地震の規模は最も大きいもので15日未明に起きたマグニチュード1.9と推定され、やや大きいということです。
火山性地震の震源は、これまでは新岳火口付近のごく浅い場所でしたが、15日は新岳の南西山麓(さんろく)付近の深さおよそ5キロと推定され、4年前の噴火の前に発生した地震と同じ場所と推定されるということです。
気象庁は、口永良部島では今後、人が住んでいる地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生するおそれがあるとして、午前10時半に噴火警報を発表し、噴火警戒レベルを「火口周辺規制」を示すレベル2から「避難準備」を示すレベル4に引き上げ、新岳の火口からおおむね3キロの範囲では、噴火に伴う大きな噴石や火砕流に厳重に警戒するよう呼びかけています。
そのうえで、自治体からの避難に関する情報をもとに避難の準備を始めるとともに、高齢者や体の不自由な人などは避難を始めるよう呼びかけています。
口永良部島に噴火警報が発表されたのは、爆発的な噴火ですべての住民が島の外へ避難した3年前の平成27年5月以来です。
専門家「遠くない時期に噴火起きることも」
口永良部島の噴火警戒レベルが「4」に引き上げられたことを受けて、口永良部島の火山活動に詳しい京都大学火山活動研究センターの井口正人教授は「口永良部島ではこれまでも山頂付近では火山性地震が起きていた。しかし、山腹で火山性地震が発生するのは3年前の爆発的な噴火の前の状況と同じ現象だ。遠くない時期に同じような規模の噴火が起きることも考え、警戒するべきだ」と話しています。
避難準備を住民に呼びかけ
口永良部島がある鹿児島県屋久島町の口永良部島出張所によりますと、現地では、住民に対して防災無線で噴火警戒レベルが「4」に引き上げられたことを伝えるとともに、避難の準備をするよう住民に対して呼びかけているということです。
また、出張所の所長が、火口に近い前田地区の住民と今後の対応について検討しているということです。
前田地区 民宿の女性「いつでも避難できるよう準備」
火口から3キロ圏内にある前田地区にある民宿の女性は「雨がひどく、山の様子がよく確認できません。行政からの具体的な指示はまだありませんが、防災行政無線で避難の準備を呼びかけているのが聞こえたため、いつでも避難できるよう準備しようと思います」と話していました。
政府は官邸連絡室を設置
政府は鹿児島県の口永良部島で火山性地震が増加するなど火山活動が高まっていることから、午前10時半に総理大臣官邸の危機管理センターに官邸連絡室を設置し、地元自治体と連絡を取るなどして情報収集と警戒にあたっています。
口永良部島 最近の活動
口永良部島は鹿児島県の屋久島の西北西、10キロ余りの場所にある周囲50キロほどの長さの火山島です。
3年前の5月に新岳で爆発的な噴火が発生し、噴煙が火口から9000メートル以上の高さまで上がり、火砕流が火口からほぼすべての方角に流れ下って一部は海岸まで達しました。
この時の噴火で、気象庁は噴火警戒レベルを最も高いレベル5に引き上げ、島の全域に避難指示が出され、130人余りの住民全員が島の外に避難しました。
その後、火山ガスの量が減ったことなどことから、気象庁は、おととし6月、噴火警報を火口周辺警報に切り替え、噴火警戒レベルを5から3に引き下げました。
これにより、避難していた住民が段階的に島に戻って、100人前後が暮らしています。
その後、ことし4月18日には噴火警戒レベルが2に引き下げられましたが、その後、火山性地震が今月8日と10日には1日に30回以上観測するなど再び多い状態となっていました。
また、火山ガスに含まれる二酸化硫黄の量も、今月11日の時点で1日当たり1600トンと多い状態となっていました。
気象庁は、火山活動がやや高まった状態が続いているとして、新岳の火口から西側のおおむね2キロで火砕流に、新岳の火口からおおむね1キロの範囲で大きな噴石や火砕流に警戒するよう呼びかけていました。
全国の活火山 レベル4は平成27年以来
全国の活火山で噴火警戒レベルがレベル4の「避難準備」に引き上げられたのは、3年前の平成27年8月に鹿児島県の桜島で火山性地震が増加したとき以来です。
また、レベル5の「避難」は3年前の平成27年5月に口永良部島で爆発的な噴火が起きたときに引き上げられています。