「火ひ球だま」の隕石せきを発見はっけん「すごい音おとがして怖こわかった」隕石せきの起源きげんは

発見はっけんした女性じょせいは取材しゅざいに応おうじ、当時とうじはマンション2階かいの自宅じたくで寝ねていたということで、「急きゅうに『バーン』という金属きんぞくにものが当あたったような大おおきな音おとを聞きき、驚おどろいて目めが覚さめました。誰だれかが家いえに石いしを投なげつけたのかと思おもい怖こわかったので外そとには出でませんでした」と語かたりました。

朝あさになって、共用きょうようの廊下ろうかに大おおきさが4センチほどの石いしが落おちているのを見みつけ、廊下ろうかの手てすりにはくぼみもありましたが、その時ときは隕石せきだとは思おもわず、そのままにしていたということです。

しかし、翌日よくじつのニュースで隕石せきが千葉ちば県内けんないに落下らっかした可能かのう性せいがあると知しり、急いそいで拾ひろって保管ほかんし、近ちかくの博物館はくぶつかんに連絡れんらくしたということです。

女性じょせいは1階かいの中庭なかにわでも、大おおきさが5センチほどの隕石せきの破片はへんを見みつけたほか、その後そのご、専門せんもん家かも調しらべ、別べつの階かいからさらに15個こほどの細こまかい隕石せきの破片はへんが見みつかったということです。

女性じょせいは、「気きが付ついてよかったなと思おもっています。手元てもとにある隕石せきは、博物館はくぶつかんなどで展示てんじしてもらいたいです」と話はなしています。

見みつかった隕石せきの特徴とくちょう

千葉ちば県けん習志野ならしの市しで見みつかった隕石せきは国立こくりつ科学かがく博物館はくぶつかんに持ち込もちこまれ、分析ぶんせきされています。

隕石せきは主おもに2つに割われていて、1つは直径ちょっけいがおよそ4.5センチ、重おもさは63グラムで、表面ひょうめんが黒くろく溶とけたような跡あとがあり、中なかの岩石がんせきの部分ぶぶんは白しろっぽく見みえています。

もう1つは、直径ちょっけいがおよそ5センチ、重おもさは70グラムほどで、さびたような茶色ちゃいろい部分ぶぶんもあります。

地球ちきゅうにある岩石がんせきでは金属きんぞくはあまり含ふくまれていませんが、隕石せきでは鉄てつなどの金属きんぞくが多おおく含ふくまれているのが特徴とくちょうで、見みつかった隕石せきの茶色ちゃいろい部分ぶぶんは雨あめなどにさらされてさびたものとみられています。隕石せきの中なかでは最もっとも多おおくある「普通ふつうコンドライト」と呼よばれる種類しゅるいとみられるということです。

国立こくりつ科学かがく博物館はくぶつかんでは詳くわしい分析ぶんせきをしたうえで、今後こんご、「習志野ならしの隕石せき」と命名めいめいして国際こくさい隕石せき学会がっかいに登録とうろくを申請しんせいしたいとしています。

隕石せきの分析ぶんせきを担当たんとうする米田よねだ成しげる一いちグループ長ちょうは「かなり大おおきな火ひ球だまだったのでさらに大おおきなかけらがまだ見みつかっていないと考かんがえられる。もし隕石せきらしきものを見みつけたら学校がっこうの理科りかの先生せんせいなど身近みぢかな人ひとに見みてもらい、普通ふつうの石いしではないとなったら博物館はくぶつかんなどに連絡れんらくしてほしい」と話はなしています。

国内こくないで53番目ばんめの隕石せき

国立こくりつ科学かがく博物館はくぶつかんによりますと、今回こんかいの隕石せきは国内こくないで確認かくにんされたものとしては53番目ばんめになるということです。

これまで国内こくないで確認かくにんされた隕石せきとして、福岡ふくおか県けん直方のうがた市しに西暦せいれき861年ねんに落下らっかしたとされる「直方ちょくほう隕石せき」など古ふるいものや、2018年ねんに愛知あいち県けん小牧おまき市しで見みつかった「小牧こまき隕石せき」など53例れいがあります。

また、世界せかいでは、国際こくさい学会がっかいで確認かくにんされた隕石せきは6万まん個こ以上いじょうあり、発見はっけんのしやすい南極なんきょくや砂漠さばくで見みつかったものが多おおいということです。

隕石せきは、専門せんもん家かの間までは研究けんきゅうのために無償むしょうでやり取やりとりされていますが、愛好あいこう家かやコレクターの間までは売買ばいばいされるケースもあります。

今回こんかい、発見はっけんされた隕石せきは発見はっけんされる隕石せきのおよそ8割わりを占しめる「普通ふつうコンドライト」と呼よばれる種類しゅるいとみられ、1グラム当あたり数すう千せん円えんで売うられているということです。そして、日本にっぽんの小惑星しょうわくせい探査たんさ機き「はやぶさ2」が探査たんさした小惑星しょうわくせい「リュウグウ」の岩石がんせきに近ちかいとされる「炭素たんそ質しつコンドライト」は発見はっけん事例じれいが少すくなく1グラム当あたり数すう万まん円えん、さらに貴重きちょうな「月つき隕石せき」は1グラム当あたり数すう十じゅう万まん円えん、「火星かせい隕石せき」になると1グラム当あたり100万まん円えんほどで売買ばいばいされることもあるということです。

一方いっぽうで、小惑星しょうわくせいやそのかけらが地球ちきゅうの大気たいき圏けんに落下らっかすることは比較的ひかくてき、小ちいさいものだと頻繁ひんぱんにあるとされています。今回こんかいの隕石せきは、大気たいき圏けんに突入とつにゅうする時点じてんでの大おおきさは1メートルに達たっしない程度ていどだとみられていて、地球ちきゅうに落下らっかする数かずは大おおきさが1メートル程度ていどのものだと年としに100個こほど、直径ちょっけい4メートル程度ていどだと1年ねんに1個こ程度ていどだということです。

しかし、さらに大おおきくなると少すくなくなり、直径ちょっけい20メートル程度ていどだと50年ねんから100年ねんに1度ど、およそ6600万まん年ねん前まえ、恐竜きょうりゅう絶滅ぜつめつを招まねいたとされる直径ちょっけい10キロ程度ていどのものは1億おく年ねんに1度どとされています。

2013年ねんにロシア中部ちゅうぶのチェリャビンスク州しゅうに落下らっかした隕石せきの事例じれいでは、直径ちょっけい17メートル、重おもさ1万まんトンの小惑星しょうわくせいが大気たいき圏けんに突入とつにゅうしたと推定すいていされていて、数すう十じゅう年ねんに1度どの大おおきさだったと考かんがえられています。

隕石せきの起源きげん 国内こくないで初はじめて推定すいてい

今回こんかいの隕石せきは、ある特定とくていの3つの小惑星しょうわくせいのいずれかからきた可能かのう性せいがあることがわかり、隕石せきの起源きげんが推定すいていされた国内こくないでは初はじめてのケースとして注目ちゅうもくされています。

その3つの小惑星しょうわくせいは、「2020ＬＴえるてぃ-1」、「2008Ｗだぶりゅ-Ｈえいち96」、「2019ＮＰ1」の3つです。いずれも大おおきさが直径ちょっけい100メートル以下いかの小ちいさな小惑星しょうわくせいです。国内こくないで見みつかった隕石せきは今回こんかいを含ふくめて53ありますが、軌道きどうが特定とくていでき、どの小惑星しょうわくせいからきたのか起源きげんが推定すいていされたケースは今回こんかいが初はじめてです。

なぜ今回こんかいは起源きげんを推定すいていすることができたのか。それは、あの火ひ球だまの映像えいぞうです。日本にっぽん大学だいがくの阿部あべ新しん助じょ准じゅん教授きょうじゅは異ことなる地点ちてんから撮影さつえいされた映像えいぞうがあったことが大おおきいと言いいます。

関東かんとう地方ちほうは、観測かんそく用ようのカメラも多おおく設置せっちされていて、しかも強つよく光ひかったために各地かくちの映像えいぞうに記録きろくされたのです。それを分析ぶんせきすることで、どの方向ほうこうからどのような向むきで大気たいき圏けんに入はいってきたか分析ぶんせきし、もともとの軌道きどうを決定けっていすることができました。

その軌道きどうは、地球ちきゅうの内側うちがわから火星かせいの外側そとがわに至いたる楕円だえん軌道きどうで、細こまかい角度かくどなどもわかりました。およそ2万まん3500個この小惑星しょうわくせいと比較ひかくすると、この軌道きどうは3つの小惑星しょうわくせいとよく一致いっちしたということです。

こうして、3つの小惑星しょうわくせいのいずれかからきた可能かのう性せいがあることがわかったのです。

阿部あべ准じゅん教授きょうじゅは3つの小惑星しょうわくせいを観測かんそくして隕石せきの分析ぶんせき結果けっかと比較ひかくすれば、さらに絞り込しぼりこむことも可能かのうだとしています。阿部あべ准じゅん教授きょうじゅは「起源きげんが推定すいていされた隕石せきは世界せかい的てきにも少すくない。いわば、血統書付けっとうしょつきの隕石せきで非常ひじょうに貴重きちょうだ」と話はなしています。