川内かわうち原発げんぱつ１いち号機ごうき 16日にち停止ていしへ テロ対策たいさく間に合まにあわず

これについて九州きゅうしゅう電力でんりょくは、川内かわうち原発げんぱつ１いち号機ごうきでは施設しせつの完成かんせいが期限きげんまでに間に合まにあわないとして、定期ていき検査けんさを前倒まえだおしする形かたちで運転うんてんを停止ていしすることを決きめ、16日にち午前ごぜん２に時半じはんごろから原子げんし炉ろの出力しゅつりょくを下さげる作業さぎょうを開始かいしします。

16日にち午前ごぜん９きゅう時じごろには発電はつでんと送電そうでんを停止ていしする予定よていで、その４よん時間じかん後ごの午後ごご１いち時じごろに原子げんし炉ろを止とめて運転うんてんを停止ていしします。九州きゅうしゅう電力でんりょくでは、ことし12月つきまでに施設しせつを完成かんせいさせ、規制きせい委員いいん会かいの検査けんさを受うけたうえで原子げんし炉ろを起動きどうするとしています。

７なな年ねん前まえにつくられた新あたらしい規制きせい基準きじゅんに基もとづいて稼働かどう中ちゅうの原発げんぱつが運転うんてん停止ていしするのは、今回こんかいが初はじめてです。

九州きゅうしゅう電力でんりょくは、川内かわうち原発げんぱつ２に号機ごうきもテロ対策たいさくなどの施設しせつが期限きげんに間に合まにあわないとしてことし５月ごがつに運転うんてんを停止ていしする予定よていです。

なぜ原発げんぱつ停止ていしに？その経緯けいい

原子力げんしりょく規制きせい委員いいん会かいは、テロや航空こうくう機き落下らっかなどの対策たいさく施設しせつの完成かんせいの期限きげんを、当初とうしょは新あたらしい規制きせい基準きじゅんがつくられた2013年ねんから５ご年ねん以内いないとしていました。

しかし、原子力げんしりょく発電はつでん所しょの再さい稼働かどうに必要ひつような審査しんさが長期ちょうき化かし、それに伴ともなって施設しせつの審査しんさも遅おくれたため、規制きせい委員いいん会かいは期限きげんを１いち度ど見直みなおしました。再さい稼働かどうの審査しんさに合格ごうかくしたあと、電力でんりょく会社かいしゃが受うける設備せつびや機器ききの工事こうじ計画けいかくの認可にんかから５ご年ねん以内いないとしたのです。

しかし去年きょねん４月しがつ、再さい稼働かどうした原発げんぱつを抱かかえる九州きゅうしゅう電力でんりょくと関西かんさい電力でんりょく、四国しこく電力でんりょくを含ふくめた電力でんりょく各社かくしゃは施設しせつの工事こうじが大だい規模きぼになっているとして、期限きげん内ないの完成かんせいが難むずかしいと表明ひょうめいし、再度さいどの期限きげん延長えんちょうなどの対応たいおうを規制きせい委員いいん会かいに求もとめました。

これに対にたいして規制きせい委員いいん会かいは期限きげんの延長えんちょうは認みとめないとして、施設しせつの完成かんせいが間に合まにあわない原発げんぱつは運転うんてん停止ていしを命めいじることを決きめ、電力でんりょく各社かくしゃに伝つたえていました。

なぜ５ご年ねん期限きげんなのか

テロや航空こうくう機きの墜落ついらくなどに備そなえる施設しせつの完成かんせいが、期限きげん内ないに間に合まにあわない原発げんぱつの運転うんてん停止ていしを決きめた原子力げんしりょく規制きせい委員いいん会かいの判断はんだんについて、一部いちぶの電力でんりょく関係かんけい者しゃなどからは異論いろんもだされていました。

それは５ご年ねんという期限きげんに根拠こんきょがないというものです。計画けいかく的てきに電力でんりょく供給きょうきゅうを行おこなっている電力でんりょく会社かいしゃは、原発げんぱつの停止ていしによって収益しゅうえきや電気でんきの安定あんてい供給きょうきゅうに影響えいきょうがあるとしています。こうしたマイナスの影響えいきょうに比くらべて、テロの発生はっせいや航空こうくう機きの落下らっかといったリスクがどれだけ差し迫さしせまったものなのか明確めいかくな説明せつめいがなく、５ご年ねんという期限きげんの根拠こんきょがあいまいだというものです。

これに対にたいして規制きせい委員いいん会かいは、５ご年ねんに明確めいかくな根拠こんきょはないもののどこかで期限きげんを設定せっていする必要ひつようがあるとしています。

原子力げんしりょく規制きせい委員いいん会かいの更さら田た豊志とよし委員いいん長ちょうは福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつの事故じこを防ふせげなかった当時とうじの原子力げんしりょく安全あんぜん・保安ほあん院いんが巨大きょだい津波つなみの評価ひょうかや対策たいさくについて電力でんりょく会社かいしゃに明確めいかくな期限きげんを求もとめなかったことなどが事故じこの遠因えんいんだとして、「もう少もうすこし期限きげんを延長えんちょうしてほしいと繰り返くりかえしていたら安全あんぜんは望のぞめない。これはいつか来きた道みちに戻もどるか戻もどらないかの分かれ道わかれみちだ」と会見かいけんで述のべています。

そのうえで、「施設しせつの完成かんせいの期限きげんは過去かこに１いち度ど延長えんちょうしたことがあり、今度こんどはきちんと守まもられるべきだ。継続けいぞく的てきな改善かいぜんに向むけ、規制きせい委員いいん会かいと電力でんりょく会社かいしゃの決意けついの表明ひょうめいなので、いたずらに延のばすべきではない」と運転うんてん停止ていしの判断はんだんについて語かたっています。

期限きげんが迫せまる原発げんぱつはほかにも

新あたらしい規制きせい基準きじゅんが義務ぎむづけるテロ対策たいさくなどの施設しせつの完成かんせいが期限きげん内ないに間に合まにあわない見通みとおしの原子力げんしりょく発電はつでん所しょは複数ふくすうあります。

今回こんかい、停止ていしする九州きゅうしゅう電力でんりょくの川内原かわないはら発はつ１いち号機ごうきの期限きげんは今月こんげつ17日にちです。このほか、期限きげんが近ちかいものでは、川内かわうち原発げんぱつ２に号機ごうきがことし５月ごがつ、福井ふくい県けんにある関西かんさい電力でんりょくの高浜たかはま原発げんぱつ３さん号機ごうきがことし８月はちがつ、高浜たかはま原発げんぱつ４よん号機ごうきがことし10月つき、それに愛媛えひめ県けんにある四国しこく電力でんりょくの伊方いかた原発げんぱつ３さん号機ごうきが来年らいねん３月さんがつとなっています。

このほかにも来年らいねん以降いこう、福井ふくい県けんにある関西かんさい電力でんりょくの高浜たかはま原発げんぱつ１いち号機ごうきと２に号機ごうき、美浜みはま原発げんぱつ３さん号機ごうき、大飯おおい原発げんぱつ３さん号機ごうきと４よん号機ごうきで施設しせつの完成かんせいが期限きげんまでに間に合まにあわない可能かのう性せいがあるとしています。

電力でんりょく各社かくしゃは、期限きげんを迎むかえる前まえに順次じゅんじ、原発げんぱつの運転うんてんを停止ていしして定期ていき検査けんさに入はいり、施設しせつの完成かんせいに向むけた工事こうじを急いそぐとしています。

「特定とくてい重大じゅうだい事故じこ等とう対処たいしょ施設しせつ」とは

この施設しせつは「特定とくてい重大じゅうだい事故じこ等とう対処たいしょ施設しせつ」と呼よばれ、テロリストに襲おそわれた場合ばあいや航空こうくう機きが落下らっかして重要じゅうような設備せつびが壊こわれたケースなどを念頭ねんとうに、バックアップ用ようの制御せいぎょ室しつや原子げんし炉ろを冷ひやすための電源でんげんやポンプなどを備そなえるものです。

東京とうきょう電力でんりょく・福島ふくしま第だい一いち原子力げんしりょく発電はつでん所しょの事故じこを教訓きょうくんに７なな年ねん前まえにつくられた新あたらしい規制きせい基準きじゅんで設置せっちが義務ぎむづけられました。施設しせつは原子げんし炉ろから100メートル以上いじょう離はなれた場所ばしょに設置せっちすることになっていますが、具体ぐたい的てきな場所ばしょはテロ対策たいさく上じょう、明あきらかにされていません。

原発げんぱつを停止ていしさせ対策たいさく完了かんりょう目指めざす「バックフィット」とは

東京とうきょう電力でんりょく・福島ふくしま第だい一いち原子力げんしりょく発電はつでん所しょの事故じこの後のちにつくられた原子力げんしりょく規制きせい委員いいん会かいは、必要ひつようと判断はんだんした場合ばあいには、電力でんりょく会社かいしゃに原発げんぱつの運転うんてんを停止ていしさせたうえで対策たいさくの完了かんりょうを目指めざす方法ほうほうを導入どうにゅうしました。通称つうしょう「バックフィット」と呼よばれています。

事故じこの前まえの規制きせい機関きかんだった原子力げんしりょく安全あんぜん・保安ほあん院いんは、同おなじようなケースでは電力でんりょく会社かいしゃに原発げんぱつの運転うんてんを継続けいぞくしながら対策たいさくを完了かんりょうすることを認みとめていましたが、これでは、いつ起おこるか分わからないリスクに十分じゅうぶん対応たいおうできないとしてより厳きびしい方法ほうほうが導入どうにゅうされました。