声明では、最大の焦点となったアメリカと中国などとの間で激化している貿易摩擦を念頭に、「いくつかの先進国で成長が弱まっており、貿易の緊張の高まりなど短期的、中期的な経済の下振れリスクが増大している」と明記し、貿易摩擦が成長を続けてきた世界経済のリスクになっていると指摘しました。そのうえで、保護主義と闘うなどとした去年7月のG20サミットでの合意を再確認し、今後、「リスクを軽減するため対話と行動を強化する必要がある」としました。
今回の会議では、アメリカのトランプ大統領が会議の直前、中国やEU=ヨーロッパ連合が為替を操作していると批判したことで、為替をめぐる議論も焦点となりました。これに関して、声明では、自国の輸出が有利になるよう意図的に通貨を安く誘導する「通貨安競争」は避けるべきだとしたことし3月のG20会合での合意を再確認しました。
IMF専務理事 報復の応酬避けるよう呼びかけ
IMF=国際通貨基金のラガルド専務理事は、G20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議を終え声明を発表しました。この中で「世界経済は、貿易をめぐる緊張が高まっていることなどでリスクに直面している」と述べ、アメリカのトランプ政権が引き起こした貿易摩擦が世界経済のリスクになっていると警告しました。
そのうえで、「貿易の対立は、国際的な協力を通じて解決するべきだ」と述べ、関税を上乗せしあう報復の応酬は避けるよう呼びかけました。
議長国 アメリカを暗に批判
議長国・アルゼンチンのドゥホブネ財務相は記者会見で「対話により、G20の参加国のきずなは強くなり、建設的な、議論ができた」と述べて、会議の成果を強調しました。
一方で、アメリカのトランプ政権が保護主義的な動きを強めていることについて、ドゥホブネ財務相はアメリカの考えを否定はしないとしながらも、「私たちは意見を一致させることを重視し建設的な話し合いが欠かせないことを知らなければならない」と述べて、貿易摩擦を引き起こし孤立を深めるアメリカを暗に批判しました。
米長官 関税引き上げなど正当化
アメリカのムニューシン財務長官は、G20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議を終え記者会見しました。この中で、ムニューシン長官は、G20での議論について、「みなアメリカや保護主義のことばかりが話題になったように見ているが決してそんなことはない」と述べ、アメリカへの批判ばかりがだされたわけではないという認識を示しました。
そのうえで、「われわれは多額の貿易赤字を抱えているEU=ヨーロッパ連合や、アメリカの技術を不当に手に入れている中国に自由で公正な貿易を求めているだけだ」と述べ、アメリカの関税の引き上げなどの措置を正当化しました。
また、トランプ大統領が中国やEU=ヨーロッパ連合が為替を操作してきたなどと述べ、ドル高に不満を示したことに関連して、ムニューシン長官は通貨戦争を起こすつもりはなく、投資家は過度に懸念すべきではないという考えを示しました。