日本新聞: 東海道新幹線フルモデルチェンジ「N700S」デビュー

東海道とうかいどう新幹線しんかんせんで13年ねんぶりのフルモデルチェンジとなる新型しんがた車両しゃりょう「Ｎえぬ700Ｓえす」の営業えいぎょう運転うんてんが1日にちから始はじまり、東京とうきょう駅えきには早朝そうちょうから鉄道てつどうファンが集あつまりました。

1日にち営業えいぎょう運転うんてんがスタートした「Ｎえぬ700Ｓえす」は、東海道とうかいどう新幹線しんかんせんとしては6代目だいめの車両しゃりょうで、13年ねんぶりのフルモデルチェンジとなります。

東京とうきょう駅えきの新幹線しんかんせんホームには新型しんがた車両しゃりょうを一目いちもく見みようと早朝そうちょうから鉄道てつどうファンが集あつまり、午前ごぜん5時半じはんに改札かいさつが開ひらくとホームに駆かけ上あがり、早速さっそく真新まあたらしい「Ｎえぬ700Ｓえす」の姿すがたをスマートフォンなどで撮影さつえいしていました。

ホームでは、新型しんがた車両しゃりょうの1番ばん列車れっしゃの出発しゅっぱつに合あわせて記念きねんの式典しきてんが行おこなわれ、ＪＲ東海じぇいあ-るとうかいの金子かねこ慎まこと社長しゃちょうが「Ｎえぬ700Ｓはすべての面めんで最高さいこうの性能せいのうを有ゆうしている。これまでにない上質じょうしつな乗のり心地ごこちでの旅行りょこうを楽たのしんでいただきたい」とあいさつしました。

そして午前ごぜん6時じちょうどに東京とうきょう駅えきの駅長えきちょうが出発しゅっぱつの合図あいずを行おこなうと、「Ｎえぬ700Ｓえす」は博多はかた駅えきに向むけて出発しゅっぱつしました。

「Ｎえぬ700Ｓえす」は営業えいぎょう最高さいこう速度そくどは時速じそく285キロとこれまでと変かわりませんが、従来じゅうらいの車両しゃりょうと比くらべて騒音そうおんや振動しんどうが低減ていげんされていて、乗のり心地ごこちが向上こうじょうしているのが特徴とくちょうです。

「Ｎえぬ700Ｓえす」は4編成へんせいで運用うんようがスタートし、ＪＲ東海じぇいあ-るとうかいは今後こんご3年間ねんかんで合あわせて40編成へんせいを投入とうにゅうすることにしています。

ホームでは鉄道てつどうファンが撮影さつえい

東京とうきょう駅えきの新幹線しんかんせんホームには、新型しんがた車両しゃりょうの1番ばん列車れっしゃを一目いちもく見みようと全国ぜんこく各地かくちの鉄道てつどうファンが集あつまりました。

横浜よこはま市しから祖母そぼと訪おとずれた小学しょうがく4年生ねんせいの男の子おとこのこは、「新幹線しんかんせんがとても大好だいすきで、いつもより2時間じかん早はやく起おきてやってきました。車両しゃりょうはとてもかっこよく、新幹線しんかんせんは代々だいだい、僕ぼくの相棒あいぼうですが、Ｎえぬ700Ｓは新あたらしい最高さいこうの相棒あいぼうになりました。これから1番ばん列車れっしゃに乗のって乗のり心地ごこちも体感たいかんして学校がっこうのみんなに自慢じまんしたい」と話はなしていました。

また、42歳さいの会社かいしゃ員いんの男性だんせいは、「真新まあたらしい車両しゃりょうですばらしい。私わたしの新幹線しんかんせん愛あいは30年ねん以上いじょうで、きょうは会社かいしゃを休やすんで1番ばん列車れっしゃを体感たいかんします。とても興奮こうふんしています」と話はなしていました。

「Ｎえぬ700Ｓえす」とは

「Ｎえぬ700Ｓえす」は、東海道とうかいどう新幹線しんかんせんとしては6代目だいめの車両しゃりょうで、13年ねんぶりのフルモデルチェンジとなります。

ＪＲ東海じぇいあ-るとうかいがこれまでに開発かいはつした技術ぎじゅつを結集けっしゅうさせた車両しゃりょうで、「Ｎえぬ700Ｓえす」の「Ｓえす」は「Ｓｕｐｒｅｍｅ」の頭文字かしらもじからとったものです。

2年ねん前まえの平成へいせい30年ねんから試験しけん車しゃによる走行そうこう試験しけんを続つづけていました。

新型しんがた車両しゃりょうは海外かいがいへの本格ほんかく的てきな販売はんばいも視野しやに入いれて開発かいはつされたもので、東海道とうかいどう新幹線しんかんせんの基本きほんである16両りょう編成へんせい以外いがいにも、12両りょうや8両りょうなどさまざまな車両しゃりょう数すうで編成へんせいを組くむことが可能かのうとなっています。

特徴とくちょうは”過去かこ最高さいこうの乗のり心地ごこち”

「Ｎえぬ700Ｓえす」の特徴とくちょうは東海道とうかいどう新幹線しんかんせんの車両しゃりょうとしては”過去かこ最高さいこう”とも言いわれるその乗のり心地ごこちです。

「Ｎえぬ700Ｓえす」の「Ｓえす」は“最高さいこうの”を意味いみする「Ｓｕｐｒｅｍｅ」の頭文字かしらもじからとったもので、車両しゃりょうを開発かいはつしたＪＲ東海じぇいあ-るとうかいでは特とくに、その「乗のり心地ごこち」にこだわったとしています。このため「Ｎえぬ700Ｓえす」には車体しゃたいの「揺ゆれ」と「騒音そうおん」を極限きょくげんまで抑おさえるための新あらたな技術ぎじゅつが大おおきく2つ導入どうにゅうされています。

1つ目めは先頭せんとう車両しゃりょうの形状けいじょうで、「デュアルスプリームウィング形がた」と呼よばれる形状けいじょうが採用さいようされています。左右さゆうのヘッドライトの奥おくの部分ぶぶんにエッジが立たてられ、これらにより空気くうき抵抗ていこうを減へらすことが可能かのうとなったということです。

現在げんざいのＮえぬ700Ａえいと比くらべて走行そうこう時じの騒音そうおんが小ちいさくなったほか、揺ゆれの原因げんいんとなっていた最さい後尾こうびの車両しゃりょうで発生はっせいする「空気くうきの渦うず」も低減ていげんしました。

2つ目めが揺ゆれを抑おさえる制せい振ふ装置そうちです。これまでの制せい振ふ装置そうちはダンパーのみでしたが、今回こんかい導入どうにゅうされた「フルアクティブ制せい振ふ制御せいぎょ装置そうち」ではダンパーに小型こがたモーターと油圧ゆあつポンプがつけられていて、揺ゆれと逆ぎゃくの力ちからを発生はっせいさせ、揺ゆれを打ち消うちけすといいます。

ＪＲ東海じぇいあ-るとうかいのシミュレーターで行おこなわれた実験じっけんでは、これまでの制せい振ふ装置そうちだと座席ざせきのテーブルに置おいたペットボトルの中身なかみは左右さゆうに揺ゆれていましたが、「フルアクティブ制せい振ふ制御せいぎょ装置そうち」の場合ばあいは、中身なかみはほとんど揺ゆれませんでした。

Ｎえぬ700Ｓにはこの制せい振ふ装置そうちが先頭せんとう車両しゃりょうや最さい後尾こうびの車両しゃりょうなど合あわせて7か所かしょにつけられているということです。

先頭せんとう車両しゃりょうは5万まん種類しゅるいを超こえる形状けいじょうから選えらばれる

新あらたに開発かいはつされた先頭せんとう車両しゃりょうの形状けいじょう、「デュアルスプリームウィング形がた」は車両しゃりょうの揺ゆれや騒音そうおんを抑おさえるため5万まん種類しゅるいを超こえる形状けいじょうの中なかから選えらび抜ぬかれたものでした。

開発かいはつが行おこなわれたのは愛知あいち県けん小牧おまき市内しないにあるＪＲ東海じぇいあ-るとうかいの研究けんきゅう施設しせつです。ここには走行そうこう中ちゅうの車両しゃりょうを再現さいげんできるシミュレーターや試験しけん装置そうちなどがあり、新幹線しんかんせん開発かいはつの心臓しんぞう部ぶともいえる施設しせつです。

その中なかにあるのが「風洞ふうどう」と呼よばれる装置そうちです。ここでは、20分ぶんの1サイズで作成さくせいした先頭せんとう形状けいじょうの模型もけいに、時速じそく300キロでの走行そうこう時じの空気くうき抵抗ていこうに匹敵ひってきする風速ふうそく80メートルの風かぜをあてて実験じっけんを行おこなうことができます。実際じっさいに模型もけいに風かぜをあてて実験じっけんすることで、車両しゃりょうのどの部分ぶぶんからどれだけ騒音そうおんが出でているのか測定そくていできるほか、空気くうきの流ながれが悪わるい場所ばしょを解析かいせきする事ことが可能かのうだということです。

「Ｎえぬ700Ｓえす」の開発かいはつでは模型もけい実験じっけんを繰り返くりかえし、5万まん種類しゅるいを超こえる形状けいじょうの中なかから最もっとも空気くうき抵抗ていこうが少すくなく騒音そうおんが小ちいさかった「デュアルスプリームウィング形がた」が選えらばれたということです。

新型しんがた車両しゃりょう開発かいはつ・設計せっけい最高さいこう責任せきにん者しゃのＪＲ東海じぇいあ-るとうかい上野うえの雅之まさゆき執行しっこう役員やくいんは「今いままでの技術ぎじゅつをすべて結集けっしゅうし、最新さいしん技術ぎじゅつ組み合くみあわせ、『Ｓえす』の名前なまえにふさわしい車両しゃりょうになった。今いままでにない上質じょうしつな乗のり心地ごこち、さらに快適かいてきな空間くうかんをぜひ体験たいけんしてほしい」と話はなしています。

先頭せんとうの形状けいじょう部分ぶぶんは職人しょくにんの手作てづくり

最新さいしん技術ぎじゅつを結集けっしゅうして開発かいはつされた先頭せんとう形状けいじょう、「デュアルスプリームウィング形がた」。それを製造せいぞうするのに欠かかせないのが実じつは職人しょくにんの「たくみの技わざ」です。

車両しゃりょうメーカーの「日本にっぽん車輌しゃりょう」は、東海道とうかいどう新幹線しんかんせんが開業かいぎょうした1964年ねんからこれまでに4000両りょうを超こえる新幹線しんかんせん車両しゃりょうを製造せいぞうしている国内こくない最大さいだい手しゅのメーカーです。今回こんかいの「Ｎえぬ700Ｓえす」の製造せいぞうも担になっています。

新幹線しんかんせんの車両しゃりょうは骨組ほねぐみにアルミでできた外そと板いたを溶接ようせつして組み立くみたててますが、複雑ふくざつな流線型りゅうせんけいの先頭せんとう形状けいじょうの部分ぶぶんは実じつは、特別とくべつな技術ぎじゅつを持もつ社員しゃいんが1両りょう1両りょう、手て作業さぎょうで作つくっています。

特とくに難むずかしいのが、外そと板いたを骨組ほねぐみに溶接ようせつしたのあとに行おこなう研磨けんまの工程こうていです。

表面ひょうめんにできるわずかな凹凸おうとつを指先ゆびさきや手てのひらの感覚かんかくのみで感じ取かんじとり、専用せんようの工具こうぐを使つかって角度かくどなどを微妙びみょうに変かえながら少すこしずつ丁寧ていねいに削けずっていきます。

ミリ単位たんいの作業さぎょうで、表面ひょうめんの磨みがきなど先頭せんとう形状けいじょうを仕上しあげるのに1両りょうあたりおよそ3日間にちかんかかるといいます。

この会社かいしゃにはおよそ2000人にんの社員しゃいんがいますが、この技術ぎじゅつを持もつ社員しゃいんは現在げんざいは5人にんしかいないということです。

日本にっぽん車輌しゃりょうの社員しゃいんで先頭せんとう形状けいじょうの製造せいぞうを担当たんとうする天野あまの託たく実みのるさんは「研磨けんまは人ひとに教おしえられてできるものではなく自分じぶんの感覚かんかくでやるしかない。研磨けんまする工具こうぐは自分じぶんの指先ゆびさきのような感覚かんかくなので思おもった通とおりに削けずる事ことが出来できます」と話はなしていました。

「Ｎえぬ700Ｓえす」はいったい何なん代目だいめ？

インターネット上じょうではこんな意見いけんも見みられました。

ＪＲ東海じぇいあ-るとうかいの担当たんとう者しゃに聞きいてみました。

ＪＲ東海じぇいあ-るとうかいの広報こうほう担当たんとう者しゃに疑問ぎもんをぶつけるとー。

「東海道とうかいどう新幹線しんかんせんとしては『Ｎえぬ700Ｓえす』は6代目だいめとなります」記者きしゃが想定そうていしていた数字すうじと違ちがっていたので、さらに詳くわしく聞きいてみました。

すると、ＪＲ東海じぇいあ-るとうかいとしては、初代しょだいが0系けい、2代目だいめが100系けい、3代目だいめが300系けい、4代目だいめが700系けい、5代目だいめがＮえぬ700Ａえいタイプ、そして今回こんかいのＮえぬ700Ｓを6代目だいめとカウントしているということです。

あれ、でも、あの500系けいはどうなるのか、それにＮえぬ700Ａえい“タイプ”って何なに？ＪＲ東海じぇいあ-るとうかいの担当たんとう者しゃからは次つぎのような回答かいとうでした。

「500系けいについてはＪＲ西日本じぇいあ-るにしにほんが投入とうにゅうした車両しゃりょうなのでＪＲ東海じぇいあ-るとうかいとしては東海道とうかいどう新幹線しんかんせんにはカウントしていません」「5代目だいめのＮえぬ700Ａえいタイプは、Ｎえぬ700系けいとＮえぬ700Ａえいの2つの車両しゃりょうを指さしています。

Ｎえぬ700ＡえいはＮえぬ700系けいを改良かいりょうした車両しゃりょうなので、6代目だいめとは考かんがえていません」では今回こんかいのフルモデルチェンジとブラッシュアップは何なにが違ちがうのか、尋たずねてみるとー。

「大おおきなポイントは先頭せんとう車両しゃりょうの形状けいじょうや駆動くどうシステムなど基本きほん的てきな設計せっけいや性能せいのうが進化しんかしているかどうかです。

ＪＲ東海じぇいあ-るとうかいとしてはフルモデルチェンジした車両しゃりょうのみ、何なん代目だいめとしてカウントしています」

「Ｎえぬ700Ｓえす」は何なにが変かわった？

13年ねんぶりのフルモデルチェンジとなった新型しんがたの東海道とうかいどう新幹線しんかんせん「Ｎえぬ700Ｓえす」は現在げんざいの車両しゃりょうとどう違ちがうのか、まとめました。

まずは外観がいかんです。現在げんざいの「Ｎえぬ700Ａえい」と比くらべると一見いっけん、これまでと変かわらない感かんじがしますが、先頭せんとう部分ぶぶんは若干じゃっかん、左右さゆうにエッジを立たてた形状けいじょうになっています。「デュアルスプリームウィング形がた」という形状けいじょうが採用さいようされていて、これまでより騒音そうおんや揺ゆれを低減ていげんさせているといいます。

また、ヘッドライトには東海道とうかいどう新幹線しんかんせんとしては初はじめて「ＬＥＤライト」が採用さいようされています。車体しゃたいの横よこには金色きんいろで「Ｎえぬ700Ｓえす」の文字もじや、「Ｓえす」をイメージした青色あおいろのラインが描えがかれています。

走行そうこうの基本きほん性能せいのうも進化しんかしています。営業えいぎょう最高さいこう速度そくどは時速じそく285キロとこれまでと変かわりませんが、試験しけん走行そうこうでは時速じそく360キロを超こえるスピードを記録きろくしています。ブレーキシステムも改良かいりょうされ、地震じしん発生はっせい時じのブレーキ距離きょりは「Ｎえぬ700Ａえい」よりも5％短縮たんしゅくされました。

また自然しぜん災害さいがいなどで停電ていでんしても自力じりきで走行そうこうできるバッテリーを搭載とうさいしていて、停電ていでんでいったん止とまっても避難ひなんしやすい場所ばしょまで簡単かんたんに移動いどうすることができます。

一方いっぽう、車内しゃないの環境かんきょうも大幅おおはばに改善かいぜんされました。これまで窓際まどぎわの席せきにしか無なかったコンセントがすべての座席ざせきのひじ掛ひじかけに取り付とりつけられたほか、リクライニング機能きのうはより快適かいてきな座すわり心地ごこちを追求ついきゅうした結果けっか、背せもたれに連動れんどうして座ざ面めんが数すうセンチ沈しずみ込こむようになっています。