トランプ大統領はまずこの2年半を振り返り「世界はわれわれの経済をうらやんでいる。おそらくこの国の歴史で最もすばらしい状態だ」として、経済政策で成果を挙げたと主張しました。
その一方でいわゆるロシア疑惑も引き合いに民主党を繰り返し非難し、「民主党の大統領が誕生し議会も多数派となったら、彼らは言論の自由を封殺し、対立相手に圧力をかけるために法の力を使うだろう」と述べました。
そのうえで「アメリカをこれからも偉大に」を新たなスローガンに掲げ、「今夜あなたたちの前で2期目に向けた選挙活動を開始すると表明する。皆さんを決して失望させない」と述べて、来年11月の大統領選挙に向けて正式に立候補を表明しました。
トランプ大統領は保守層を中心とする底堅い支持を固めて再選をねらう戦略で、今後、「アメリカ第1主義」を鮮明にしながら、外交、内政の両面でみずからの支持者を重視する姿勢をさらに強めるとみられます。
一方、政権奪還を目指す野党・民主党は大統領選挙の候補者を選ぶ予備選挙に穏健派のバイデン前副大統領や社会民主主義者を自認するサンダース上院議員ら23人が名乗りを上げる異例の混戦となっていて、どの候補が反トランプ大統領の層の支持をまとめられるかが焦点となります。
集会で支持者ら大歓声
会場の大型体育館ではトランプ大統領がメラニア夫人とともに登場すると、支持者らが待ちわびたように大きな歓声を上げていました。
そしてトランプ大統領が就任以降のみずからの成果をアピールすると、会場の支持者たちは声をそろえて「さらに4年」と連呼したり、野党の民主党を批判すれば大きなブーイングが起きたり、大統領の演説に呼応するように声を上げていました。
また、トランプ大統領が会場にいた記者らを「フェイクニュース」と名指しして批判をすると、会場の人たちもずらりと並んだカメラマンのほうを向き、抗議のしぐさを見せたり、「真実を伝えろ」などと叫んだりしていました。
そして、トランプ大統領が再選を目指して来年秋の大統領選挙に立候補することを正式に表明すると、およそ40秒間にわたって歓声が鳴りやまず会場全体が熱気に包まれていました。
会場近くでは抗議集会も
トランプ大統領の立候補表明が行われた会場の近くでは、大統領に抗議するおよそ1000人が集まりました。
集まった人たちは「トランプを弾劾せよ」と書かれたプラカードや、トランプ大統領を赤ちゃんに風刺した風船などを掲げ、「大統領を逮捕しろ」などと声を上げていました。
抗議集会を主催した男性は「草の根の集会を通じて、トランプ大統領の政治に抗議の意思を伝えることが重要だ。民主党側は多くの候補が名乗りを上げているが、いずれもトランプ大統領の対立候補になると思うので応援したい」と話していました。
また、集会に参加した地元のフロリダ州議会議員のアナ・エスカマニ氏は「トランプ大統領の打ち出す政策は多くの人を傷つけてきた。演説をする集会では、憎悪ではなく、理解を広げるべきだ」と話していました。
菅官房長官「引き続き緊密連携 同盟強化」
菅官房長官は、午前の記者会見で、「アメリカ国内の内政の動向について、一つ一つコメントすることは政府として差し控えたい」と述べました。
そのうえで「先月のトランプ大統領ご夫妻による、令和の時代で初の国賓としての訪日でも示されたとおり、日米同盟は両首脳の信頼関係のもとにかつてなく強固になっていると思っている。政府としては、引き続きアメリカと緊密に連携し、同盟の強化に努めていきたい」と述べました。