シーサイドライン逆ぎゃく走はし事故じこ 「自動じどう運転うんてん装置そうちに不ふ具合ぐあいの可能かのう性せい」

警察けいさつによりますと、およそ30人にんの乗客じょうきゃくのうち20代だいから80代だいの男女だんじょ14人にんが重軽傷じゅうけいしょうを負おいました。

この事故じこについて、２に日にち午後ごご、運行うんこう会社かいしゃの「横浜よこはまシーサイドライン」が改あらためて記者きしゃ会見かいけんし、三上みかみ章彦あきひこ社長しゃちょうが「現時点げんじてんで原因げんいんの特定とくていはできていない」と述のべました。

そのうえで、駅えきと車両しゃりょうの双方そうほうにある『ＡＴＯえいてぃ-お-』と呼よばれる自動じどう運転うんてんを担になう装置そうちのうち、駅えき側がわの装置そうちでは進行しんこう方向ほうこうの切り替きりかえが正常せいじょうに行おこなわれたという信号しんごうを受信じゅしんしていたことを明あきらかにしました。

これまでのところ車両しゃりょうそのものの異常いじょうは確認かくにんされていないことなどから、会社かいしゃは、この『ＡＴＯえいてぃ-お-』の信号しんごうを送受信そうじゅしんするシステムに何なんらかの不ふ具合ぐあいが生しょうじた可能かのう性せいがあるという見方みかたを示しめしました。

また、会社かいしゃによりますと、シーサイドラインの運転うんてん再開さいかいのめどはいまだ立たっておらず、３さん日にちも再開さいかいできなければ、バスによる振り替ふりかえ輸送ゆそうを行おこなうということです。

事故じこをめぐっては、国くにの運輸うんゆ安全あんぜん委員いいん会かいも原因げんいん究明きゅうめいのため鉄道てつどう事故じこ調査ちょうさ官かんを派遣はけんし、当時とうじの状況じょうきょうを詳くわしく調しらべています。

自動じどう運転うんてんの仕組しくみ

シーサイドラインは、本社ほんしゃにある運輸うんゆ司令しれい所しょの運行うんこう管理かんり装置そうちと呼よばれるコンピューターにダイヤが登録とうろくされていて、運行うんこうするすべての列車れっしゃの動うごきを集中しゅうちゅう管理かんりし、無人むじん運転うんてんを行おこなっています。

各かく列車れっしゃには「車くるま上じょうＡＴＯえいてぃ-お-＝自動じどう列車れっしゃ運転うんてん装置そうち」が、地上ちじょう側がわには「駅えきＡＴＯえいてぃ-お-」がそれぞれ備そなえられ、行き先ゆきさきや出発しゅっぱつなどの制御せいぎょ情報じょうほうをやり取やりとりをしています。

発車はっしゃから走行そうこう中ちゅうの速度そくどの制御せいぎょ、停車ていしゃまでの一連いちれんの操作そうさはＡＴＯえいてぃ-お-によって自動じどうで行おこなわれます。

そして、終点しゅうてんの駅えきに到着とうちゃくしたあとは、地上ちじょう側がわのＡＴＯえいてぃ-お-が車両しゃりょうの進行しんこう方向ほうこうを切り替きりかえるよう指示しじを出だし、車両しゃりょう側がわのＡＴＯえいてぃ-お-から切り替きりかわったという信号しんごうを受信じゅしんすると、折り返おりかえし出発しゅっぱつできる状態じょうたいになるということです。

会社かいしゃの会見かいけんによりますと、今回こんかい、地上ちじょう側がわの装置そうちでは、進行しんこう方向ほうこうが正常せいじょうに切り替きりかわったという信号しんごうを確認かくにんしていて、その後そのご、出発しゅっぱつの指示しじが出だされたということです。

一方いっぽう、車両しゃりょう側がわのＡＴＯえいてぃ-お-の記録きろくはまだ確認かくにんできていないということです。

専門せんもん家か「車両しゃりょう側がわのシステム 調しらべる必要ひつよう」

新しん交通こうつうシステムの運行うんこう管理かんりに詳くわしい日本にっぽん大学だいがく鉄道てつどう工学こうがくリサーチセンターの綱島つなじま均ひとし教授きょうじゅは、列車れっしゃが逆ぎゃく走はししたことについて「終点しゅうてんに到着とうちゃくしたあと、進行しんこう方向ほうこうが切り替きりかわっていないのに、正常せいじょうに切り替きりかわったという誤あやまった信号しんごうが出でて出発しゅっぱつした可能かのう性せいがある。さらに、異常いじょうを検知けんちし列車れっしゃを止とめることができなかったことも問題もんだいで、車両しゃりょう側がわのシステムに不ふ具合ぐあいがなかったか調しらべる必要ひつようがある」と指摘してきしています。

そのうえで、「国内こくないの新しん交通こうつうシステムで、逆ぎゃく走はしした事故じこは過去かこに例れいがなく、今回こんかいの事故じこは自動じどう運転うんてんへの信頼しんらいを揺ゆるがすものだ。国くにが鉄道てつどうでの自動じどう運転うんてんの拡大かくだいに向むけた検討けんとうを進すすめている中なかで、今回こんかいの事故じこの原因げんいんを解明かいめいして早急そうきゅうに対策たいさくを講こうじる必要ひつようがある」と話はなしています。

鉄道てつどう事故じこ調査ちょうさ官かん「逆ぎゃく走はし事故じこはこれまで聞きいたことがない」

国くにの運輸うんゆ安全あんぜん委員いいん会かいは、２に日にち未明みめいに続つづいて日にち中ちゅうも鉄道てつどう事故じこ調査ちょうさ官かんを派遣はけんし、詳くわしい状況じょうきょうを調しらべました。

この調査ちょうさについて、岩田いわた信晴のぶはる鉄道てつどう事故じこ調査ちょうさ官かんが夕方ゆうがた、報道陣ほうどうじんの取材しゅざいに応おうじ、「新しん交通こうつうシステムでの逆ぎゃく走はし事故じこというのはこれまで聞きいたことがなく、今いまの時点じてんでは、原因げんいんについて、すべての可能かのう性せいを検討けんとうし分析ぶんせきしていく必要ひつようがある。データの解析かいせきなどを進すすめるが、１いち日にちや２に日にちで原因げんいんが特定とくていできるものではない」と述のべました。

今後こんご、運輸うんゆ安全あんぜん委員いいん会かいでは、自動じどう運転うんてんのための重要じゅうような装置そうちや基板きばんが集あつまる車両しゃりょうの床下ゆかしたの部分ぶぶんを調査ちょうさしたり、乗客じょうきゃくから話はなしを聞きいたりして原因げんいんの究明きゅうめいを進すすめるということです。

シーサイドライン 平成へいせい元年がんねんに開業かいぎょう

シーサイドラインは、平成へいせい元年がんねんに開業かいぎょうした「新しん交通こうつうシステム」と呼よばれる交通こうつう機関きかんで、横浜よこはま市し磯子いそご区くの新しん杉田すいた駅えきと金沢かなざわ区くの金沢かなざわ八景はっけい駅えきを結むすぶ全長ぜんちょう10.6キロの路線ろせんです。

横浜よこはま市しなどが出資しゅっしする第だい三さんセクター「横浜よこはまシーサイドライン」が運営うんえいしていて、経費けいひの節減せつげんと運行うんこうの安全あんぜん性せいを高たかめるためとして、すべての車両しゃりょうに無人むじん運行うんこうのシステムが導入どうにゅうされています。

会社かいしゃの説明せつめいによりますと、ことし４月しがつの１いち日にち当あたりの乗車じょうしゃ人員じんいんは５ご万まん4000人にん余あまりに上のぼったということです。

また、14ある停車ていしゃ駅えきのうち、今回こんかい事故じこが起おきた新杉田しんすぎた駅えきの１いち日にちの平均へいきん乗車じょうしゃ人員じんいんはおよそ１いち万まん6600人にんとなっています。

このほか、週末しゅうまつには「横浜よこはま・八景はっけい島とうシーパラダイス」に向むかう人ひとなどが乗車じょうしゃし、通勤つうきん・通学つうがくだけでなく行楽こうらく客きゃくの足あしとしても利用りようされています。