男子はキプチョゲ選手が世界記録を上回るペースで序盤から独走すると、後半、さらにペースを上げて2時間1分39秒の世界新記録で優勝しました。
これまでの記録は、ケニアのデニス・キメット選手が2014年のベルリンマラソンでマークした2時間2分57秒で、キプチョゲ選手はこれを一気に1分以上、更新しました。
日本勢では中村選手が自己ベストを2分以上更新する2時間8分16秒で4位に入ったほか、佐藤悠基選手が2時間9分18秒の6位、上門大祐選手が2時間11分7秒で8位などとなりました。
また女子はケニアのグラディス・チェロノ選手が2時間18分11秒で優勝しました。
日本勢は松田選手が2時間22分23秒で5位、前田穂南選手が2時間25分23秒で7位、初マラソンの上原美幸選手が2時間25分46秒で9位、小原怜選手が2時間27分29秒で10位に入りました。
小原選手は新たに再来年の東京オリンピックの代表選考会、「マラソングランドチャンピオンシップ」の出場権を獲得しました。
キプチョゲ「とてもうれしい」
2時間1分39秒の世界新記録で優勝したケニアのエリウド・キプチョゲ選手は、「とてもうれしい。タイムには満足しているし、不可能はないと証明できた。最初の1キロで『できるんだ』と自分を信じることができた」と笑顔で話しました。
また将来2時間を切ることも可能か、という質問に対しては「信じれば必ずできる」と答え、2大会連続の金メダルを目指す再来年の東京オリンピックに向けても「必ず出場する。日本で会いましょう」と意欲を示しました。
キプチョゲ選手とは
ケニアのエリウド・キプチョゲ選手は、33歳。
もともとは長距離のトラック種目の選手で、オリンピックの男子5000メートルでは2004年のアテネ大会で銅メダル、2008年の北京大会で銀メダルを獲得しました。
マラソンには2012年に転向し、2016年のロンドンマラソンで2時間3分5秒の当時世界歴代2位の記録をマークし、さらにこの年リオデジャネイロオリンピックの男子マラソンで金メダルを獲得しました。
また去年5月には、イタリアのサーキットで開かれた「マラソンの2時間の壁」に挑戦する催しで、非公認ながら2時間25秒をマークし、「2時間切りに最も近い選手の1人」と言われていました。
キプチョゲ選手は、今回のベルリンマラソンの優勝でこれまで出場したマラソンの試合は11戦10勝と圧倒的な強さでさらに33歳でこれまでの世界記録を1分以上縮めたことで世界に大きな衝撃を与えました。
中村「まずまず」
自己記録を2分以上更新する2時間8分16秒のタイムで日本勢トップの4位に入った中村匠吾選手は、「5キロすぎからずっと1人での走りになったが自己ベストを更新することができたのでまずまずだと思う。日本記録も意識したが、30キロ以降でペースを維持できなかったので今後の課題にしたい」と振り返りました。
1年後に迫った「マラソングランドチャンピオンシップ」については、「今回のベルリンマラソンが来年の選考レースと同じ時期にある大会だったので練習や調整の流れを確認しようと考えていた。あと1年しっかり準備して東京オリンピックにつなげていきたい」と話しました。
松田「すごく悔しい」
女子の松田瑞生選手は、今回が2回目のマラソンで、自己記録を21秒更新する2時間22分23秒のタイムで日本勢トップの5位に入りました。
それでもレース後は悔し涙を流しながら取材に応じ、「15キロ地点でペースが崩れてしまって目標タイムに届かずすごく悔しい。緩やかな起伏が多く、高速レースということもあり足に負担がかかった」と振り返りました。
そして1年後に迫った「マラソングランドチャンピオンシップ」については、「今回は目標に全然到達できなかったので、100%の力を出せるようにこれから1年かけて練習したい」と話しました。