八村選手は1巡目指名が見込まれる選手20人のうちの1人として、ドラフト会議の会場に招かれていて指名を受けたあと壇上に上がり、ウィザーズのキャップを受け取ってかぶり、笑顔を見せました。
八村選手は富山県出身の21歳。宮城県の高校を卒業後、アメリカの強豪ゴンザガ大学で3年間プレーし、全米でもトップレベルの選手と評価されるまでに成長しました。
日本選手がNBAのドラフト会議で1巡目で指名されたのは初めてで、日本選手の指名自体では、1981年に8巡目で指名されたものの入団に至らなかった元日本代表の岡山恭崇さん以来、38年ぶり2人目です。
また、八村選手がNBAでプレーすれば、2004年のサンズの田臥勇太選手、去年グリズリーズでデビューした渡邊雄太選手に続いて日本選手3人目で、ドラフト指名を受けてのNBAでのプレーは初めてのことになります。
八村「指名は多くのこと意味 とても感謝」
八村塁選手は指名後のインタビューで「クレイジーなことだ。指名は僕と家族と日本にとって多くのことを意味する。とても感謝している」と喜びを話しました。
そのうえで、「まず中学時代のコーチに感謝したい。彼がNBA行きの背中を押してくれて彼を信じてやってきた。当時のコーチとトレーナーとチームメートのみんなに感謝したい」と話しました。
また、最後に日本語で「皆さんやりました。日本人初のNBAです」とカメラに向かって笑顔で話しました。
ウィザーズとは
八村選手を指名したウィザーズは、アメリカの首都ワシントンを本拠地にしているチームです。1961年にシカゴでパッカーズとして創設されたあと、本拠地の移転を繰り返して、1997年からワシントン・ウィザーズになりました。1978年に唯一の優勝をしています。
NBAのスーパースターだったマイケル・ジョーダンさんが、ブルズを引退したあと、チームの共同オーナーになり、2001年から2年間は現役に復帰してプレーしました。
今シーズンはイースタンカンファレンスで11位に終わり、プレーオフ出場を逃しました。
グリズリーズ 渡邊「なんか嬉しいです」
今シーズン、NBAのグリズリーズでプレーした渡邊雄太選手は、自身のツイッターを通じて「ルイがウィザーズへ!おめでとう!!!ワシントンは自分の第2の故郷と言っても過言ではないので、なんか嬉しいです」と指名を祝うコメントを投稿しました。
競技レベルや人気向上につながるか
これまで日本選手にとって、NBAの舞台でプレーすることには高いハードルがありました。
日本選手がNBAでプレーするチャンスが出てきたのは、1981年にウォーリアーズが8巡目で指名した岡山恭崇さんでしたが、岡山さんは入団せず、NBAでプレーしませんでした。
その後、現在、Bリーグのチームに所属する田臥勇太選手が2004年にドラフトでの指名ではなく、若手の力を試す「サマーリーグ」に参加するなど評価を高めてサンズと契約しました。
そして、その年の開幕戦で日本選手として初めて、NBAの試合でプレーしました。NBAの扉を開いた田臥選手は、このシーズン、4試合に出場しました。
2014年には現在、Bリーグのチームでプレーする富樫勇樹選手が、マーベリックスと契約を結びましたが、NBAの試合には出られず、下部チームでのプレーにとどまりました。
そして、去年、渡邊雄太選手がサマーリーグなどを経て評価され、グリズリーズと下部チームでプレーしながら、一定期間トップチームにも帯同できる「ツーウエー契約」を結びました。
そして、田臥選手以来、14年ぶりのNBAプレーヤーとなり、15試合に出場しました。
日本ではことしに入って代表チームが自力で21年ぶりのワールドカップ出場を決めるなど、強化策が実を結び始めるとともに、Bリーグ人気も高まりを見せています。
これまでなかなか続かなかった日本選手のNBAプレーヤーが渡邊選手、八村選手と2年続けて出てきたことや八村選手がこれまでの日本選手と違い、ドラフト1巡目指名での入団で、出場機会がより多くなることが見込まれることから、野球の大リーグやサッカーの海外リーグのように、バスケットボールでも日本選手が世界の舞台で活躍して、日本の競技レベルや人気の向上につながっていくことが期待されます。