東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい９きゅう年ねん “今いまも被災ひさい者しゃだと感かんじている” ６ろく割わり余よに

この中なかで、自分じぶんが被災ひさい者しゃだと意識いしきしなくなった時期じきについて尋たずねたところ、今いまも被災ひさい者しゃだと感かんじている人ひとが有効ゆうこう回答かいとうの62％に上のぼりました。

阪神はんしん・淡路あわじ大震災だいしんさいから10年ねんで専門せんもん家かが行おこなった同様どうようの調査ちょうさでは、兵庫ひょうごで被災ひさい者しゃと意識いしきしていた人ひとは25％で、岩手いわて・宮城みやぎ・福島ふくしまと比くらべおよそ2.5倍ばいの開ひらきがあります。

今回こんかいの調査ちょうさでは、今いまも被災ひさい者しゃだと感かんじている人ひとのうち、「地域ちいき経済けいざいが震災しんさいの影響えいきょうを脱だっした」と回答かいとうした人ひとが４よん％にとどまるなど、経済けいざい的てきな復興ふっこうの実感じっかんが乏とぼしい人ひとほど今いまも被災ひさい者しゃだと感かんじている割合わりあいが高たかくなりました。

自由じゆう記述きじゅつで、福島ふくしま県けん南みなみ相馬そうま市しの70代だいの女性じょせいは、「駅えき通どおりの商店しょうてんが次々つぎつぎと閉鎖へいさしさみしい。若者わかものが戻もどってこなく、町まち全体ぜんたいが活性かっせい化かするのはまだ遠とおいと感かんじる。昔むかしの当たり前あたりまえの普通ふつうの暮くらしができるのは、あと何なん十じゅう年ねん後ごになるのか」と書かきました。

アンケートの分析ぶんせきにあたった社会しゃかい心理しんり学がくが専門せんもんの兵庫ひょうご県立けんりつ大学だいがくの木村きむら玲れい欧おう教授きょうじゅは、「９きゅう年ねんたっても家計かけいの問題もんだいも地域ちいき経済けいざいの問題もんだいも戻もどっていないのが特徴とくちょうで、経済けいざいの問題もんだいが立たちゆかない状況じょうきょうにあることが非常ひじょうに重要じゅうような課題かだいとして残のこっている。自分じぶんが被災ひさい者しゃだという意識いしきを脱だっして元もとの日常にちじょうに戻もどるためには、生活せいかつ再建さいけんをしっかり考かんがえ、対策たいさくをとっていかなければならない」と指摘してきしています。

復興ふっこうの実感じっかんに差さ

今回こんかいの調査ちょうさでは、自分じぶんが被災ひさい者しゃだと感かんじている人ひととそうでない人ひとの間まで経済けいざい的てきな復興ふっこうや地域ちいきコミュニティーの再生さいせいの実感じっかんに大おおきな差さが見みられました。

復興ふっこう実感じっかんを項目こうもく別べつに尋たずねる設問せつもんで、「地域ちいき経済けいざいが震災しんさいの影響えいきょうを脱だっした」、「家計かけいへの震災しんさいの影響えいきょうがなくなった」、「地域ちいきの活動かつどうがもとに戻もどった」と回答かいとうした人ひとの割合わりあいは、いずれも被災ひさい者しゃだと感かんじている人ひとのほうがそうでない人ひとより30ポイント以上いじょう低ひくくなりました。

一方いっぽうで、「すまいの問題もんだいが最終さいしゅう的てきに解決かいけつした」、「地域ちいきの道路どうろがもとに戻もどった」、「地域ちいきの学校がっこうがもとに戻もどった」と回答かいとうした人ひとの割合わりあいは、いずれも10ポイントから20ポイントの差さにとどまりました。

自由じゆう記述きじゅつで、岩手いわて県けん陸前りくぜん高田たかだ市しの50代だいの女性じょせいは、「大事だいじなことは建物たてもの中心ちゅうしんの再建さいけんではなく、身近みぢかな生活せいかつや心こころの安定あんてい。直後ちょくごは混乱こんらんし、自分じぶんの周まわりに対応たいおうするのが、ほとんどの人ひとが精せいいっぱいだったと思おもう。その状況じょうきょうが、今いまの現実げんじつの生活せいかつとはかけはなれた『復興ふっこう』というものになっていると思おもう」と書かきました。

岩手いわて県けん宮古みやふる市しの70代だいの男性だんせいは、「ハード面めんでの整備せいびは、一定いっていの展望てんぼうが開あける情勢じょうせいになったと判断はんだんできる。一方いっぽう、震災しんさいの影響えいきょうにより減少げんしょうした人口じんこうや縮小しゅくしょうした地域ちいき経済けいざいそして、破壊はかいされた地域ちいきコミュニティーは、元もとに戻もどらない状況じょうきょうが続つづいており、見通みとおしは極きわめて暗くらいと言いわざるをえない」とつづりました。