アメリカ大統領選挙で
勝利を
宣言した
民主党のバイデン
前副大統領は、
大統領に
就任後、
医療保険制度の
拡充に
直ちに取り組むとアピールし、
政権移行の
準備を
進めています。
これに対し、
トランプ大統領は
選挙での
不正を
主張していて、
政権移行の
手続きに
遅れが
出ることも
懸念されています。バイデン
氏は10
日、
会見を
開き、
選挙戦の
争点にもなった
医療保険制度改革について、「
適用範囲を
拡大し、
負担を
軽減するため、
来年1
月、
速やかに
議会と
協力する」と
述べ、
大統領に
就任後、
制度の
拡充に
直ちに取り組むとアピールしました。
そのうえでバイデン氏は、トランプ大統領が選挙で不正があったと主張し続けていることについて「恥ずべきことだ。大統領のレガシー=政治的遺産にとってよいことではない」と批判し、政権移行に向けた準備を進めていく考えを示しました。
そのトランプ大統領は、10日も公の場に現れず、ツイッターに選挙の不正を訴える投稿を続けています。
また、ポンペイオ国務長官も会見で、政権移行に協力するか聞かれ「トランプ政権の2期目への移行が滞りなく行われる」と述べ、選挙に勝ったのはトランプ大統領だと主張しました。
こうした中、アメリカの情報機関を統括する国家情報長官室は10日、NHKの取材に対し、政権移行を支援する政府の部門が勝者を認定するまでは、バイデン氏側とは接触しないと明らかにしました。
バイデン氏も会見で、通常、次期大統領に対して行われる情報機関による機密情報の報告をまだ受けていないことを認め、両陣営の対立が長引けば、政権移行の手続きに遅れが出ることが懸念されています。
政権移行チーム 引き継ぎ担当540人余を発表
バイデン氏の政権移行チームは10日、来年1月20日の新政権発足に向けて、各省庁で引き継ぎを担当する主要メンバー540人余りの名簿を発表しました。
メンバーは、シンクタンクの研究員や政府の元高官などで、国務省や国防総省といった各省庁で課題などを洗い出し、政権移行の準備を進めます。
引き継ぎは通常、各省庁で行われますが、今回はトランプ政権が「選挙の結果がまだ確定していない」として、政権移行に応じない姿勢を示していることから、まずは、各省庁の現状に詳しい外部の専門家や元高官などとの意見交換から始めるとしています。
政権移行チームの共同議長を務めるカウフマン元上院議員は「アメリカは、新型コロナウイルスや経済危機、それに気候変動の脅威などの課題に直面している。切れ目のない政権移行に向けて準備しなければならない」と述べ、速やかな引き継ぎの重要性を強調しました。
バイデン氏の陣営としては、引き継ぎを担当するメンバーを発表することで、トランプ政権に圧力を加えるねらいもあるものと見られます。
また、引き継ぎを担当するメンバー540人余りの半分以上を女性が占めているほか、有色人種や性的マイノリティー、それに障害のある人も多いということで、バイデン氏の陣営は、歴代政権の引き継ぎメンバーの中で、最も多様性を表していると強調しています。