幼児ようじ教育きょういく・保育ほいく・高等こうとう教育きょういく無償むしょう化か 法ほう整備せいびに向むけた方針ほうしん決定けってい

それによりますと、３さん歳さいから５ご歳さいの子こどもについては、幼稚園ようちえんや認可にんか保育ほいく所しょ、認定にんていこども園えんなどを無償むしょう化かするほか、認可にんか外がい保育ほいく施設しせつなどに預あづける際さいは、市町村しちょうそんが保育ほいくの必要ひつよう性せいを認みとめれば、一定いっていの上限じょうげんを設もうけて利用りよう料りょうを補助ほじょするとしています。

ただ、対象たいしょうとする認可にんか外がい保育ほいく施設しせつの範囲はんいをめぐっては、５ご年間ねんかんの経過けいか措置そちを設もうけてすべてを対象たいしょうとする一方いっぽうで、６ろく年ねん目めからは国くにの指導しどう監督かんとく基準きじゅんを満みたしたところだけに限定げんていするとしています。

これについて地方ちほう自治体じちたい側がわは、保育ほいくの質しつを確保かくほする観点かんてんから、制度せいど開始かいし当初とうしょから範囲はんいを絞しぼる必要ひつようがあると主張しゅちょうしていて、国くにと地方ちほうの協議きょうぎの場ばで対応たいおう策さくが検討けんとうされています。

また、住民じゅうみん税ぜいの非ひ課税かぜい世帯せたいを対象たいしょうに、０ぜろ歳さいから２に歳さいまでの子こどもについても、認可にんか保育ほいく所しょなどを無償むしょう化かするほか、市町村しちょうそんの認定にんていを得えて認可にんか外がい保育ほいく施設しせつなどを利用りようする場合ばあいも一定いっていの上限じょうげんを設もうけ利用りよう料りょうを補助ほじょするとしています。

無償むしょう化かするための負担ふたん割合わりあいをめぐって、国くにと地方ちほう自治体じちたいの間まで意見いけんが対立たいりつしましたが、私立しりつなどは国くにが２に分ぶんの１いち、都道とどう府県ふけんと市町村しちょうそんがそれぞれ４よん分ぶんの１いちを、市町村しちょうそんが運営うんえいする施設しせつは、全額ぜんがくを運営うんえい主体しゅたいが負担ふたんすることになりました。

一方いっぽう、再さい来年らいねん４月しがつから実施じっしされる高等こうとう教育きょういくの無償むしょう化かについても法ほう整備せいびに向むけた方針ほうしんが固かたまり、所得しょとくが低ひくい世帯せたいを対象たいしょうに、入学にゅうがく金きんと授業じゅぎょう料りょうのほとんどを減免げんめんするほか、返済へんさいの必要ひつようのない給付きゅうふ型がた奨学しょうがく金きんも大幅おおはばに拡充かくじゅうするとしています。

首相しゅしょう「速すみやかに法案ほうあん策定さくてい化か作業さぎょうを」

安倍あべ総理そうり大臣だいじんは「生涯しょうがいにわたる人格じんかく形成けいせいの基礎きそを培つちかう幼児ようじ教育きょういくを無償むしょう化かし、低てい所得しょとくの家庭かていの子こどもであっても質しつの高たかい高等こうとう教育きょういくを受うけられるようにしていく。速すみやかに法案ほうあん作業さぎょうを進すすめ、円滑えんかつに施行しこうできるよう取り組とりくんでほしい」と述のべ、方針ほうしんに沿そって法案ほうあんの策定さくてい作業さぎょうを進すすめるよう関係かんけい閣僚かくりょうに指示しじしました。

文科ぶんか相しょう「法案ほうあん成立せいりつに尽力じんりょく」

柴山しばやま文部もんぶ科学かがく大臣だいじんは記者きしゃ会見かいけんで「所得しょとくの格差かくさが教育きょういくに及およばないということは、人生じんせい100年ねん時代じだいの今いまの時代じだいにとって、極きわめて重要じゅうようだ。再さい来年らいねんからのスタートなので、必要ひつような法案ほうあんの成立せいりつは来年らいねんの通常つうじょう国会こっかいの非常ひじょうに大おおきなテーマであり、しっかりと尽力じんりょくしていきたい」と述のべました。

一いち億おく総そう活躍かつやく相しょう「地方ちほうと連携れんけいして取り組とりくむ」

少子しょうし化か対策たいさくを担当たんとうする宮腰みやのこし一いち億おく総そう活躍かつやく担当たんとう大臣だいじんは閣議かくぎ後ごの記者きしゃ会見かいけんで、「次期じき通常つうじょう国会こっかいに法案ほうあんを提出ていしゅつすべく準備じゅんびを加速かそくし、国くにと地方ちほうで連携れんけいしながら取り組とりくんでいきたい」と述のべました。

また記者きしゃ団だんが「野党やとう側がわからは高こう所得しょとく者しゃのほうが優遇ゆうぐうされているという指摘してきも出でているが」と質問しつもんしたのに対にたいし、宮腰みやこし大臣だいじんは「低てい所得しょとく世帯せたいに対にたいしてはこれまで無償むしょう化かや軽減けいげん措置そちを講こうじてきており、指摘してきはあたらない。国くに全体ぜんたいとして子育こそだて支援しえんにしっかりと取り組とりくんでいきたい」と述のべました。

３さん～５ご歳さいの子こども 所得しょとくにかかわらず幼稚園ようちえんなど無償むしょうに

来年らいねん10月つきからの消費しょうひ税率ぜいりつの引き上ひきあげと合あわせて実施じっし予定よていの、幼児ようじ教育きょういくと保育ほいくの無償むしょう化かの法ほう整備せいびに向むけた方針ほうしんの詳細しょうさいです。

３さん歳さいから５ご歳さいまでの子こどもについては幼稚園ようちえん、認可にんか保育ほいく所しょ、認定にんていこども園えん、企業きぎょう主導しゅどう型がた保育ほいく所しょなどの利用りよう料りょうを、世帯せたいの所得しょとくにかかわらず一律いちりつに無償むしょう化かするとしています。

利用りよう料りょうをみずから定さだめるなどしている一部いちぶの私立しりつ幼稚園ようちえんについては月額げつがく２に万まん5700円えんを上限じょうげんに、幼稚園ようちえんでの「預あずかり保育ほいく」も、市町村しちょうそんから保育ほいくの必要ひつよう性せいが認みとめられれば、月額げつがく３さん万まん7000円えんを上限じょうげんに、それぞれ利用りよう料りょうを補助ほじょするとしています。

さらに認可にんか外がい保育ほいく施設しせつなどは、市町村しちょうそんから保育ほいくの必要ひつよう性せいが認みとめられれば、月額げつがく３さん万まん7000円えんを上限じょうげんに利用りよう料りょうを補助ほじょするとしています。

ただ、認可にんか外がい保育ほいく施設しせつは、５ご年間ねんかんの経過けいか措置そちとしてすべてを対象たいしょうとするものの、６ろく年ねん目めからは国くにの指導しどう監督かんとく基準きじゅんを満みたしたところだけに限定げんていするとしています。

また、住民じゅうみん税ぜいの非ひ課税かぜい世帯せたいを対象たいしょうとして、０ぜろ歳さいから２に歳さいまでの子こどもについても、認可にんか保育ほいく所しょなどを無償むしょう化かするほか、市町村しちょうそんの認定にんていを得えて認可にんか外がい保育ほいく施設しせつなどを利用りようする場合ばあいも、月額げつがく４よん万まん2000円えんを上限じょうげんに利用りよう料りょうを補助ほじょするとしています。

一方いっぽう、給食きゅうしょく費ひは現在げんざい、幼稚園ようちえんは実費じっぴで、認可にんか保育ほいく所しょはコメやパンなど主食しゅしょくが実費じっぴ、おかずにあたる副ふく食費しょくひは保育ほいく料りょうに含ふくめる形かたちで徴収ちょうしゅうされていますが、無償むしょう化かの開始かいしと合あわせて、生活せいかつ保護ほご世帯せたいなどを除のぞいて保護ほご者しゃが実費じっぴを負担ふたんするなどとしています。

無償むしょう化かに消費しょうひ税ぜいの増収ぞうしゅう分ぶんを充当じゅうとうへ

幼児ようじ教育きょういくと保育ほいくの無償むしょう化かを実施じっしするために必要ひつような予算よさんは、消費しょうひ税率ぜいりつの10％への引き上ひきあげに伴ともなう増収ぞうしゅう分ぶんから充あてられることになっていて、私立しりつなどは、国くにが２に分ぶんの１いち、都道とどう府県ふけんと市町村しちょうそんがそれぞれ４よん分ぶんの１いちを負担ふたんし、市町村しちょうそんが運営うんえいする施設しせつは、運営うんえい主体しゅたいがすべてを負担ふたんすることになりました。

これに基もとづき、政府せいふが毎年まいとし必要ひつようとなる予算よさん額がくを試算しさんしたところ、無償むしょう化かには全体ぜんたいで7700億おく円えん余あまりが必要ひつようとなり、このうち国くにが3000億おく円えん余あまり、都道とどう府県ふけんがおよそ1500億おく円えん、市町村しちょうそんが3100億おく円えん余あまりの負担ふたんとなります。

幼稚園ようちえんの無償むしょう化かに使つかわれる予算よさんはおよそ2500億おく円えんで、このうちの39％に当にあたる、およそ960億おく円えんが年収ねんしゅう680万まん円えんを超こえる世帯せたいに充あてられる一方いっぽう、住民じゅうみん税ぜいの非ひ課税かぜい世帯せたいや生活せいかつ保護ほご世帯せたいに充あてられるのは全体ぜんたいの２に％に当にあたるおよそ50億おく円えんでした。

また、認可にんか保育ほいく所しょの無償むしょう化かに必要ひつような予算よさんはおよそ4700億おく円えんで、このうちの50％、2300億おく円えん余あまりが年収ねんしゅう640万まん円えんを超こえる世帯せたいに、住民じゅうみん税ぜいの非ひ課税かぜい世帯せたいに充あてられるのは全体ぜんたいの１いち％、およそ50億おく円えんとなっています。

無償むしょう化かに伴ともなって割わりふられる予算よさんが低てい所得しょとく層そうのほうが少すくなくなっている背景はいけいには、幼稚園ようちえんや保育ほいく所しょなどの利用りよう料りょうは世帯せたいの収入しゅうにゅうに応おうじて負担ふたん額がくが決きまっているほか、住民じゅうみん税ぜいの非ひ課税かぜい世帯せたいや生活せいかつ保護ほご世帯せたいに対にたいしては、すでに利用りよう料りょうの軽減けいげん措置そちが講こうじられていることなども影響えいきょうしたものとみられます。

高等こうとう教育きょういく無償むしょう化かは住民じゅうみん税ぜい非課税ひかぜい世帯せたいなど対象たいしょう

高等こうとう教育きょういくの無償むしょう化かは入学にゅうがく金きん・授業じゅぎょう料りょうの減免げんめんと、給付きゅうふ型がた奨学しょうがく金きんの支給しきゅうの２ふたつが柱はしらとなっていて、住民じゅうみん税ぜいが非課税ひかぜいとなる所得しょとくの低ひくい世帯せたいと、それに準じゅんずる世帯せたいが対象たいしょうです。

具体ぐたい的てきな年収ねんしゅうは、文部もんぶ科学かがく省しょうが給付きゅうふを受うける本人ほんにんと両親りょうしん、中学生ちゅうがくせいのきょうだいの４よん人にん家族かぞくをモデルに試算しさんしていて、次つぎの３みっつにわけられています。

まず、住民じゅうみん税ぜいが非課税ひかぜいとなる年収ねんしゅう270万まん円えん未満みまんの世帯せたいには、入学にゅうがく金きん・授業じゅぎょう料りょうの減免げんめん、給付きゅうふ型がた奨学しょうがく金きんの支給しきゅうはともに満額まんがくが認みとめられます。

そして、年収ねんしゅう300万まん円えん未満みまんの世帯せたいには３さん分ぶんの２にの額がくが、年収ねんしゅう380万まん円えん未満みまんの世帯せたいには３さん分ぶんの１いちの額がくがそれぞれ認みとめられます。

ただし、授業じゅぎょう料りょうの減免げんめんと給付きゅうふ型がた奨学しょうがく金きんの支給しきゅうは、進学しんがく後ごの成績せいせきや出席しゅっせき率りつなどによっては、打ち切うちきられる可能かのう性せいがあるということです。

制度せいど開始かいし以降いこうは在校生ざいこうせいにも適用てきよう

授業じゅぎょう料りょうの減免げんめんと給付きゅうふ型がた奨学しょうがく金きんの支給しきゅうは、制度せいどが始はじまる再さい来年らいねん４月しがつに入学にゅうがくする生徒せいとや学生がくせいだけでなく、２に年生ねんせい以上いじょうの上級じょうきゅう生せいにも一斉いっせいに実施じっしされます。

ただし、留年りゅうねんしている生徒せいとや学生がくせいなどは対象たいしょうに含ふくまれないケースもあります。

また、親おやの病気びょうきなどで世帯せたいの年収ねんしゅうが大おおきく減へって要件ようけんを満みたした場合ばあいには、支給しきゅうの対象たいしょうとなるということです。

高等こうとう教育きょういく 減免げんめんされる金額きんがくは

入学にゅうがく金きんと年間ねんかんの授業じゅぎょう料りょうが減免げんめんされる金額きんがくは、国公立こっこうりつと私立しりつで異ことなります。

満額まんがくが減免げんめんされる場合ばあいの金額きんがくは、国公立こっこうりつの大学だいがくで入学にゅうがく金きんがおよそ28万まん円えん、授業じゅぎょう料りょうがおよそ54万まん円えん、私立しりつ大学だいがくで入学にゅうがく金きんがおよそ26万まん円えん、授業じゅぎょう料りょうがおよそ70万まん円えんとなっています。

短期たんき大学だいがくは国公立こっこうりつで入学にゅうがく金きんがおよそ17万まん円えん、授業じゅぎょう料りょうがおよそ39万まん円えん、私立しりつで入学にゅうがく金きんがおよそ25万まん円えん、授業じゅぎょう料りょうがおよそ62万まん円えんです。

高等こうとう専門せんもん学校がっこうは国公立こっこうりつで入学にゅうがく金きんがおよそ８はち万まん円えん、授業じゅぎょう料りょうがおよそ23万まん円えん、私立しりつで入学にゅうがく金きんがおよそ13万まん円えん、授業じゅぎょう料りょうがおよそ70万まん円えんです。

専門せんもん学校がっこうでは国公立こっこうりつで入学にゅうがく金きんがおよそ７なな万まん円えん、授業じゅぎょう料りょうがおよそ17万まん円えん、私立しりつで入学にゅうがく金きんがおよそ16万まん円えん、授業じゅぎょう料りょうがおよそ59万まん円えんとなっています。

文部もんぶ科学かがく省しょうは、満額まんがくの場合ばあいは入学にゅうがく金きんと授業じゅぎょう料りょうのほとんどが減免げんめんされるとしています。

高等こうとう教育きょういく 給付きゅうふ型がた奨学しょうがく金きんの年間ねんかん支給しきゅう額がくは

給付きゅうふ型がた奨学しょうがく金きんは大学だいがく、短期たんき大学だいがく、専門せんもん学校がっこうに自宅じたくから通かよっているか、そうでないかで、年間ねんかんの支給しきゅう額がくが異ことなります。

国公立こっこうりつの大学だいがくなどの場合ばあい、自宅じたくから通かよう人ひとにはおよそ35万まん円えん、自宅じたく以外いがいから通かよう人ひとにはおよそ80万まん円えんが支給しきゅうされます。

また私立しりつの大学だいがくなどの場合ばあい、自宅じたくから通かよう人ひとにはおよそ46万まん円えん、自宅じたく以外いがいから通かよう人ひとにはおよそ91万まん円えんが支給しきゅうされます。

一方いっぽう、高等こうとう専門せんもん学校がっこうは寮りょう生活せいかつを送おくる学生がくせいが多おおいとして、生活せいかつ費ひに応おうじて、大学だいがくなどに通かよう人ひとの５ご割わりから７なな割わり程度ていどが支給しきゅうされるということです。

高等こうとう教育きょういく 支援しえんにかかる費用ひようは？

文部もんぶ科学かがく省しょうはこうした入学にゅうがく金きんと授業じゅぎょう料りょうの減免げんめんなどには、最終さいしゅう的てきに7600億おく円えんが必要ひつようになると試算しさんしています。

このうち公立大こうりつだい学がくの分ぶんは地方ちほうが全額ぜんがくを負担ふたんし、私立しりつの専門せんもん学校がっこうの分ぶんは国くにと地方ちほうで折半せっぱんすることになっているため、国くにが7100億おく円えん、地方ちほうが500億おく円えんをそれぞれ負担ふたんすることになる見通みとおしです。

野党やとう側がわ「格差かくさ拡大かくだいする政策せいさく」

幼児ようじ教育きょういくと保育ほいくの無償むしょう化かをめぐって、政府せいふが法ほう整備せいびに向むけた方針ほうしんを決定けっていしたことを受うけて、立憲りっけん民主みんしゅ党とうなど野党やとう側がわは、関係かんけい省庁しょうちょうからヒアリングを行おこないました。

この中なかで出席しゅっせきした議員ぎいんからは、無償むしょう化かに伴ともなって割わりふられる予算よさんが低てい所得しょとく者しゃのほうが少すくなくなっていることに対にたいし、「逆進ぎゃくしん性せいのある消費しょうひ税ぜいを財源ざいげんにしているにもかかわらず、子育こそだて世代せだいの格差かくさを拡大かくだいする政策せいさくで、国民こくみんの賛同さんどうは得えられない」とか、「所得しょとく制限せいげんを行おこなうなどして、不公平ふこうへい感かんをなくすべきだ」といった指摘してきが相次あいつぎました。