起訴状によりますと、このうちファーウェイの関連会社2社は、アメリカの携帯電話大手、Tモバイルが開発したスマートフォンのテストに使うロボットの写真を許可無く撮影したり、研究室から無断で部品を持ち出したりしたということです。
また関連会社では、競合する他社の機密情報を入手するために、社員どうしを競わせ、毎月、最も貴重な情報を盗み出すことに成功した社員には特別ボーナスが支給されていたと指摘しています。
FBI=連邦捜査局のレイ長官は「ファーウェイは、意図的にアメリカ企業の知的財産を盗もうとしていた」とコメントしていて、アメリカの司法当局はファーウェイが組織的に企業秘密を盗み出そうとしていたとみて実態の解明を進めています。
ファーウェイ「遺憾 起訴状の内容を否定する」
ファーウェイは副会長と、法人としてのファーウェイなどが起訴されたことについて声明を発表し、「起訴されたことを遺憾に思う。ファーウェイや関連会社がアメリカの法律に違反したとする起訴状の内容を否定する。孟副会長によるいかなる不正行為も把握していない」として、起訴された内容を強く否定しています。
そのうえで「ファーウェイはアメリカの裁判所が最終的に同じ結論に至ると確信している」としています。
23の罪で起訴
28日、公開された起訴状によりますと、ファーウェイに関わる罪は合わせて23にのぼります。
このうち、▽ファーウェイの孟晩舟副会長と、▽法人としてのファーウェイ、▽関連会社のファーウェイデバイスUSA、それに▽香港で登記され主にイランで活動していた関連会社のスカイコムは、詐欺や資金洗浄など合わせて13の罪で今月24日付けで、起訴されています。
ファーウェイはスカイコムを通じてアメリカの制裁下にあるイランと取り引きを行ったうえ、制裁を逃れるため金融機関などに対して、ファーウェイとスカイコムは無関係だなどと虚偽の説明をしたとされています。
また、いずれも関連会社で、▽中国に拠点を置くファーウェイデバイスと、▽ファーウェイデバイスUSAは、企業秘密を盗んだ罪など合わせて10の罪で今月16日付けで、起訴されています。
起訴状によりますと両社の社員は、アメリカ西部ワシントン州にある携帯電話大手のTモバイルの施設で、スマートフォンのテストに使うロボットの写真を許可無く撮影したり、部品を持ち出したりしたということです。
中国 外務省報道官「米国は正当な経営を圧殺」
アメリカの司法当局が、中国の通信機器大手、ファーウェイの孟晩舟副会長らを起訴したことについて、中国外務省の耿爽報道官は談話を発表し、「アメリカは国家の力で特定の中国企業をねらってイメージダウンを図り正当な経営を圧殺しようとしている」などとアメリカを非難しました。
そして「ファーウェイを含む中国企業への不当な抑圧をやめるようアメリカに強く求める」と述べて、起訴は不当だという立場を示しました。
さらに耿報道官は「孟副会長への逮捕状を取り消し正式に引き渡しを要請しないようアメリカに対し、改めて求める」と述べました。
また、カナダに対しても「中国の厳正な立場に真剣に向き合い、直ちに孟副会長を釈放して、アメリカのために火中のくりを拾わないよう求める」と述べて、アメリカの要請に応じず、孟副会長を釈放するよう重ねて求めました。
中国 工業情報化省報道官 起訴は「不公正で不道徳」
中国で情報通信分野を担当する工業情報化省の聞庫報道官はファーウェイの副会長と法人としてのファーウェイなどが起訴されたことについて「なんの証拠もない状況で、国家権力を使って特定の企業の顔をつぶし、攻撃するのは不公平で不道徳だ」と述べ、アメリカを強く批判しました。
そのうえで聞報道官は「われわれは中国企業に対して、市場の原則と国際ルールにのっとり、現地の法律を守るよう一貫して指導している」と述べ、正当性を強調しました。