの手腕しゅわんが問とわれています。