「救助されたのは奇跡だと思う」と話す三川地区に住む山嵜美代子さん(90)です。
1階建ての住宅に40年近く住んでいてこれまで浸水することはなかったといいます。
山嵜さんは避難所に行かずに自宅にいましたが、今月6日の昼すぎころから、雨が徐々に強くなり、夕方ごろに玄関先に水が流れ込み始めたといいます。
徐々に水かさが増し、夜になって自宅の中にまで水が流れ込んできたため命の危険を感じ玄関から外に出て歩いて逃げようとしました。
その際に浸水によって浮かんできた畳で足を滑らせてけがをしてアザが残ったといいます。
その時の状況について山嵜さんは「水かさが徐々に増してきて自宅の中にこのままいても危ないと思いました。バッグにものを入れて、水にぬれないように首にタオルなどを巻きました。手に持ったのは懐中電灯だけでそのまま逃げようとしました」と話していました。
しかし流れ込んだ水で部屋の中を移動することも簡単ではなく、なんとか玄関から外にでると、水かさは胸の高さに達していました。
流れも速く、立っていることも難しかったといいます。
そのまま流される危険もあると感じ恐怖を覚えましたが運よく、近くをとおりかかった消防のボートに救助されたということです。
山嵜さんは「どうやってボートのところまで連れてきてもらったのかわからなかったです。怖くてがたがた体が震えて記憶がないです。消防隊員に見つけてもらわなかったらそのまま流されていたかもしれないです」と話します。
避難所となっていた天領小学校の体育館で数日間過ごしたあと今月11日から市が用意した民間のホテルに滞在しています。
これまで経験したことがない雨だったということで、山嵜さんは早めに避難所などに避難していればよかったと感じています。
山嵜さんは「雨が降ると恐ろしくていろんなことが頭に浮かんだり考えたりするので寝ることができないです。今、振り返るとすでに亡くなっている主人が助けてくれたのかなと感じます」と話しています。
「助かって本当によかった」
近くに住む曽我部忍さん(75)は山嵜さんが救助された様子を目撃していました。
曽我部さんによりますと、今月6日の深夜浸水の状況を確かめようと自宅の外を見ると、山嵜さんがボートで救助されていたということです。
あたりは真っ暗で水は胸のあたりまで達していたといいます。
曽我部さんは「両肩をかかえられて消防の人に救助されていました。助かって本当によかったです」と話していました。
曽我部さんの自宅は山嵜さんの自宅の向かいにありますが、玄関先は水につかりましたが部屋の中が被害を受けることはありませんでした。
少ししか離れていないのに浸水の状況が違うことについて曽我部さんは「このあたりは若い人も少なく、1人で暮らす高齢者も多い。自分が被害を受けてもおかしくなかった」と話していました。
あたり一帯が冠水
山嵜さんの自宅近くの場所を地元の住民が今月6日の午後11時ごろと今月7日の午前6時ごろに撮影した写真では路上にとめられた軽自動車が半分ほどの高さまで水につかっていてあたり一帯が冠水していることがわかります。
また、同じ場所を今月6日の夜に撮影した動画では消防とみられる人が肩のあたりまで水につかりながら、歩いて救助活動を進めているとみられる様子などがうつっています。