工場によりますと、流出したのは製造しているボルトを熱処理加工したあと冷却するための重油で、およそ9万リットルのうち5万リットル余りが流れ出したとみられるということです。
工場の周辺では、28日から29日朝にかけて油が川などに流れ出さないようオイルフェンスを張る作業が行われ、29日昼前からは町の職員や自衛隊員ら数十人が出て油の回収を本格的に始めました。
油を吸い取る吸着マットなどを使って回収を進めていますが、流出した範囲が広く相当な時間がかかるということです。
工場によりますと、建物の中には重油およそ1万リットルが入るタンクが8つ置かれていましたが、タンク内に雨水が入って油があふれ出たとみられています。
工場は24時間稼働し、夜間は2人で勤務しているということです。警察や町などは今後、工場の関係者から話を聞くなどして、油が流出した詳しい状況を調べることにしています。
県 流出した油は約5万リットルか
記録的な大雨の影響で佐賀県大町町の工場から流出した油の量について、佐賀県はおよそ5万リットルに上るとみられると発表しました。
県は流出した油の量について、当初、最大で11万4000リットルに上る可能性があるとしていましたが、確認を進めた結果、流出した油の量は、およそ5万リットルに上るとみられると発表しました。
県や鉄工所によりますと、この工場では主に自動車用のボルトを製造していて、今回、流れ出たのは高温で焼いた鉄製のボルトを冷却するために使われる「ダフニークエンチ」という工業用の油だということです。
工場内にはおよそ1万2000リットル入る油のタンクが合わせて8つ並んでいましたが、ふたが無かったため、大雨で流れ込んだ水と一緒に外部に流出したとみられています。
油が流れ込んだ現場の周辺では、29日も国土交通省武雄河川事務所や県などが油の回収を進めています。
工場 自動車用ボルトを24時間体制で製造
佐賀鉄工所大町工場は有明海に流れ込む六角川のすぐ近くにあり、周りには田んぼが広がっています。海までは12キロほど離れています。
工場ではおよそ230人の従業員が働いていて、自動車用のボルトを24時間体制で製造しているということです。
工場によりますと、およそ30年前にも台風による大雨で油が流出したことがあったということですが、詳しいことは分からないとしています。
大量の油が流出したあとすぐに現場に駆けつけたという佐賀鉄工所大町工場の木塚哲総務課長は「大変申し訳なく思っています。突然の大雨の影響で流出を止めることができませんでした。油の回収を急ぐとともに、こうしたことが二度と起きないよう原因を究明し、住民の方にきちんと説明していきたいです」と話していました。