米べいFRB利上りあげ見送みおくり 3会合かいごう連続れんぞく 来年らいねん少すくなくとも3回かい利下りさげ見通みとおし

また、あわせて会合かいごうの参加さんか者しゃによる政策せいさく金利きんりの見通みとおしが示しめされ、来年らいねん・2024年ねんは少すくなくとも年とし3回かいの利下りさげが想定そうていされる内容ないようとなりました。

FRBは12日にちから2日間にちかん、金融きんゆう政策せいさくを決きめる会合かいごうを開ひらきました。

声明せいめいでは「経済けいざい活動かつどうの成長せいちょうは力強ちからづよいペースから減速げんそくしている。インフレは依然いぜんとして高たかい水準すいじゅんだが和やわらいできている」などとして経済けいざいの減速げんそくとインフレの鈍化どんかに言及げんきゅうしました。

そして会合かいごうの結果けっか、利上りあげを見送みおくり、政策せいさく金利きんりを据え置すえおくことを決定けっていしました。

FRBが利上りあげを見送みおくるのは3会合かいごう連続れんぞくで、政策せいさく金利きんりは現在げんざいの5.25％から5.5％の幅はばを維持いじします。

また、今回こんかいの会合かいごうでFRBは参加さんか者しゃによる政策せいさく金利きんりの見通みとおしを示しめしました。

来年らいねん・2024年ねん末まつ時点じてんの金利きんり水準すいじゅんの見通みとおしの中央ちゅうおう値ちは今いまの水準すいじゅんより0.8ポイント低ひくい4.6％で、1回かいの利下りさげ幅はばを0.25％とすると来年らいねんは少すくなくとも年とし3回かいの利下りさげが想定そうていされる内容ないようとなりました。

FRBが去年きょねん3月つき以降いこう続つづけてきた利上りあげなど金融きんゆう引き締ひきしめの効果こうかがあらわれている形かたちです。

会合かいごう後ごの記者きしゃ会見かいけんでFRBのパウエル議長ぎちょうは、「金融きんゆう引き締ひきしめの政策せいさくで政策せいさく金利きんりはピークに近ちかい可能かのう性せいがあるだろう」としたうえで、今回こんかいの会合かいごうで利下りさげの開始かいし時期じきについて議論ぎろんしたことを明あきらかにしました。

パウエル議長ぎちょう“インフレ落ち着おちつくも継続けいぞく的てき低下ていか確実かくじつでない”

会合かいごう後ごの記者きしゃ会見かいけんで、FRBのパウエル議長ぎちょうは「FRBの政策せいさくは金融きんゆう引き締ひきしめ的てきな領域りょういきに入はいっている。この政策せいさくは経済けいざい活動かつどうを減速げんそくさせインフレを抑え込おさえこむことに圧力あつりょくをかけているが、政策せいさく効果こうかはまだ十分じゅうぶんに現あらわれたとは感かんじられない」と述のべました。

そのうえで、「失業しつぎょうが著いちじるしく増加ぞうかすることなく、高たかかったインフレ率りつが落ち着おちついていることはいいニュースだ。しかしインフレ率りつは依然いぜんとして高たかすぎるし、継続けいぞく的てきな低下ていかは確実かくじつではなく、先行さきゆきは不透明ふとうめいな状況じょうきょうだ」と述のべました。

また、今後こんごの利下りさげの見通みとおしについて「いつになったら金融きんゆう引き締ひきしめを戻もどすのが適切てきせつなのかという疑問ぎもんについては視野しやに入はいってくるし、きょうの会合かいごうでも議論ぎろんした」と述のべ、今回こんかいの会合かいごうでも利下りさげが議題ぎだいにのぼったことを明あきらかにしました。

さらに、今後こんごの金融きんゆう政策せいさくついて「会合かいごうの参加さんか者しゃは、これ以上いじょうの利上りあげが適切てきせつである可能かのう性せいは低ひくいと見みているが、かといって利上りあげの可能かのう性せいを議題ぎだいから外はずすことは望のぞんでいない。参加さんか者しゃが示しめした金利きんり水準すいじゅんの見通みとおしは2025年ねん末まつに3.6％、2026年ねん末まつに2.9％で長期ちょうきの金利きんり水準すいじゅんを依然いぜんとして上回うわまわっている。経済けいざいが予測よそく通どおりに進展しんてんしない場合ばあい、政策せいさくは適宜てきぎ、修正しゅうせいされる」と述のべました。

また「金融きんゆう引き締ひきしめの過程かていを経へて政策せいさく金利きんりはピークに近ちかい可能かのう性せいがあるだろう」とした一方いっぽうで、「2％の物価ぶっか目標もくひょうに向むけた道筋みちすじは不確ふたしかで、必要ひつようであれば一段いちだんと金融きんゆう引き締ひきしめを行おこなう用意よういがある」とも述のべました。

加くわえて「力強ちからづよい経済けいざい成長せいちょうは緩ゆるやかになりつつある。労働ろうどう市場しじょうはバランスを取り戻とりもどし、インフレはだいぶ落ち着おちついてきている。待ち望まちのぞんでいた状況じょうきょうだ。ただ、まだ道みち半なかばで誰だれも勝利しょうり宣言せんげんはしていない。それは時期じき尚早しょうそうだ。もう一段いちだんの金融きんゆう引き締ひきしめを行おこなう必要ひつようがあるのかどうかの評価ひょうかを慎重しんちょうに行いっている」と述のべました。

円えん相場そうば 一時いちじ 1ドル＝142円えん台だい後半こうはんまで値上ねあがり

13日にちのニューヨーク外国がいこく為替かわせ市場しじょうではFRB＝連邦れんぽう準備じゅんび制度せいど理事りじ会かいの会合かいごうの結果けっかやその後そのごのパウエル議長ぎちょうの会見かいけんを受うけて円えん高だかが進すすみ、発表はっぴょう前まえに1ドル＝145円えん台だいで推移すいいしていた円えん相場そうばは一時いちじ、1ドル＝142円えん台だい後半こうはんまで2円えん以上いじょう値上ねあがりしました。

FRBの会合かいごうの参加さんか者しゃによる政策せいさく金利きんりの見通みとおしが示しめされ、来年らいねん・2024年ねんは少すくなくとも年とし3回かいの利下りさげが想定そうていされる内容ないようだったことなどから日にち米べいの金利きんり差さの縮小しゅくしょうが意識いしきされて円えんを買かってドルを売うる動うごきが強つよまりました。

会合かいごう参加さんか者しゃによる政策せいさく金利きんりの見通みとおし

【政策せいさく金利きんりの水準すいじゅん】

今回こんかいの会合かいごうで、FRBは会合かいごうの参加さんか者しゃ19人にんによる政策せいさく金利きんりの見通みとおしを示しめしました。

参加さんか者しゃがそれぞれ適切てきせつだと考かんがえる金利きんりが点てん＝ドットで示しめされることからドット・チャートと呼よばれ、市場しじょうではその中央ちゅうおう値ちがFRBが目指めざす金利きんり水準すいじゅんだと受け止うけとめられています。

それによりますと、来年らいねん・2024年ねん末まつ時点じてんの金利きんり水準すいじゅんの中央ちゅうおう値ちは4.6％で、2023年ねんの見通みとおしから0.8ポイント引き下ひきさげられました。

政策せいさく金利きんりの1回かいあたりの引き下ひきさげを0.25％とすると、来年らいねんは少すくなくとも3回かいの利下りさげが行おこなわれる想定そうていです。

また、2025年ねん末まつ時点じてんの金利きんり水準すいじゅんの中央ちゅうおう値ちは3.6％となっていて、さらに4回かいの利下りさげが行おこなわれる計算けいさんです。

2026年ねん末まつ時点じてんでの金利きんり水準すいじゅんは2.9％という予測よそくでした。

【個人こじん消費しょうひ支出ししゅつの物価ぶっか指数しすう】

FRBは、インフレの実態じったいを見極みきわめる指標しひょうとして重視じゅうししているPCE＝個人こじん消費しょうひ支出ししゅつの物価ぶっか指数しすうの上昇じょうしょう率りつの見通みとおしも示しめしました。

それによりますと、ことし10月つきから12月つきのPCEの物価ぶっか指数しすうの上昇じょうしょう率りつは去年きょねんの同おなじ時期じきと比くらべて2.8％と、前回ぜんかい・ことし9月つき時点じてんの見通みとおしの3.3％から引き下ひきさげられました。

来年らいねん10月つきから12月つきについての上昇じょうしょう率りつは2.4％となり、2026年ねんに2.0％とFRBの物価ぶっか目標もくひょうに到達とうたつする予測よそくになっています。

【GDP・失業しつぎょう率りつ】

来年らいねん10月つきから12月つきのアメリカのGDP＝国内こくない総そう生産せいさんの予測よそくは、ことしの同おなじ時期じきと比くらべた実質じっしつの伸のび率りつで、1.4％と前回ぜんかいの見通みとおしの1.5％からわずかに引き下ひきさげられました。

また来年らいねん10月つきから12月つきの平均へいきんの失業しつぎょう率りつについては前回ぜんかいと同おなじ4.1％と予測よそくしています。

今回こんかい、参加さんか者しゃが示しめした見通みとおしは失業しつぎょう率りつの大幅おおはばな上昇じょうしょうなど景気けいき後退こうたいを招まねくことなくインフレを抑おさえこむ、いわゆるソフトランディングが実現じつげんできることを示しめす内容ないようとなっています。

FRBの政策せいさくの経緯けいい

【利上りあげ開始かいし】

FRBが利上りあげを開始かいししたのは去年きょねん3月つき。

それまでのゼロ金利きんり政策せいさくを解除かいじょして金融きんゆう引き締ひきしめへと転換てんかんします。

金融きんゆう引き締ひきしめによって景気けいきを冷ひやすことでインフレを抑おさえこむねらいでした。

しかし、その後そのごもインフレに収束しゅうそくの兆きざしは見みえず、去年きょねん6月つきの消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうは前まえの年としの同おなじ月つきと比くらべて9.1％の上昇じょうしょうと、およそ40年ねんぶりの記録きろく的てきな水準すいじゅんとなりました。

【大幅おおはばな利上りあげに】

このためFRBは、去年きょねん6月つき以降いこう、11月つきの会合かいごうまで4回かい連続れんぞくで0.75％という大幅おおはばな利上りあげに踏み切ふみきりました。

【利上りあげ幅はばを縮小しゅくしょう】

その後そのご発表はっぴょうされた消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうは上昇じょうしょう率りつが前まえの月つきを下回したまわる傾向けいこうが続つづいたことなどから、去年きょねん12月つきの会合かいごうでは利上りあげ幅はばを0.5％に縮小しゅくしょうしました。

2023年ねん1月つき31日にちと2月つき1日にちに開ひらいたこの年とし、最初さいしょの会合かいごうでFRBは利上りあげ幅はばを0.25％に縮小しゅくしょうしました。

パウエル議長ぎちょうは「インフレが収おさまっていく過程かていが始はじまった」と言及げんきゅうしました。

しかし、これまでの急速きゅうそくな利上りあげの影響えいきょうを受うけてことし3月つきから5月つきにかけては「シリコンバレーバンク」や「ファースト・リパブリック・バンク」など3つの銀行ぎんこうが経営けいえい破綻はたんしました。

銀行ぎんこうが保有ほゆうしていた債券さいけんの価格かかくが大おおきく下落げらくしたことで売却ばいきゃくを迫せまられて多額たがくの損失そんしつを抱かかえ経営けいえいへの懸念けねんが高たかまったことが要因よういんでした。

【10回かい連続れんぞくの利上りあげ】

こうした中なかでもFRBはインフレ抑制よくせいを優先ゆうせんにする姿勢しせいを示しめし、3月つきと5月つきにそれぞれ0.25％の利上りあげを決定けってい。

去年きょねん3月つき以降いこう、利上りあげは、10回かい連続れんぞくとなりました。

【利上りあげ見送みおくり】

6月つきの会合かいごうでは急速きゅうそくな利上りあげなどそれまでの金融きんゆう政策せいさくの影響えいきょうを評価ひょうかするためなどとして去年きょねん3月つき以降いこう初はじめて利上りあげを見送みおくりました。

【再ふたたび利上りあげ】

一方いっぽう、7月つきの会合かいごうでは、インフレの要因よういんである人手ひとで不足ふそくが続つづいていることなどから0.25％の利上りあげを決定けってい。

政策せいさく金利きんりは5.25％から5.5％の幅はばと、2001年ねん以来いらい、22年ねんぶりの高たかい水準すいじゅんとなりました。

FRBの利上りあげはこれで去年きょねん3月つき以降いこう、合あわせて11回かいにおよびました。

【利上りあげ局面きょくめんは終了しゅうりょうか】

その後そのご、9月つきと先月せんげつの会合かいごうでは、物価ぶっかの上昇じょうしょうが落ち着おちつき、インフレの要因よういんとなっていた人手ひとで不足ふそくに改善かいぜんの兆きざしが見みられることなどから2会合かいごう連続れんぞくで利上りあげを見送みおくっており、市場しじょうでは利上りあげ局面きょくめんは終了しゅうりょうしたとの見方みかたが強つよまっていました。