横浜市消防局によりますと、12日は横浜市保土ケ谷区にある消防の庁舎でも職員がガスのような臭いを感じたということで、直ちに庁舎4階の渡り廊下から2つの袋に空気を採取したということです。
これまでの一連の異臭に関する通報では消防が現場に到着した際にはすでに臭いが消えていて、空気が採取されたのはこれが初めてで、現在、横浜市の環境科学研究所で成分を分析しているということです。
早ければ12日夜にも結果が出るということで、横浜市などは分析結果を待って異臭の原因をさらに調べることにしています。
これまでの異臭通報の経緯
横浜市や横須賀市などでは、ことし6月以降、海に近い地域を中心に異臭がするといった通報が相次ぐようになりました。
6月事案
はじめて通報が相次いだのはことし6月4日の午後8時すぎでした。
三浦市で「ゴムが焼けるような異臭がする」と消防に通報がありました。
同じような通報はこのあと徐々に北上しながら横須賀市や逗子市からも寄せられるようになり、この日は、午後10時までに消防だけで200件以上寄せられました。
このとき、横須賀市内に住む女性が気分が悪くなって救急搬送されました。
7月事案
およそ1か月後の7月17日にも再び横須賀市で同じような通報がありました。
午前10時40分ごろから30分ほどの間に横須賀市浦賀や久里浜など市の沿岸部から消防に7件の通報が相次ぎました。
8月事案
さらに3回目は8月21日でした。
午前8時半ごろから午前9時すぎにかけて横須賀市津久井や久里浜など沿岸の地域から「ガスのような臭いがする」といった通報が消防に30件以上相次ぎました。
また、横須賀海上保安部によりますと、このときは横須賀市沖の海上でも若干異臭がしたという情報があったということです。
9月事案
4回目は、9月19日でした。
午前9時半ごろまでの1時間ほどの間に横須賀市馬堀海岸や大滝町、安針台などから「ガスの臭いがする」などといった通報が7件ありました。
10月事案-1
今月に入ると通報が寄せられるエリアは横浜市にも広がりました。
今月1日午後6時半前から9時ごろにかけて中区や南区、港南区、戸塚区などから通報が寄せられたほか、横須賀市でも同様の通報があり、合わせて20件ほどでした。
10月事案-2
その2日後、今月3日にも横浜市で同じような通報が消防に相次ぎました。
午後5時ごろから夜にかけて中区や神奈川区、港北区などから25件寄せられました。
10月事案-3
そして12日も夕方、横浜駅やその周辺から消防に通報が10件相次ぎました。
県が本格的な調査に乗り出していますが、これまでのところ原因は分かっていません。
官房長官「協力して対応したい」
加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で「ことし6月以降、横須賀市や横浜市など神奈川県内で原因不明の異臭騒ぎが相次いでいると承知しており、今の時点で、異臭発生源の特定や異臭物質などについて確認できていない状況にあると聞いている。政府としては、引き続き、関係自治体から情報収集するとともに、自治体からの相談のほか、異臭発生源や異臭物質などが判明した際には必要に応じて専門家を派遣するなど、協力して対応していきたい」と述べました。
小泉環境相「原因究明に取り組みたい」
神奈川県内で異臭を訴える通報が相次いでいることについて、小泉環境大臣は13日の記者会見で「いままでにない事案でどう対応したらいいのか、どの専門家を派遣すればいいのかなど難しい案件だと聞いている。大気汚染物質の常時監視局のデータも活用して、環境省としても原因の究明に取り組んでいきたい」と述べました。
「常時監視局」は、二酸化硫黄や窒素酸化物などの大気汚染物質の濃度を24時間体制で測定していて、神奈川県内には92か所設置されているということです。