スリランカ政府は、6か所の爆発と捜査の過程で、死者が290人に上り、けが人はおよそ500人になったと発表しました。
捜査当局は、6か所の爆発はいずれも自爆テロで、周到に準備された計画的な犯行だったという見方を示し、外国人やキリスト教徒を主な標的にしたとみられています。
捜査当局の内部文書によりますと、今月9日、国内のイスラム過激派組織がキリスト教の教会などをねらった自爆テロを計画しているという情報をつかみ、国防省が全国の警察に警戒態勢をとるよう指示を出していたことが分かりました。
しかし、計画がいつ実行されるのか、日付までは特定できていませんでした。
捜査当局によりますと、3か所のホテルでの爆発は、いずれもレストランの中で、このうち「シャングリラ」では、2人がホテルの宿泊客を装って滞在し、朝食の時間で混み合ったレストランの中で自爆したため、犠牲者が増えたということです。
ホテルのロビーには、宿泊客に提出を求める個人情報が残されているため、この情報をもとに捜査を進めていて、捜査当局はこれまでに24人を拘束したと発表しましたが、イスラム過激派組織との関連などについては一切明らかにしていません。
捜査当局は、国内のイスラム過激派組織を中心に捜査するとともに、外国のテロ組織の関与がなかったかも調べています。
海外緊急展開チームを現地に派遣
菅官房長官は午後の記者会見で、政府の対応について、「現時点ではまず大使館によって懸命に対応させていただいている。そのうえで、外務省の『海外緊急展開チーム』が、本日中にスリランカに向けて出国できるよう調整を進めている」と述べ、医師や通訳などからなる外務省の「海外緊急展開チーム」のメンバーを現地に派遣する考えを示しました。
被害の日本人の知人「とても心配だ」
テロ事件に巻き込まれてけがをしたとみられる日本人男性を知るトルコ人の男性は、「私も彼も料理人としてコロンボ市内の同じホテルで働いていた。事件のあと連絡を取ろうとしているが、まだ返事がない。病院にいるのだと思うが、とても心配している」と話していました。
また、現地の状況について、「インターネットがつながりにくく、自由に外出することもできない」として、事件から1日たっても緊張が続いていると話していました。
日本人会の入るビルでは
テロ事件から一夜明け、コロンボ市内のビルに入居する現地の日本人会の事務所には、スタッフが出勤しておらず扉も閉まったままです。
同じビルの別の団体に勤務しているスリランカ人の男性は、テロの影響でほとんどのスタッフが休んでいるとしたうえで、日本人が犠牲になったことについて、「日本人とは仲よく仕事をしていたので、とてもショックです。日本とスリランカの関係は深いので、影響がないか心配です」と話していました。
現地の旅行関係者「先行きが不安」
コロンボの旅行代理店に勤める高橋佳さんは、「テロと聞いて、うそではないかと思いました。きのうは、中国からの観光客32人を受け入れる予定でしたが、キャンセルになりました」と話していました。
また、テロの現場となったホテルについて、5つ星のわりには、比較的安い料金で食事を楽しめるため、日本人の旅行者や駐在員にも人気の場所だったということです。
そのうえで、スリランカは、最近、日本の若い女性の間でも人気の観光地となっていたということで、「間違いなく、観光客が減ることになるので残念です。先行きが不安です」と話していました。