北海道石狩市の
港では、ことし
2月から50
頭を
超えるトドの
群れが
現れるようになり、
最盛期を
迎えたカレイ
漁で
網に
入った
魚を
食い荒らされる
などの
被害が
出ています。トドの
群れがいるのは
石狩市の
石狩湾新港で、
4日は
岸壁から
3キロほど
離れた
防波堤で50
頭余りが
寝そべったり、
水の
中へ
飛び込んだりしていて、
大きいものは
体長3メートルほどもあります。
この周辺ではカレイ漁が最盛期を迎えていますが、トドによる漁業被害が深刻となっています。
地元の漁業者の秋雅士さん(53)は4日朝、漁に出ましたが、トドが網を食いちぎり中に入って魚を食い荒らすなどして、水揚げ量は例年の20分の1の20キロだったということです。
秋さんは「トドが網の中に入り、まさに『カレイ食べ放題』の状態だ。対策する手立てがなく、網の購入費や補修費で200万円から300万円の損失がでている」と話していました。
北海道で「海のギャング」と言われるトドは各地で深刻な漁業被害をもたらしていて、平成28年度の漁業被害は11億円余りに上っています。
一方で、個体数の減少から「準絶滅危惧種」に指定されているトドは駆除する頭数に制限があり、トドの保護と漁業被害の防止の両立が課題となっています。
専門家「駆除の影響で港に現れる」
石狩市の港の防波堤にトドの群れが現れるようになった背景について、トドの生態に詳しい水産研究・教育機構北海道区水産研究所の服部薫グループ長は「これまでも石狩湾にトドは来ていたが、居ついていた岩礁で近年、駆除が行われるようになったため、ことしは港の防波堤に上がるようになったとみられる」と分析しています。
そのうえで、今後について「トドは、繁殖のため徐々にオホーツク海周辺に北上するとみられるため、6月までにはほとんどいなくなるのではないか」と話しています。