台湾たいわん総統そうとう選せん正式せいしきスタート 再選さいせん目指めざす蔡氏し 中国ちゅうごくへの強硬きょうこう姿勢しせい鮮明せんめい

大勢たいせいの支持しじ者しゃに迎むかえられた蔡総統そうとうは「次つぎの４よん年間ねんかん、台湾たいわんの防衛ぼうえいにしっかり取り組とりくみ、皆みなさんを心配しんぱいさせません。もっと前途ぜんとのある未来みらいのある台湾たいわんに一緒いっしょにしていきましょう」と訴うったえました。

選挙せんきょ戦せんは蔡総統そうとうのほか、高雄たかお市長しちょうで最大さいだい野党やとう・国民党こくみんとうの韓国かんこく瑜氏し（62）、少数しょうすう野党やとう、親おや民みん党とうトップの宋そう楚瑜そゆ氏し（77）の３さん人にんが争あらそっていて、世論せろん調査ちょうさでは蔡総統そうとうがリードしています。

今回こんかいの選挙せんきょについて、蔡総統そうとうは中国ちゅうごくが介入かいにゅうしていると繰り返くりかえし主張しゅちょうしていて、民進党みんしんとうは先月せんげつ下旬げじゅん、海外かいがいの敵対てきたい勢力せいりょくから指示しじを受うけた政治せいじ献金けんきんや選挙せんきょへの介入かいにゅうなどを防ふせぐ法案ほうあんを議会ぎかいに提出ていしゅつしました。

こうした動うごきについて中国ちゅうごく政府せいふで台湾たいわん問題もんだいを担当たんとうする国務こくむ院いん台湾たいわん事務じむ弁べん公おおやけ室しつの報道ほうどう官かんは「民進党みんしんとうは法ほう改正かいせいなどを通をとおして政治せいじ的てきな操作そうさを続つづけていて、双方そうほうで交流こうりゅうを続つづける人々ひとびとを萎縮いしゅくさせることになる」などと批判ひはんしています。

民進党みんしんとうはこの法案ほうあんを今月こんげつ末まつにも可決かけつに持ち込もちこむ方針ほうしんで、選挙せんきょ戦せんが激はげしくなる中なかで、蔡政権せいけんは中国ちゅうごくへの強硬きょうこうな姿勢しせいを一段いちだんと鮮明せんめいにしています。

世論せろん調査ちょうさは蔡総統そうとうがリード

台湾たいわんのテレビ局てれびきょく「ＴＶＢＳ」が行おこなった最新さいしんの世論せろん調査ちょうさによりますと、民進党みんしんとうの蔡氏しの支持しじ率りつが51％、国民党こくみんとうの韓国かんこく瑜氏しが29％、親おや民みん党とうの宋そう楚瑜そゆ氏しが７なな％となっていて、中国ちゅうごくと距離きょりを置おく蔡氏しが香港ほんこん情勢じょうせいなどを受うけて強つよまる中国ちゅうごくへの警戒けいかい感かんを追い風おいかぜにリードする展開てんかいとなっています。

蔡氏しを追おいかける韓かん氏しは、去年きょねんの統一とういつ地方ちほう選挙せんきょで幅広はばひろい世代せだいから人気にんきを集あつめてブームを巻き起まきおこし、高雄たかお市長しちょうに当選とうせんした人物じんぶつですが、今回こんかいは中国ちゅうごくに融和ゆうわ的てきな立場たちばが逆風ぎゃくふうとなり、去年きょねんほどの勢いきおいは見みられません。

庶民しょみん派はのイメージを前面ぜんめんに出だして戦たたかう韓かん氏しは、蔡氏しよりも分わかりやすい口調くちょうが50代だい以上いじょうの一定いっていの支持しじを得えていて、暮くらしや地域ちいき経済けいざいの振興しんこうなどを争点そうてんにしながら、巻き返まきかえしを図はかるものとみられます。

中国人ちゅうごくじん男性だんせいがスパイ活動かつどうか

台湾たいわんで中国ちゅうごくへの警戒けいかい感かんが強つよまるなか、先月せんげつ、オーストラリアに亡命ぼうめいを求もとめている中国人ちゅうごくじんの男性だんせいが台湾たいわんの選挙せんきょに関にかんする工作こうさくを行おこなうなどスパイ活動かつどうに関かかわっていたと現地げんちメディアが伝つたえ、波紋はもんが広ひろがっています。

オーストラリアメディアは、先月せんげつ23日にち、亡命ぼうめいを求もとめている20代だいの中国人ちゅうごくじん男性だんせいが勤務きんむ先さきの香港ほんこんにある会社かいしゃの幹部かんぶから指示しじを受うけて、去年きょねん秋あきに行おこなわれた台湾たいわんの統一とういつ地方ちほう選挙せんきょで、親中しんちゅう的てきな候補こうほが勝かつよう工作こうさくを行おこない、来月らいげつの総統そうとう選挙せんきょでも偽造ぎぞうパスポートを使つかって台湾たいわんに入はいり、蔡総統そうとうの再選さいせんを阻止そしするよう指示しじを受うけていたなどとする証言しょうげんを報ほうじました。

国民党こくみんとうを支援しえんしたとする男性だんせいは、その手法しゅほうについて台湾たいわんのメディアに投資とうしして特定とくていの候補こうほ者しゃを報ほうじるようしむけるなどしたほか、中国ちゅうごくの情報じょうほう当局とうきょくが大学生だいがくせいらによる「サイバー部隊ぶたい」を作つくることを手伝てつだったとしています。

これを受うけて台湾たいわんの検察けんさつ当局とうきょくは、男性だんせいが勤務きんむ先さきとする香港ほんこんの会社かいしゃの幹部かんぶの夫婦ふうふを滞在たいざい先さきの台湾たいわんで見みつけ、台湾たいわんから離はなれることを禁きんじる措置そちを取とったうえで、スパイ活動かつどうを行おこなっていたかどうか詳くわしく調しらべています。

蔡総統そうとうは「しっかり調しらべて真実しんじつを明あきらかにしなければならないが、中国ちゅうごくによる選挙せんきょへの介入かいにゅうや台湾たいわん社会しゃかいに深ふかく入り込はいりこむ行為こういは常つねに起おきている」と述のべました。

これに対にたいし、中国ちゅうごく政府せいふで台湾たいわん問題もんだいを担当たんとうする国務こくむ院いん台湾たいわん事務じむ弁べん公おおやけ室しつの報道ほうどう官かんは「男おとこは詐欺さぎの疑うたがいがある逃亡とうぼう犯はんで、民進党みんしんとうは詐欺さぎ犯はんと組くんで大陸たいりく側がわによる選挙せんきょへの介入かいにゅうという幻想げんそうを作り出つくりだし、台湾たいわんの民衆みんしゅうをだまそうとしている」と反論はんろんしています。

こうした中なか、与党よとう・民進党みんしんとうは中国ちゅうごくが選挙せんきょに介入かいにゅうする懸念けねんが強つよまっているとして、海外かいがいの敵対てきたい勢力せいりょくから指示しじを受うけた政治せいじ献金けんきんや選挙せんきょへの介入かいにゅうなどを防ふせぐ法案ほうあんを議会ぎかいに提出ていしゅつしました。

先月せんげつ28日にちには、議会ぎかいで公聴こうちょう会かいが開ひらかれ、国民党こくみんとうは「投票とうひょうまで40日にち余あまりの時期じきに法案ほうあんを提案ていあんするのは無む責任せきにんだ」と批判ひはんしましたが、民進党みんしんとうは今月こんげつ末まつにも可決かけつに持ち込もちこむ方針ほうしんです。

台湾たいわんでは、これまでにも中国ちゅうごくのスパイによる軍ぐんの関係かんけい者しゃなどへの接触せっしょくの試こころみが明あきらかになっているほか、一部いちぶのメディアや宗教しゅうきょう団体だんたい、さまざまな業種ぎょうしゅの団体だんたいが中国ちゅうごくとの交流こうりゅうを通をつうじて中台ちゅうたい統一とういつを目指めざすようしむけられているという指摘してきが後ごを絶たたず、台湾たいわんの議会ぎかいでは先週せんしゅう、スパイに関与かんよした罪つみの量刑りょうけいを最高さいこうで無期むき懲役ちょうえきに引き上ひきあげる法ほう改正かいせいが行おこなわれたばかりです。

中国ちゅうごく政府せいふは“揺ゆさぶり”

中国ちゅうごく政府せいふは、３さん年ねん前まえの政権せいけん交代こうたいで蔡英文えいぶん政権せいけんが発足ほっそくして以降いこう、「１ひとつの中国ちゅうごく」の原則げんそくを受け入うけいれていないことを批判ひはんし、当局とうきょくどうしの公的こうてきな対話たいわを停止ていしするなどさまざまな手段しゅだんで圧力あつりょくをかけて揺ゆさぶりを続つづけています。

ことし１月いちがつには、習近平ちから国家こっか主席しゅせきが将来しょうらい的てきな台湾たいわん統一とういつの方法ほうほうとして「一いち国こく二に制度せいど」が最良さいりょうだという考かんがえを示しめし、蔡総統そうとうが「絶対ぜったい受け入うけいれられず、大だい多数たすうの台湾たいわんの人々ひとびとも断固だんこ反対はんたいだ」と述のべて、激はげしく反発はんぱつしました。

中国ちゅうごく政府せいふは、ことし８月はちがつから台湾たいわんへの個人こじん旅行りょこうの渡航とこう許可きょかを一時いちじ的てきに停止ていしするなどし、台湾たいわんを訪おとずれる中国人ちゅうごくじん観光かんこう客きゃくは９月くがつ以降いこう、前まえの年としに比くらべて４よん割わり以上いじょう減へっています。

中国ちゅうごく政府せいふは停止ていしした理由りゆうについて、「民進党みんしんとう当局とうきょくが、『台湾たいわん独立どくりつ』の動うごきを推し進おしすすめ、大陸たいりくへの敵意てきいをあおったことが個人こじん旅行りょこうの条件じょうけんを著いちじるしく破壊はかいした」としています。

蔡政権せいけんは、過去かこにも選挙せんきょの前まえに観光かんこう客きゃくを制限せいげんした例れいがあったとし、経済けいざい面めんで圧力あつりょくをかけるねらいがあるとみています。

外交がいこう面めんの圧力あつりょくも続つづいていて、蔡政権せいけんの発足ほっそく以降いこう、台湾たいわんと外交がいこう関係かんけいのあった国々くにぐにが次々つぎつぎと断交だんこうして中国ちゅうごくと国交こっこうを樹立じゅりつさせています。

ことし９月くがつには、南太平洋みなみたいへいようのキリバスとソロモン諸島しょとうが相次あいついで断交だんこうして中国ちゅうごくと国交こっこうを結むすぶことを決きめ、台湾たいわんと外交がいこう関係かんけいにある国くには蔡政権せいけん発足ほっそく時じの22か国かこくから過去かこ最少さいしょうの15か国かこくにまで減少げんしょうしました。

さらに、中国ちゅうごく政府せいふはことし11月つき、台湾たいわんの人ひとたちが企業きぎょう活動かつどうなどで中国ちゅうごく本土ほんどの人ひとたちと同おなじ待遇たいぐうを受うけられる新あらたな優遇ゆうぐう策さくを発表はっぴょうするなど、再選さいせんを目指めざす蔡総統そうとうに揺ゆさぶりをかけています。