「頭あたまが真っ白まっしろに」コロナ感染かんせん中ちゅうに出産しゅっさんした女性じょせい つらい思おもい語かたる

京都きょうと市しの女性じょせいは、今月こんげつ、家族かぞくの1人にんが新型しんがたコロナウイルスへの感染かんせんが確認かくにんされ、本人ほんにんも味覚みかくの異常いじょうを感かんじたため、ＰＣＲ検査けんさを受うけたところ、陽性ようせいが判明はんめいしました。

当時とうじ、女性じょせいは妊娠にんしん38週しゅうで出産しゅっさんを間近まぢかに控ひかえていたため、すぐに京都きょうと市内しないの病院びょういんに入院にゅういんし、自然しぜん分ぶんべんは負担ふたんが大おおきくなるなどの理由りゆうから、その翌日よくじつには帝王ていおう切開せっかいで出産しゅっさんしました。

赤あかちゃんは、これまでに複数ふくすう回かい行おこなわれたＰＣＲ検査けんさでは陰性いんせいでしたが、感染かんせんを防ふせぐため、母親ははおやと会あえない状態じょうたいが続つづいています。

ＮＨＫえぬえいちけいの取材しゅざいに応おうじた女性じょせいは「なぜ感染かんせんしてしまったのかと、悲かなしみや不安ふあんでいっぱいでした。他たの妊婦にんぷさんにこんなつらい思おもいをしてほしくありません」と心境しんきょうを語かたりました。

そして「親したしい人ひとでもふだんどのような行動こうどうをとっているかまではわからず、マスクや手洗てあらいをもっとしてもらっておけば感染かんせんしなかったのではないかと思おもいます。身近みぢかに妊婦にんぷがいる人ひとは、人ひととの接触せっしょくをできるだけ少すくなくするなど気きを付つけてほしいです」と訴うったえました。

女性じょせいの出産しゅっさんを受け入うけいれた京都きょうと府立ふりつ医科いか大学だいがく附属ふぞく病院びょういんによりますと、新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんしている妊婦にんぷの出産しゅっさんは全国ぜんこくでもほとんどありませんが、京都きょうと府内ふないでは今月こんげつに入はいって2例れい相次あいつぎました。

京都きょうと府立ふりつ医科いか大学だいがく産婦人科さんふじんかの北脇きたわき城じょう教授きょうじゅは「母子ぼしにも医療いりょう関係かんけい者しゃにも感染かんせんのリスクがあり、どの病院びょういんでも対応たいおうできるわけではない。ある程度あるていどの施設しせつは確保かくほしておかないと、第だい2波は、第だい3波はには対応たいおうできない」として、全国ぜんこく的てきに20代だい・30代だいの感染かんせんが増ふえている中なかで妊婦にんぷが感染かんせんするケースも想定そうていして医療いりょう体制たいせいを整ととのえるべきだと指摘してきしています。

大切たいせつな時間じかんを一緒いっしょに過すごせないことがつらい

女性じょせいは妊娠にんしん中ちゅう、買い物かいものは週しゅう1回かい程度ていどに控ひかえ、マスクの着用ちゃくようや手洗てあらいなど、感染かんせん防止ぼうしには細心さいしんの注意ちゅういを払はらっていたということですが、新型しんがたコロナウイルスへの感染かんせんが確認かくにんされました。

女性じょせいのまわりでは、まず、家族かぞくの1人にんが体調たいちょう不良ふりょうを訴うったえたということで、そのときの心境しんきょうについて「もしかしたら私わたしも感染かんせんしたかもしれないと、頭あたまが真っ白まっしろになった感かんじでかなりショックでした」と話はなしました。

女性じょせいは「家族かぞくにはマスクや手洗てあらいに気きをつけて、外食がいしょくは行いかないよう伝つたえてはいましたが、親したしい人ひとと会あうときにはマスクを付つけておらず、体調たいちょう不良ふりょうだった時ときも私わたしに伝つたえることなく過すごしていました。親したしい人ひとでも実際じっさいにどのような行動こうどうをとっているかまではわかりません。もう少もうすこし家族かぞくでしっかり話し合はなしあっておけばよかったと思おもいます」と振り返ふりかえりました。

そして、出産しゅっさん直後ちょくごから赤あかちゃんと会あえないことについて「産うまれたときに産声うぶごえを聞きけただけで、顔かおを見みたり触ふれたりすることができませんでした。すぐにだっこしておっぱいをあげたかったし、家族かぞくみんなに祝福しゅくふくしてもらって写真しゃしんを撮とるなど、普通ふつうのことができず、悲かなしかったです。私わたしがまだ陽性ようせいなので会あえないのはしかたないですが、大切たいせつな時間じかんを一緒いっしょに過すごせないことが本当ほんとうにつらいです」と話はなしています。

赤あかちゃんと会あえないいま、女性じょせいは病院びょういんの看護かんご師しが赤あかちゃんがミルクを飲のんだり体からだを洗あらってもらったりしている様子ようすを撮影さつえいし、メッセージを添そえて届とどけてくれるのが支ささえになっているということです。

感染かんせんへの不安ふあんを抱かかえている妊婦にんぷに対にたいしては「赤あかちゃんにしばらく会あえなくなってしまうこんなつらい思おもいをほかの妊婦にんぷさんにはしてほしくないです。身近みぢかにおられるご家族かぞくの方ほうなどにも、マスクや手洗てあらいなどを徹底てっていしてもらい、できるだけ人ひととの接触せっしょくを避さけてもらって過すごしてもらうのが1番ばん安心あんしんだと思おもいます」と呼よびかけました。

出産しゅっさんを受け入うけいれた医療いりょう機関きかんは

妊婦にんぷの出産しゅっさんを受け入うけいれた医療いりょう機関きかんは、若わかい世代せだいを中心ちゅうしんに新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが広ひろがる中なか、感染かんせんした妊婦にんぷを受け入うけいれるための態勢たいせいを整ととのえることが重要じゅうようだと指摘してきしています。

今回こんかい、感染かんせんした妊婦にんぷを受け入うけいれた京都きょうと府立ふりつ医科いか大学だいがく産婦人科さんふじんかの北脇きたわき城じょう教授きょうじゅによりますと、妊娠にんしん中ちゅうにおなかの中なかにいる赤あかちゃんに感染かんせんするおそれはほとんどなく、妊婦にんぷ自身じしんも重症じゅうしょう化かしやすいという報告ほうこくもありませんが、妊娠にんしん中ちゅうには使用しようできない薬くすりもあり、治療ちりょうに配慮はいりょが必要ひつようなことから感染かんせんしないよう、特とくに注意ちゅういする必要ひつようがあるとしています。

京都きょうと府立ふりつ医科いか大学だいがく附属ふぞく病院びょういんは、国内こくないでの感染かんせんの拡大かくだいが始はじまったことし3月つきに、京都きょうと府内ふないで先駆さきがけて感染かんせんした妊婦にんぷを受け入うけいれる態勢たいせいを整ととのえていて、出産しゅっさんの際さいには、感染かんせんを防ふせぐために、母親ははおやと生うまれたばかりの赤あかちゃんにそれぞれ対応たいおうするための手術しゅじゅつ室しつを別べつに2部屋へや用意よういしたほか、産婦人科さんふじんかのほか、小児しょうに科かや感染かんせん症しょうのスタッフなどが連携れんけいして対応たいおうに当あたります。

現在げんざい、こうした受け入うけいれ態勢たいせいをとれる医療いりょう機関きかんは少すくないということで、北脇きたわき教授きょうじゅは「感染かんせんした妊婦にんぷの帝王ていおう切開せっかいは母子ぼしにも医療いりょう関係かんけい者しゃにも感染かんせんのリスクがあり、どの病院びょういんでも対応たいおうできるわけではない。若わかい人ひとの感染かんせんが増ふえる中なかで妊婦にんぷで感染かんせんする人ひとも出でると考かんがえているので、ある程度あるていどの施設しせつは確保かくほしておかないと、第だい2波は、第だい3波はには対応たいおうできない」と述のべ、地域ちいきや症状しょうじょうによって受け入うけいれ先さきを振り分ふりわけるなど態勢たいせいを強化きょうかすべきだと指摘してきしています。

感染かんせんした妊婦にんぷの受け入うけいれ体制たいせいは

厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、出産しゅっさんを控ひかえた妊婦にんぷが新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんした場合ばあい、重症じゅうしょう化かするリスクは妊娠にんしんしていない人ひとと変かわらず、生うまれてくる子こどもへの影響えいきょうも感染かんせんしていない場合ばあいと変かわらないとされています。

しかし、医療いりょうスタッフへの感染かんせんを予防よぼうする観点かんてんから出産しゅっさんにかかる時間じかんを短縮たんしゅくする必要ひつようがあるため、帝王ていおう切開せっかいを選択せんたくすることもあるとされます。

新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんした妊婦にんぷへの対応たいおうについて厚生こうせい労働ろうどう省しょうはことし4月つき、都道とどう府県ふけんに対にたいし、出産しゅっさんの対応たいおうが必要ひつようかどうかや妊娠にんしん高だか血圧けつあつ症候しょうこう群ぐんなど特別とくべつな医療いりょうが必要ひつような合併症がっぺいしょうがあるか、それに、新型しんがたコロナウイルスへの感染かんせんで出でている症状しょうじょうの重症じゅうしょう度どなどに応おうじて受け入うけいれる医療いりょう機関きかんを決きめるよう検討けんとうするよう求もとめています。

感染かんせんした妊婦にんぷに対応たいおうできる医療いりょう機関きかんは、保健所ほけんじょを通をとおして紹介しょうかいされる仕組しくみになっていて、厚生こうせい労働ろうどう省しょうが5月つき19日にちの時点じてんで行おこなったアンケート調査ちょうさでは、43の都道とどう府県ふけんが感染かんせんした妊婦にんぷを受け入うけいれる医療いりょう機関きかんを設定せっていしていると回答かいとうしています。

その後そのご、受け入うけいれる医療いりょう機関きかんが決きまっていなかった4県けんのうち、3つの県けんでは受け入うけいれ先さきが決きまり残のこりの1つも今月こんげつ中ちゅうには決きまる見込みこみだということです。

ただ、確保かくほされている病床びょうしょう数すうや受け入うけいれる医療いりょう機関きかんでの体制たいせいなど具体ぐたい的てきな内容ないようについて厚生こうせい労働ろうどう省しょうでは把握はあくしていないということです。

産婦人科さんふじんかの医師いしなどでつくる日本にっぽん産婦人科さんふじんか医い会かいでは、感染かんせん者しゃが再ふたたび急増きゅうぞうしていることを受うけ、週しゅう明あけにも都道とどう府県ふけんの医い会かいに向むけて妊婦にんぷが感染かんせんした対応たいおうについて確認かくにんするよう求もとめる通知つうちを出だすことにしています。

通知つうちでは、妊婦にんぷは感染かんせんした場合ばあい、無む症状しょうじょうであっても、原則げんそくとして入院にゅういんでの対応たいおうになることから地域ちいきでの受け入うけいれ体制たいせいを確認かくにんするよう求もとめるほか、来月らいげつには、対応たいおうの整備せいび状況じょうきょうを調査ちょうさするとしています。

日本にっぽん産婦人科さんふじんか医い会かいの木下きのした勝之かつゆき会長かいちょうは「いま、若わかい年代ねんだいで感染かんせんする人ひとが増ふえていて、無む症状しょうじょうでも感染かんせんが判明はんめいするケースが出でてくるため、医療いりょう機関きかんが対応たいおうしなければならない妊婦にんぷの感染かんせん者しゃも増ふえてくる可能かのう性せいがある。すでに感染かんせんの第だい2波はが始はじまっていると考かんがえ、地域ちいきでの受け入うけいれ体制たいせいを改あらためて確認かくにんし、整備せいびを進すすめてもらいたい」と話はなしています。