対局では能登半島地震で倒壊した住宅から見つかった駒が使われ、駒を提供した被災者の男性も会場を訪れて対局を見守っています。
「棋王戦」の第2局は金沢市で行われ、挑戦者の伊藤七段が先に対局室に入ると、続いて藤井八冠が盤の前に座りました。
今回、使われている駒と盤は、能登半島地震で被災し妻の紀美子さん(64)を亡くした石川県珠洲市の塩井一仁さん(63)が提供したものです。
将棋の愛好家の塩井さんは先月下旬、倒壊した自宅の隙間からこれまで収集してきた将棋の駒などを偶然見つけたということです。
対局は塩井さんも会場で見守る中、午前9時に始まり、先手の伊藤七段が飛車先の歩を突くと、後手の藤井八冠も同様に歩を動かして応じ、その後は互いに大駒の「角」を交換する「角換わり」の戦型で進んでいます。
駒と盤を提供した塩井さんは「ふたりの駒を指す音が静かだなと思いながら眺めていました。21歳の2人のパワーをいただいて、復興の契機になれば、こんなに喜ばしいことはありません」と話していました。
第2局の勝敗は24日午後に決まる見込みです。
駒と盤を提供 塩井さん「感慨深いです」
駒と盤を提供した塩井さんは対局開始を見届けた後、取材に応じ「ふたりの駒を指す音が静かだなと思いながら眺めていました。地震で何もかも失いゼロになりましたが、がれきの下から駒が見つかり使われることになったことは感慨深いです。21歳の2人のパワーをいただいて復興の契機になればこんなに喜ばしいことはありません。亡くなった妻も応援してくれていると思うので、今後いちから積み上げていきたいです」と話していました。