来月末に
迫った
EU=
ヨーロッパ連合からの
離脱をめぐり、イギリス
議会下院では
日本時間の
4日夜から
離脱の
延期を
求める法案の
審議が
始まります。
これに
対抗してジョンソン
首相は
総選挙の
実施を
求める動議を
提出し、
議会での
攻防は
激しさを
増しています。イギリス
議会の
下院では
4日、
日本時間の
4日夜から、
超党派の
議員が
提案した
EUからの
離脱期限を
現在の10
月末から
来年の
1月末に
延期するよう
求める法案の
審議が
始まります。
法案は4日に採決が行われ、その後、上院でも審議が行われます。
これに対して、合意の有無にかかわらず期日どおりに離脱すると主張しているジョンソン首相は、離脱期限のさらなる延期には応じられないとして、議会を解散して総選挙の実施を求める動議を議会に提出しました。
総選挙を行うには議会下院の3分の2以上の賛成が必要で、最大野党 労働党の支持を得ることが不可欠となっています。
しかし労働党のコービン党首は「来月末の合意なき離脱を回避することが優先だ」として、離脱期限の延期を求める法案が成立しないかぎりは総選挙の実施には賛成しない姿勢を表明し、議会での攻防は激しさを増しています。
英議会 今後のプロセス
《法案と動議の採決は》
EUからの離脱期限の延期を求める法案は、議会下院で可決されたのち上院での審議に移ります。
そして上院で可決されたあと、エリザベス女王の承認を経て法律が成立します。
ジョンソン首相がEUとの離脱交渉の主導権を握り続けるためには法案が否決される必要があります。
一方、法案が可決されれば、EUとの離脱交渉の主導権は事実上イギリス議会が握ることになり、ジョンソン首相が期日どおり来月31日に離脱を実現することは難しくなる可能性があります。
このためジョンソン首相は「議会が離脱の延期を決めるのであれば、国民に信を問うのが状況を打開する唯一の方法だ」と発言していて、法案の審議が進む過程のいずれかのタイミングで総選挙を求める動議の採決を求める構えとみられます。
《議会解散には3分の2の賛成必要》
日本と異なり、イギリスでは2011年に首相の解散権を制限する法律が制定され、5年ごとに行う総選挙を前倒しして実施するためには議会の3分の2の賛成が必要とされています。
保守党は現在、少数与党となっているため、労働党からも支持を取り付ける必要があります。
しかし労働党のコービン党首は、離脱期限の延期を求める法律が成立することが総選挙に賛成する条件だとしています。
このため、離脱期限の延期を求める法案が成立しないかぎり、総選挙の実施は難しいものとみられています。
こうしたことを踏まえて、総選挙の実施を求める動議が議会の3分の2の賛成を得た場合は、総選挙が実施されることになります。
公共放送BBCはジョンソン政権が来月15日の実施を想定していると伝えています。
《総選挙の結果 与野党どちらが勝利》
選挙の結果、与党 保守党が過半数を超えた場合、ジョンソン首相はその2週間後の来月31日、期日どおりにEUから離脱するものとみられます。
ジョンソン首相はEUとの合意を目指すとしていますが、合意がないままでも離脱すると主張しています。
逆に総選挙で与党 保守党が過半数を割り、労働党が政権についた場合、労働党はEU側に離脱の延期を求めるものとみられています。
ただEU側は離脱の条件についてイギリスとの再交渉は行わない立場で一貫していて、総選挙の結果がどうであっても「合意なき離脱」が回避される見通しは立っていません。