その結果、小児がんの5年後の生存率は、▼脳腫瘍で74.6%、▼白血病で88.0%、▼胚細胞腫瘍で96.6%などとなっています。
また、AYA世代のがんでは、▼乳がんが90.0%、▼子宮がんが89.0%、▼脳腫瘍と脊髄腫瘍が84.3%などとなっています。
一方、すべての年代の87万人余りのデータの分析からは、5年後の生存率は全体で67.5%でした。
国立がん研究センターは、生存率のデータはあくまで傾向を示すもので患者一人ひとりに直接当てはまるものではないとして、主治医と治療方針を相談する際などの参考にしてほしいとしています。
調査に協力した国立成育医療研究センターの松本公一 小児がんセンター長は「若い世代のがん生存率は、すべての年代のものに比べて高くなっている。ただ、子どもを含めた若いがん患者では、治療後も長い期間、さまざまな合併症などの問題を抱える人が多いので、今後10年、20年先といったより長期の経過についても調査しなければいけない」と話しています。
分析対象となった患者数が多い順に示します。 ▼白血病:88.0%(患者の平均年齢:5.7歳) ▼脳腫瘍:74.6%(患者の平均年齢:7.3歳) ▼リンパ腫:90.7%(患者の平均年齢:8.0歳) ▼胚細胞腫瘍:96.6%(患者の平均年齢:8.3歳) ▼神経芽腫:78.6%(患者の平均年齢1.9歳) ▼軟部腫瘍:79.3%(患者の平均年齢:7.5歳) ▼骨腫瘍:70.5%(患者の平均年齢:10.9歳) ▼網膜芽腫:95.4%(患者の平均年齢:1.1歳) ▼肝腫瘍:87.1%(患者の平均年齢:2.8歳) ▼腎腫瘍:93.8%(患者の平均年齢:3.9歳) ▼その他がん:91.0%(患者の平均年齢:11.2歳)
▼乳がん:90.0% ▼子宮頸部・子宮がん:89.0% ▼甲状腺がん:99.2%。 ▼脳・脊髄腫瘍:84.3%。 ▼大腸がん:74.8%。 ▼胚細胞性腫瘍など:95.0%。 ▼リンパ腫:90.1%。 ▼白血病:75.0%。 ▼胃がん:61.7%。 ▼頭けい部のその他のがん:82.5%。 ▼軟部肉腫:73.9%。 ▼性腺のがん:79.0%。 ▼肺・気管支のがん:58.5%。 ▼腎がん:93.5%。 ▼黒色腫・皮膚がん:87.8%。 ▼すい臓がんなどの消化器系のがん:49.6%。 ▼骨・軟骨腫瘍:70.5%。 ▼肝内胆管がん:51.8% などとなっています。
これまで出されてきた診断された時点からの生存率は、がんの種類によっては早期発見や治療が難しく低くなることがある一方、診断から年数がたった人の生存率は高くなる傾向があると考えられることから、国立がん研究センターは患者の生きる希望につながるのではないかとして、今回初めて、診断の1年後から4年後の時点からの生存率を分析しました。 それによりますと、例えば非小細胞肺がんの場合、2014年までの2年間に診断された人の▼診断から1年後の生存率は73.7%、▼3年後では54.8%、▼5年後では47.7%と年を追うごとに低くなっていました。 その一方で、▼診断から1年後の時点からさらに1年後の生存率は83.4%、▼診断から2年後の時点からでは89.1%、▼3年後の時点からでは92.5%、▼4年後の時点からでは94.1%と、診断から年数がたつほど、その1年後の生存率が上がっていました。 同様の傾向は、早期発見が難しいとされる、すい臓がんや食道がん、胆のうがんなどでも見られました。 国立がん研究センター院内がん登録分析室の奥山絢子 室長は「たとえ難治とされるがんでも、治療を乗り越えられた方はその後、長く生存する可能性が高まる傾向があると言える。治療に向き合っておられる患者さんに希望を持ってもらえるようなデータだと考えている」と話しています。
【すい臓がん】 ▽診断から1年後の生存率は44.2% ▽診断の1年後の時点からさらに1年後の生存率は57.0% ▽2年後の時点からさらに1年後の生存率は70.7% ▽3年後の時点からさらに1年後の生存率は81.2% ▽4年後の時点からさらに1年後の生存率は86.3% 【胆のうがん】 ▽診断から1年後の生存率は50.2% ▽診断の1年後の時点からさらに1年後の生存率は75.0% ▽2年後の時点からでは88.0% ▽3年後の時点からでは93.0% ▽4年後の時点からでは95.3% 【肝内胆管がん】 ▽診断から1年後の生存率は50.8% ▽診断の1年後の時点からさらに1年後の生存率は68.0% ▽2年後の時点からでは78.6% ▽3年後の時点からでは86.9% ▽4年後の時点からでは87.4% 【非小細胞肺がん】 ▽診断から1年後の生存率は73.7% ▽診断から1年後の時点からさらに1年後の生存率は83.4% ▽2年後の時点からでは89.1% ▽3年後の時点からでは92.5% ▽4年後の時点からでは94.1% 【食道がん】 ▽診断から1年後の生存率は74.6% ▽診断の1年後の時点からさらに1年後の生存率は81.3% ▽2年後の時点からでは89.2% ▽3年後の時点からでは93.1% ▽4年後の時点からでは94.6% 【腎う尿管がん】 ▽診断から1年後の生存率は77.0% ▽診断の1年後の時点からさらに1年後の生存率は82.2% ▽2年後の時点からでは87.4% ▽3年後の時点からでは91.1% ▽4年後の時点からでは93.8% これらのがんは、生存年数が長いほど、その後の生存率が上がる傾向が見られました。 一方で、主に比較的生存率が高いがんでは、年数がたってもサバイバー生存率があまり変動していませんでした。 【前立腺がん】 ▽診断から1年後の生存率は100% ▽診断の1年後の時点からさらに1年後の生存率は99.5% ▽2年後の時点からでは99.4% ▽3年後の時点からでは99.6% ▽4年後の時点からでは99.8% 【甲状腺乳頭濾胞がん】 ▽診断から1年後の生存率は99.3% ▽診断の1年後の時点からさらに1年後の生存率は99.4% ▽2年後の時点からでは99.5% ▽3年後の時点からでは99.8% ▽4年後の時点からでは99.6% 【女性の乳がん】 ▽診断から1年後の生存率は98.7% ▽診断の1年後の時点からさらに1年後の生存率は98.2% ▽2年後の時点からでは98.2% ▽3年後の時点からでは98.4% ▽4年後の時点からでは98.4% 【喉頭がん】 ▽診断から1年後の生存率は95.0% ▽診断の1年後の時点からさらに1年後の生存率は94.0% ▽2年後の時点からでは96.0% ▽3年後の時点からでは97.2% ▽4年後の時点からでは97.2% 【子宮体がん】 ▽診断から1年後の生存率は93.6% ▽診断の1年後の時点からさらに1年後の生存率は95.4% ▽2年後の時点からでは97.2% ▽3年後の時点からでは98.3% ▽4年後の時点からでは98.8% 【腎臓がん】 ▽診断から1年後の生存率は92.1% ▽診断の1年後の時点からさらに1年後の生存率は95.8% ▽2年後の時点からでは97.1% ▽3年後の時点からでは98.4% ▽4年後の時点からでは98.2% 【子宮頸がん】 ▽診断から1年後の生存率は91.7% ▽診断の1年後の時点からさらに1年後の生存率は91.1% ▽2年後の時点からでは94.8% ▽3年後の時点からでは96.8% ▽4年後の時点からでは97.9% 【大腸がん】 ▽診断から1年後の生存率は89.4% ▽診断の1年後の時点からさらに1年後の生存率は92.6% ▽2年後の時点からでは94.1% ▽3年後の時点からでは95.9% ▽4年後の時点からでは97.0% 【卵巣がん】 ▽診断から1年後に生存率は87.5% ▽診断の1年後の時点からさらに1年後の生存率は90.0% ▽2年後の時点からでは91.8% ▽3年後の時点からでは93.5% ▽4年後の時点からでは94.2% 【ぼうこうがん】 ▽診断から1年後の生存率は86.4% ▽診断の1年後の時点からさらに1年後の生存率は89.4% ▽2年後の時点からでは93.0% ▽3年後の時点からでは95.4% ▽4年後の時点からでは96.6% 【胃がん】 ▽診断から1年後の生存率は85.5% ▽診断の1年後の時点からさらに1年後の生存率は92.2% ▽2年後の時点からでは95.8% ▽3年後の時点からでは97.5% ▽4年後の時点からでは98.4% 【肝細胞がん】 ▽診断から1年後の生存率は79.2% ▽診断の1年後の時点からさらに1年後の生存率は85.6% ▽2年後の時点からでは86.6% ▽3年後の時点からでは87.6% ▽4年後の時点からでは88.5%
がんの種類、進行度別のデータは以下のとおりです。 いずれもがん以外による死亡の影響を取り除いた「相対生存率」で示しています。 全体の生存率が高い順に示します。 【前立腺がん】 ▽ステージ1:100% ▽ステージ2:100% ▽ステージ3:100% ▽ステージ4:47.6% ▽全体:100%。 【甲状腺がん】 ▽ステージ1:100% ▽ステージ2:94.5% ▽ステージ3:99.2% ▽ステージ4:81.8% ▽全体:94.9% 甲状腺がんについてはデータが少ないことなどから「ステージ3」のほうが「ステージ2」より10年生存率が高くなっています。 【女性の乳がん】 ▽ステージ1:99.0% ▽ステージ2:90.7% ▽ステージ3:68.6% ▽ステージ4:19.4% ▽全体:87.8% 【子宮体がん】 ▽ステージ1:95.3% ▽ステージ2:87.4% ▽ステージ3:69.2% ▽ステージ4:17.6% ▽全体:83.0% 【腎臓がん】 ▽ステージ1:90.3% ▽ステージ2:79.2% ▽ステージ3:64.8% ▽ステージ4:10.8% ▽全体:73.7% 【子宮頸がん】 ▽ステージ1:93.1% ▽ステージ2:71.8% ▽ステージ3:54.4% ▽ステージ4:20.7% ▽全体:70.5% 【喉頭がん】 ▽ステージ1:88.1% ▽ステージ2:73.4% ▽ステージ3:59.1% ▽ステージ4:34.8% ▽全体:69.3% 【大腸がん】 ▽ステージ1:92.6% ▽ステージ2:83.4% ▽ステージ3:70.1% ▽ステージ4:12.7% ▽全体:67.5% 【胃がん】 ▽ステージ1:91.3% ▽ステージ2:57.8% ▽ステージ3:36.6% ▽ステージ4:6.6% ▽全体:66.8% 【ぼうこうがん】 ▽ステージ1:81.0% ▽ステージ2:52.7% ▽ステージ3:36.2% ▽ステージ4:15.2% ▽全体:62.4% 【卵巣がん】 ▽ステージ1:87.7% ▽ステージ2:61.3% ▽ステージ3:29.6% ▽ステージ4:14.1% ▽全体:53.9% 【腎う尿管がん】 ▽ステージ1:76.1% ▽ステージ2:62.9% ▽ステージ3:55.6% ▽ステージ4:9.6% ▽全体:44.6% 【非小細胞肺がん】 ▽ステージ1:72.0% ▽ステージ2:35.0% ▽ステージ3:14.2% ▽ステージ4:2.2% ▽全体:35.0% 【食道がん】 ▽ステージ1:66.1% ▽ステージ2:38.6% ▽ステージ3:19.1% ▽ステージ4:7.7% ▽全体:34.2% 【胆のうがん】 ▽ステージ1:75.9% ▽ステージ2:21.2% ▽ステージ3:5.3% ▽ステージ4:2.1% ▽全体:25.2% 【肝細胞がん】 ▽ステージ1:34.5% ▽ステージ2:20.0% ▽ステージ3:9.5% ▽ステージ4:2.1% ▽全体:22.8% 【肝内胆管がん】 ▽ステージ1:40.1% ▽ステージ2:24.5% ▽ステージ3:5.4% ▽ステージ4:0.7% ▽全体:10.4% 【小細胞肺がん】 ▽ステージ1:33.8% ▽ステージ2:18.6% ▽ステージ3:10.8% ▽ステージ4:1.8% ▽全体:8.6% 【すい臓がん】 ▽ステージ1:35.1% ▽ステージ2:14.4% ▽ステージ3:2.7% ▽ステージ4:1.0% ▽全体:6.7% がんの種類別やステージ別、それに年齢や性別ごとの生存率などさらに詳しいデータは、「院内がん登録集計結果閲覧システム」のウェブサイトで24日午前10時以降に見ることができます。 https://hbcr-survival.ganjoho.jp/ また、最新のがんの治療法や、全国各地にある拠点病院、それに相談支援センターなどについての情報は、国立がん研究センターが運営している「がん情報サービス」(ganjoho.jp)にまとめられています。
小児がん患者 種類ごとの5年生存率
「AYA世代」 種類ごとの5年生存率
「サバイバー生存率」 初めてまとめる
種類ごとの「サバイバー生存率」は
10年後の生存率も発表