天皇てんのう陛下へいか 即位そくい後ご初はじめての記者きしゃ会見かいけん

この中なかで天皇てんのう陛下へいかは、即位そくい後ごのおよそ10か月かげつを振り返ふりかえったうえで、「象徴しょうちょうとしての私わたしの道みちは始はじまってまだ間まもないですが、たくさんの方々かたがたからいただいた祝福しゅくふくの気持きもちを糧かてに、上皇じょうこう陛下へいかのこれまでの歩あゆみに深ふかく思おもいを致いたし、また、歴代れきだいの天皇てんのうのなさりようを心こころにとどめ、研けんさんを積つみ、常つねに国民こくみんを思おもい、国民こくみんに寄り添よりそいながら、象徴しょうちょうとしての責務せきむを果はたすべくなお一層いっそう努つとめてまいりたいと思おもっております」と述のべられました。

そして、スマートフォンの普及ふきゅうや気候きこう変動へんどうによる自然しぜん災害さいがいなどを取り上とりあげ、「平成へいせいの初期しょきと比くらべても、人々ひとびとの生活せいかつ環境かんきょうは異ことなってきていると思おもいます」と話はなされました。

そのうえで、「変化へんかの激はげしい時代じだいにあって、社会しゃかいの変化へんかや時代じだいの移り変うつりかわりに応おうじた形かたちでそれに対応たいおうした務つとめを考かんがえ、行動こうどうしていくことは大切たいせつなことであり、その時代じだいの皇室こうしつの役割やくわりでもあると考かんがえております。そのためにも、多おおくの人々ひとびとと触れ合ふれあい、直接ちょくせつ話ばなしを聞きく機会きかいを大切たいせつにしていきたいと考かんがえています」と述のべられました。

即位そくいに伴ともなう、すべての儀式ぎしきや行事ぎょうじへの出席しゅっせきを果はたされた療養りょうよう中ちゅうの皇后こうごうさまについては、「即位そくい以来いらい、多おおくの方々かたがたから温あたたかいお祝おいわいをいただいたことが活動かつどうの大おおきな支ささえになっていると思おもわれます。近ちかくで見みていると、とてもよく頑張がんばっていると思おもいますが、決けっして無理むりをすることなく、これからもできることを一ひとつ一ひとつ着実ちゃくじつに積み重つみかさねていってほしいと思おもいます」と話はなされました。

学習がくしゅう院いん大学だいがくへの進学しんがくが決きまった長女ちょうじょの愛子あいこさまについては、「大学だいがくへ進学しんがくすると、今いままで以上いじょうに、さまざまな経験けいけんを積み重つみかさねながら視野しやを広ひろげていく時期じきになると思おもいます。その中なかで、自分じぶんのやりたいことを見みつけ、成年せいねん皇族こうぞくとしての公務こうむとのバランスを見出みいだしながら将来しょうらいへの希望きぼうを描えがいていってもらえれば、と思おもっております」と述のべられました。

また、還暦かんれきを迎むかえることについては、「もう還暦かんれきではなく、まだ還暦かんれきという思おもいでおります」と心境しんきょうを明あかされました。

そして、これまでの60年ねんを振り返ふりかえる中なかで、みずからにとって、昭和しょうわ39年ねんの東京とうきょうオリンピックが初はじめての世界せかいとの出会であいだったとしたうえで、「各国かっこく選手せんしゅ団だんが国くにごとではなく、混まざり合あって仲なかよく行進こうしんする姿すがたを目の当まのあたりにすることができたことは、変かわらず持もち続つづけている、世界せかいの平和へいわをせつに願ねがう気持きもちの元もととなっているのかもしれないと思おもっております」と話はなされました。

そのうえで、ことしの東京とうきょうオリンピック・パラリンピックについて、「特とくに若わかい人ひとたちに、世界せかいの人々ひとびとへの理解りかいを深ふかめ、平和へいわの尊とうとさを感かんじてほしいと願ねがっています」と述のべられました。

天皇てんのう陛下へいかは、さらに、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいにも触ふれて、り患りかんした人ひとたちへのお見舞みまいや、治療ちりょうや感染かんせんの拡大かくだい防止ぼうしにあたっている人ひとたちの苦労くろうを思おもう気持きもちをあらわしたうえで、「感染かんせんの拡大かくだいができるだけ早期そうきに収おさまることを願ねがっております」と述のべられました。

天皇てんのう陛下へいかは、23日にち、皇居こうきょ・宮殿きゅうでんで行おこなわれる祝賀しゅくが行事ぎょうじに皇后こうごうさまとともに臨のぞまれますが、天皇てんのう誕生たんじょう日びの一般いっぱん参賀さんがは、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいを考慮こうりょして取とりやめられました。

ことしの天皇てんのう陛下へいかは

天皇てんのう陛下へいかは、ことしも皇位こうい継承けいしょうに伴ともなう儀式ぎしきや国際こくさい親善しんぜんに臨のぞむとともに、各地かくちを訪問ほうもんして国民こくみんとの触れ合ふれあいを重かさねられる見通みとおしです。

４月しがつには、秋篠宮あきしののみやさまが皇位こうい継承けいしょう順位じゅんい１いち位いの「皇嗣こうし（こうし）」となられたことを内外ないがいに広ひろく伝つたえる「立たつ皇嗣こうしの礼れい（りっこうしのれい）」が行おこなわれ、天皇てんのう陛下へいかは、国事こくじ行為こういとして行おこなわれる３みっつの儀式ぎしきに臨のぞまれます。

同おなじ４月しがつには、中国ちゅうごくの習近平ちから国家こっか主席しゅせきが国賓こくひんとして来日らいにちすることが調整ちょうせいされていて、実現じつげんすれば、天皇てんのう陛下へいかが皇居こうきょでの歓迎かんげい行事ぎょうじに臨のぞまれることになります。

また、即位そくい後ご初はじめての外国がいこく訪問ほうもんとして、５月ごがつ初はじめから１いち週間しゅうかん程度ていどの日程にっていを軸じくに、イギリスを親善しんぜん訪問ほうもんされる方向ほうこうで調整ちょうせいが進すすめられています。

戦後せんご75年ねんのことし、天皇てんのう陛下へいかは、６月ろくがつに神奈川かながわ県けん横須賀よこすか市しで、太平洋たいへいよう戦争せんそうで犠牲ぎせいになった民間みんかんの船員せんいんらの追悼ついとう式しきに臨のぞみ、８月はちがつ15日にちの終戦しゅうせんの日ひには、全国ぜんこく戦没せんぼつ者しゃ追悼ついとう式しきに臨のぞまれます。

また、夏なつに開幕かいまくする東京とうきょうオリンピック・パラリンピックでは、天皇てんのう陛下へいかが名誉めいよ総裁そうさいとしてそれぞれの開会かいかい式しきに出席しゅっせきし、開会かいかいを宣言せんげんされます。

このほか、「全国ぜんこく植樹しょくじゅ祭さい」など、毎年まいとし恒例こうれいの行事ぎょうじへの出席しゅっせきのため、島根しまね県けんと宮城みやぎ県けん、鹿児島かごしま県けん、それに宮崎みやざき県けんと、各地かくちを訪問ほうもんされる予定よていです。こうした公務こうむには、皇后こうごうさまも、体調たいちょうに支障ししょうがなければ臨のぞまれる見通みとおしです。