これについて商務省は、既存の利用者への影響を緩和しようと、ファーウェイの製品を使った通信ネットワークの保守事業やスマートフォンのソフトウェアの更新など、一部の取り引きを認める措置を発表しました。
対象となるのは今月16日より前に結ばれた契約で、今月20日から8月19日までの3か月間、取り引きの禁止措置の適用を猶予するとし、さらに猶予期間を延長するかどうかは今後判断するとしています。
ロス商務長官は声明で今回の措置について「ファーウェイの通信機器に依存しているアメリカや外国の通信会社が、長期的に適切な対策を考えるための時間を与えるものだ」と述べました。
アメリカの地方の通信会社の間では、コストが抑えられるとしてファーウェイの通信機器を使用しているケースもあり、混乱を抑えるねらいがあるものと見られます。
ファーウェイCEO「私たちの力を見くびっている」
ファーウェイの任正非CEOは21日午前、中国メディアの取材に応じ、アメリカが一部の取り引きの禁止を猶予するとした措置について「私たちにとって大きな意味はなく、アメリカの政治家は私たちの力を見くびっている。もし調達が困難になれば、自分たちで開発した予備のもので対応できる」と述べ、今後も取り引き禁止による影響に備えていく考えを示しました。
そのうえで、「私たちはアメリカ製の半導体を排除するような偏狭なまねはしない。私たちはアメリカと同じようなものを作ることはできるが、それでアメリカのものを買わないということにはならない」と述べて、今後もアメリカから部品を調達したいという意向を示しました。
取り引き企業対応急ぐ
取り引き禁止を猶予するとした措置を受けて、ファーウェイと取り引きのある企業は対応を急ぐことになります。
このうち特に注目されるのが、グーグルの対応です。ファーウェイのスマートフォンには、グーグルが開発した基本ソフト、「アンドロイド」が使われていますが、取引を禁止したトランプ政権の措置を受けて、基本ソフトの提供を停止したと報じられました。
グーグルも「政府の指示にしたがっており、影響を精査している」とコメントしました。
このため基本ソフトのセキュリティーの更新ができなくなるほか、Gメールや地図などグーグルが提供している主なサービスが使えなくなり、ファーウェイのスマートフォン事業に大きな打撃を及ぼすおそれがあると指摘されていました。
その後、20日になってアメリカ商務省が、ファーウェイに対する措置について、一部の取り引きを3か月間に限って認めると発表したため、グーグルはこの期間中にファーウェイ向けに基本ソフトのセキュリティー更新などを行うと見られます。
ファーウェイの任正非CEOも中国メディアの取材に対してグーグルと対応を協議していることを認めているということです。
また、ファーウェイのスマートフォンや通信設備に部品を供給しているクアルコムやブロードコムといったアメリカの大手半導体メーカーなども対応を迫られることになりそうです。