アメリカ 民間みんかんの有人ゆうじん宇宙うちゅう船せん「クルードラゴン」が地球ちきゅうに帰還きかん

2人にんの飛行ひこう士しは宇宙うちゅうステーションにおよそ2か月かげつ間かん滞在たいざいしたあと、日本にっぽん時間じかんの2日にちに再ふたたび宇宙うちゅう船せんに乗り込のりこみ、地球ちきゅうへと向むかいました。

宇宙うちゅう船せんは3日にち午前ごぜん3時じごろ軌道きどうを離はなれるため最後さいごのエンジン噴射ふんしゃを行おこなって地球ちきゅうの大気たいき圏けんに突入とつにゅうし、上空じょうくうでパラシュートを開ひらいて減速げんそくしながら落下らっかして、午前ごぜん4時じ前まえ（アメリカ東部とうぶ時間じかんの2日にち午後ごご3時じ前まえ）にフロリダ州しゅう沖おきのメキシコ湾わんの海上かいじょうに着水ちゃくすいしました。

そして、海上かいじょうで待機たいきしていたスペースXの船ふねに回収かいしゅうされ、安全あんぜんが確認かくにんされると２に人にんの飛行ひこう士しがハッチから姿すがたを見みせました。

NASAとスペースXでは帰還きかんした宇宙うちゅう船せんを詳くわしく調しらべ、機能きのうに問題もんだいがなかったか確認かくにんしたうえで、9月つき以降いこうに運用うんよう段階だんかいの1号機ごうきとなる同型どうけいの宇宙うちゅう船せんで日本人にっぽんじん宇宙うちゅう飛行ひこう士しの野口のぐち聡さとし一いちさんら4人にんを宇宙うちゅうステーションに送おくる予定よていです。

搭乗とうじょう予定よていの野口のぐち聡さとし一いちさん「すばらしいミッションに」

民間みんかんの宇宙うちゅう船せんクルードラゴンが地球ちきゅうに帰還きかんしたことを受うけ、9月つき下旬げじゅん以降いこうに打ち上うちあげられる予定よていの次つぎの運用うんよう1号機ごうきに搭乗とうじょうする日本人にっぽんじん宇宙うちゅう飛行ひこう士しの野口のぐち聡さとし一いちさんなど4人にんの飛行ひこう士しが会見かいけんを開ひらきました。

野口のぐちさんは「次つぎのミッションに参加さんかできることを誇ほこりに思おもう。私わたしにはスペースシャトルやソユーズに搭乗とうじょうした経験けいけんがあり、次つぎのミッションで貢献こうけんできると思おもう。私わたしたちのクルーは考え方かんがえかたやバックグラウンドが違ちがう中なかで多様たよう性せいが力ちからをもたらすと考かんがえていて、すばらしいミッションになるはずだと思おもう」などと意気込いきごみを語かたりました。

野口のぐちさんの地元じもとでも歓声かんせい

野口のぐちさんが搭乗とうじょうする予定よていのアメリカの民間みんかん宇宙うちゅう船せんクルードラゴンの帰還きかんをスクリーンに映し出うつしだす特設とくせつの会場かいじょうが、野口のぐちさんにゆかりのある神奈川かながわ県けん茅ヶ崎ちがさき市しに設もうけられ、関係かんけい者しゃなどが見守みまもりました。

アメリカの民間みんかんの宇宙うちゅう船せん、クルードラゴンの次つぎの打ち上うちあげとなる運用うんよう段階だんかいの1号機ごうきには日本人にっぽんじん宇宙うちゅう飛行ひこう士しの野口のぐち聡さとし一いちさんが搭乗とうじょうすることになっていて、野口のぐちさんにゆかりがある神奈川かながわ県けん茅ヶ崎ちがさき市しの市役所しやくしょのロビーには特設とくせつの会場かいじょうが設もうけられ、クルードラゴンが帰還きかんする様子ようすがスクリーンに映し出うつしだされました。

スクリーンの前まえには野口のぐちさんの父親ちちおやや地元じもとの小学生しょうがくせいとその保護ほご者しゃなどおよそ50人にんが、新型しんがたコロナの感染かんせん対策たいさくを行おこなったうえで集あつまり、無事ぶじにクルードラゴンがアメリカのフロリダ州しゅうの沖合おきあいに着水ちゃくすいすると、大おおきな歓声かんせいとともに拍手はくしゅがわき起わきおこりました。

小学しょうがく5年生ねんせいの男の子おとこのこは「宇宙うちゅう船せんの着水ちゃくすいを初はじめて見みて驚おどろきました。将来しょうらい、宇宙うちゅう飛行ひこう士しになるということも目標もくひょうの1つになりました」と話はなしていました。

また、野口のぐちさんの父親ちちおやの幹夫みきおさん（85）は「宇宙うちゅうでは何なにが起おこるかわからない中なか、無事ぶじに着水ちゃくすいして安心あんしんしました。次つぎは息子むすこの番ばんですが立派りっぱに役目やくめを果はたしてほしいと思おもいます」と次つぎの搭乗とうじょうに期待きたいを込こめて話はなしていました。

野口のぐち聡さとし一いちさんのクルードラゴンへの搭乗とうじょうは、9月つき下旬げじゅん以降いこうに行おこなわれる予定よていになっています。

「クルードラゴン」宇宙うちゅうの商業しょうぎょう利用りようを象徴しょうちょう

クルードラゴンはアメリカの民間みんかん企業きぎょう、「スペースX」が開発かいはつした民間みんかんの宇宙うちゅう船せんです。

国際こくさい宇宙うちゅうステーションへ宇宙うちゅう飛行ひこう士しを輸送ゆそうするサービスをNASAに提供ていきょうする計画けいかくで、アメリカが進すすめる宇宙うちゅうの商業しょうぎょう利用りようを象徴しょうちょうする存在そんざいです。

また、スペースシャトルの退役たいえき以来いらい、アメリカが自国じこくの有人ゆうじん宇宙うちゅう船せんの運用うんようを行おこなうのは9年ねんぶりで、宇宙うちゅう開発かいはつでアメリカが主導しゅどう権けんを取り戻とりもどすための重要じゅうような宇宙うちゅう船せんでもあります。

クルードラゴンは全長ぜんちょう8メートル余あまりで飛行ひこう士しが乗り込のりこむ「カプセル」と機器ききが搭載とうさいされている「トランク」からなります。

流線型りゅうせんけいのデザインを取り入とりいれて居住きょじゅう性せいや操作そうさ性せいにすぐれているということで、宇宙うちゅう飛行ひこう士しは従来じゅうらいとは一新いっしんされた宇宙うちゅう服ふくを着きてタッチパネルを指ゆびで押おして宇宙うちゅう船せんを操縦そうじゅうします。

帰還きかんでは、飛行ひこう士しが乗のったカプセルの部分ぶぶんが戻もどることになっていて、カプセルに使つかわれている特殊とくしゅな炭素たんそ素材そざいが大気たいき圏けん突入とつにゅう時じの熱ねつからカプセルを保護ほごし、その後そのご、パラシュートを開ひらいて海うみに着水ちゃくすいします。

海うみに着水ちゃくすいして帰還きかんするのはアポロ以来いらいになります。

今回こんかいの飛行ひこうはクルードラゴンにとって初はじめての有人ゆうじんでの試験しけん飛行ひこうで、ことし5月つきの打ち上うちあげられて国際こくさい宇宙うちゅうステーションにドッキングし、そのまま、およそ2か月かげつ間かん、滞在たいざいしていました。

次つぎの打ち上うちあげから運用うんよう段階だんかいに入はいることになっていて、その1号機ごうきには日本人にっぽんじん宇宙うちゅう飛行ひこう士しの野口のぐち聡さとし一いちさんが搭乗とうじょうして9月つき下旬げじゅん以降いこうに行おこなわれるほか、2号機ごうきには星ほし出で彰彦あきひこさんが搭乗とうじょうする予定よていになっています。

アメリカ 宇宙うちゅう開発かいはつの主導しゅどう権けん奪還だっかんを目指めざす

アメリカは宇宙うちゅうの商業しょうぎょう利用りようを進すすめることで、経済けいざいの活性かっせい化かにつなげるとともに宇宙うちゅう開発かいはつのコストを抑おさえ、世界せかいの中なかで宇宙うちゅう開発かいはつの主導しゅどう権けんを取り戻とりもどすことを目指めざしています。

アメリカの有人ゆうじん宇宙うちゅう開発かいはつを支ささえたスペースシャトルは、事故じこの影響えいきょうで1回かいの打ち上うちあげが500億おく円えんから1000億おく円えんと言いわれるほどコストが高騰こうとうし退役たいえきとなりました。

そのため、NASA＝アメリカ航空こうくう宇宙うちゅう局きょくは「コマーシャルクループログラム」という計画けいかくを立たち上あげ、「スペースX」と「ボーイング」の民間みんかん企業きぎょう2社しゃを最終さいしゅう的てきに選えらび、競争きょうそうさせながら開発かいはつを促うながしてきました。

その中なかで、多おおくの関係かんけい者しゃの予想よそうを覆くつがえして、急速きゅうそくに技術ぎじゅつ力りょくを高たかめた「スペースX」が先さきに宇宙うちゅう船せんの開発かいはつに成功せいこうし、重要じゅうような宇宙うちゅう関連かんれん企業きぎょうに成長せいちょうしました。

「クルードラゴン」は飛行ひこう士し1人にん当あたりの打ち上うちあげがおよそ58億おく円えん程度ていどにコストが抑おさえられているとされていて、宇宙うちゅう旅行りょこうビジネスも今後こんご、本格ほんかく的てきに展開てんかいされる見込みこみです。

そのため、NASAは深ふか宇宙うちゅうと呼よばれる月つきや火星かせいなどのより遠とおくの宇宙うちゅう開発かいはつに注力ちゅうりょくすることができるようになり、世界せかいの中なかで宇宙うちゅう開発かいはつの主導しゅどう権けんを再ふたたび取り戻とりもどす戦略せんりゃくです。

一般いっぱんの人ひとにとっては、今後こんご、宇宙うちゅう旅行りょこうが本格ほんかく化かするなど、今回こんかいの飛行ひこうはより宇宙うちゅうが身近みぢかになっていく転機てんきになると見みられています。