山縣選手は、男子100メートルで日本歴代3位となる10秒00の自己ベストを持つ日本を代表するスプリンターの1人で、今月27日に福岡市で開幕する日本選手権では連覇を目指していました。
関係者によりますと、山縣選手は数日前に胸の周辺に痛みを感じたため、病院で検査を受けたところ、肺の病気の一つ、気胸と診断されたということです。
気胸は、肺から空気が漏れ出し、肺を包む膜の中に空気がたまる病気で、息を吸っても肺が広がりにくく、症状によっては呼吸がうまくできない場合などがあります。
山縣選手は、入院や手術の予定はないということで、世界選手権の出場を目指しことし8月以降のレースで復帰したいとしています。
ことしの日本選手権は、100メートルで連覇を目指す山縣選手とともに、今月、9秒97の日本新記録をマークしたサニブラウンアブデル・ハキーム選手や、前の日本記録保持者で9秒98の自己ベストを持つ桐生祥秀選手などによる、例年を上回るハイレベルな争いが予想され、大会史上初の9秒台の決着となるのかなど、大きな注目が集まっていました。
山縣選手は、日本選手権に8年連続で出場していて、欠場は今回が初めてです。
山縣「大変悔しく残念」
日本選手権を欠場する山縣亮太選手は20日午後、自身のツイッターを更新し、「今年の日本選手権は気胸になってしまい、欠場することに致しました。応援してくださる皆様に元気な姿を見せられないのは大変悔しく、残念ですがまずは安静にして治癒に励み、また目指す場所に向けてしっかり取り組みたいと思います」とコメントしました。
山縣亮太選手とは
山縣亮太選手は、広島県出身の27歳。リオデジャネイロオリンピック男子400メートルリレーで銀メダルを獲得したメンバーの1人です。
勢いのあるスタートから、スピードを維持してフィニッシュにつなげる走りが持ち味で、去年のアジア大会では当時の日本歴代2位で自己ベストに並ぶ10秒00の好タイムをマークして銅メダルを獲得しました。
桐生祥秀選手、サニブラウンアブデル・ハキーム選手と、日本選手が相次いで10秒の壁を破るなか、山縣選手はおととし、去年と立て続けに10秒00をマークしていて日本選手3人目の9秒台に最も近い存在です。
気胸はほかの選手にも…
気胸とは肺に穴が空くなどして空気が漏れ出し、肺を包む膜の中に空気がたまる病気です。
息を吸っても、肺が広がりにくいことから胸の痛みや呼吸困難などの症状があります。原因としては、やせ形の男性を中心に自然に発生するケースが最も多いということです。
スポーツ界では、サッカー日本代表の長友佑都選手が、去年10月の試合中に相手のクロスボールが胸に当たって呼吸困難に陥り、気胸と診断されて手術を受けました。
長友選手は、この約1か月後には試合にフル出場するなど復帰を果たしています。
また、陸上では、男子3000メートル障害で日本記録を持つ岩水嘉孝さんが大学4年の箱根駅伝の直前に気胸と診断されて入院したほか、男子50キロ競歩では谷井孝行さんがロンドンオリンピックの競技中に気胸の影響で途中棄権した例があります。