消防や警察が捜索した結果、女性は26日午前8時半ごろ、相馬市尾浜の海水浴場で遺体で見つかりました。
関係者によりますと、女性は大雨で避難するため30代の息子と一緒に勤務先のホテルに向かう途中だったとみられ、2人が乗っていた車もホテルの近くで見つかったということです。
息子の行方はわかっておらず、自衛隊や警察が海岸や海の中の捜索を進めています。
相馬市では、25日午後10時10分までの6時間で、平年の10月1か月分を超える雨量を観測する記録的な大雨となり、広い範囲で浸水の被害が発生していました。
親戚「亡くなったと聞いて驚いている」
亡くなった60代の女性の親戚にあたる77歳の男性は「東日本大震災の前はすぐ近くに住んでいたけど、その後は2人で少し遠くに引っ越していたので最近はあまり会ってなかったが、亡くなったと聞いて本当に驚いている」と話していました。
73歳の妻は、女性の息子が依然として行方不明になっていることについて「これまで2人で仲よく暮らしていたので、早く見つかってほしい」と話していました。
また、隣の家に住んでいる75歳の男性は「亡くなったと聞いてびっくりしているしまだ信じられない。けんかしたところを見たことがなく、母親が息子を車に乗せて出かけることもあり、とても仲がいい親子だった」と話しています。
夕方以降 複数の川の水位が急上昇
2人が乗っていた車が見つかったのは小泉川の近くで、25日夜は広い範囲が浸水していました。
福島県相馬市などの浜通り北部では25日夕方から雨が強まり、相馬市に設置されたアメダスの観測点では、午後8時ごろから11時ごろにかけて激しい雨が降り続きました。県が相馬市小野に設置した雨量計では、25日午後1時から午後11時までに300ミリを超える大雨を観測していました。
このため、夕方以降、複数の川の水位が急上昇し、小泉川も県が相馬市黒木に設置した水位計で午後7時30分には氾濫危険水位を超え、その後も8時から9時までの1時間に60センチ近くも上昇していました。
現場近くの工事現場で働く作業員の男性によりますと、浸水の状況を確認しに来た午前2時半の時点でも1メートルほどの高さまで水につかった場所があったということです。
男性は「2週間前の台風でも浸水被害を受けたが、今回の方が現場の事務所の壊れ方がひどかった。水の流れも速かったと思う」と話していました。
一方、相馬市は水位の上昇を受けて、午後7時半に小泉川と宇多川の流域に避難指示を発表しましたが、これが市内で初めての避難に関する情報でした。
災害発生情報など氾濫に関する情報は発表されていませんが、相馬市は「市内の川では堤防から水が乗り越える越水で水が漏れることは確認されたが、氾濫はしていないと判断した」としています。