「徴用ちょうよう」判決はんけつ１いち年ねん 韓国かんこくは首脳しゅのう会談かいだん実現じつげん目指めざすも解決かいけつ案あんは不透明ふとうめい

ムン・ジェイン（文ぶん在ざい寅とら）政権せいけんは司法しほう判断はんだんを尊重そんちょうする姿勢しせいを崩くずさず、1965年ねんの日にち韓かん請求せいきゅう権けん協定きょうていで解決かいけつ済ずみだとする日本にっぽん政府せいふと対立たいりつし、日にち韓かん関係かんけいは悪化あっかの一途いっとをたどっています。

影響えいきょうは経済けいざいや安全あんぜん保障ほしょうにも及およんでいて、日本にっぽん政府せいふが韓国かんこく向むけの輸出ゆしゅつ管理かんりを強化きょうかしたことで、韓国かんこくでは国内こくない経済けいざいの先行さきゆきへの不安ふあんが広ひろがっています。

また、韓国かんこく政府せいふが日にち韓かんの軍事ぐんじ情報じょうほう包括ほうかつ保護ほご協定きょうてい＝ＧＳＯＭＩＡの破棄はきを決きめたことには、同盟どうめい国こくアメリカも懸念けねんを示しめしています。

こうした中なか、裁判さいばんの原告げんこく側がわは韓国かんこく国内こくないにある日本にっぽん企業きぎょうの資産しさんを現金げんきん化かする手続てつづきを進すすめていて、ムン政権せいけん内ないでは、日本にっぽん企業きぎょうに実害じつがいが及およぶことになれば、日にち韓かん関係かんけいが深刻しんこくな状況じょうきょうに陥おちいりかねないとして、その前まえに事態じたいを打開だかいすべきだという意見いけんが出でています。

このため韓国かんこく政府せいふは、外交がいこう当局とうきょくの意思いし疎通そつうを活発かっぱつ化かさせ、来月らいげつチリで開ひらかれるＡＰＥＣえいぺっく＝アジア太平洋たいへいよう経済けいざい協力きょうりょく会議かいぎの首脳しゅのう会議かいぎや、12月つきに調整ちょうせいされている中国ちゅうごくでの日にち中ちゅう韓かん３さんか国かこくの首脳しゅのう会議かいぎなどの機会きかいに、日にち韓かん首脳しゅのう会談かいだんの実現じつげんを目指めざす考かんがえです。

ただ、双方そうほうの隔へだたりは大おおきく、韓国かんこく政府せいふが日本にっぽん側がわの受け入うけいれ可能かのうな解決かいけつ案あんを早期そうきに提示ていじできるのかは不透明ふとうめいです。

差し押さしおさえ資産しさんの現金げんきん化か 来年らいねん２月にがつ以降いこうか

裁判さいばんの原告げんこく側がわは30日にち午後ごご、ソウルで記者きしゃ会見かいけんを開ひらき、差し押さしおさえた日本にっぽん企業きぎょうの資産しさんを売却ばいきゃくして現金げんきん化かする手続てつづきについて、完了かんりょうするのは来年らいねん２月にがつ以降いこうになるという見通みとおしを示しめしました。

会見かいけんで原告げんこく側がわはまず、「判決はんけつから１いち年ねんがたったが被告ひこくの日本にっぽん企業きぎょうが賠償ばいしょうに応おうじていない」と述のべ、日本にっぽん企業きぎょうに対にたいして早急そうきゅうに賠償ばいしょうに応おうじるよう求もとめました。

そして、差し押さしおさえた日本にっぽん企業きぎょうの資産しさんを売却ばいきゃくして現金げんきん化かする裁判所さいばんしょへの手続てつづきについて、原告げんこく側がわの弁護士べんごしは、手続てつづきが遅おくれているため、来年らいねん２月にがつ以降いこうになるのではないかという見通みとおしを示しめしました。

一方いっぽう、原告げんこく側がわは去年きょねんの韓国かんこく最高裁さいこうさいの判決はんけつ以降いこう、建設けんせつ会社かいしゃの「熊谷くまがい組ぐみ」や「西松にしまつ建設けんせつ」など、日本にっぽん企業きぎょう10社しゃ以上いじょうに対にたいして同様どうようの訴訟そしょうを起おこしたことを明あきらかにし、今後こんごも提訴ていそを続つづける方針ほうしんだとしています。

さらに弁護べんご団だんは30日にち、国連こくれんの人権じんけん理事りじ会かいの特別とくべつ報告ほうこく官かんに書簡しょかんを送おくったことも明あきらかにし、「徴用ちょうよう」をめぐる問題もんだいについて韓国かんこく側がわの主張しゅちょうを国際こくさい社会しゃかいに訴うったえるとしています。

韓国かんこく外務省がいむしょう「問題もんだい解決かいけつの方策ほうさく 引き続ひきつづき模索もさく」

韓国かんこく外務省がいむしょうはコメントを出だし、この中なかで、「韓国かんこく政府せいふは、司法しほうの判断はんだんを尊重そんちょうする立場たちばのもと、日にち韓かん関係かんけいも考慮こうりょしながら被害ひがい者しゃの権利けんりを実現じつげんするための合理ごうり的てきな方策ほうさくを導き出みちびきだそうと最大限さいだいげんの努力どりょくをしてきた」と強調きょうちょうしました。

そのうえで、「今後こんごも韓国かんこく政府せいふは、被害ひがい者しゃをはじめ社会しゃかいの声こえに耳みみを傾かたむけながら、問題もんだい解決かいけつの方策ほうさくを引き続ひきつづき模索もさくしていく」としています。

政権せいけんをとりまく国内外こくないがいの情勢じょうせいが影響えいきょうか

日にち韓かん関係かんけいが専門せんもんの韓国かんこくクンミン（国民こくみん）大学だいがくのイ・ウォンドク（李り元もと徳とく）教授きょうじゅは、「韓国かんこく政府せいふがより積極せっきょく的てきに『徴用ちょうよう』の問題もんだいに取り組とりくもうとしているように見みえる。この１いちか月かげつ間かんほどの変化へんかだ」と述のべ、韓国かんこく政府せいふが、日本にっぽんとの関係かんけい改善かいぜんを模索もさくし始はじめているという見方みかたを示しめしました。

ムン・ジェイン政権せいけんの対たい日にち姿勢しせいの変化へんかについて、イ教授きょうじゅは、政権せいけんをとりまく国内外こくないがいの情勢じょうせいが影響えいきょうしていると分析ぶんせきしています。具体ぐたい的てきには、国内こくないでは、チョ・グク前ぜん法相ほうしょうをめぐる問題もんだいで支持しじ基盤きばんが弱体じゃくたい化かし、南北なんぼく関係かんけいでは、北朝鮮きたちょうせんが韓国かんこく批判ひはんを繰り返くりかえして関係かんけい改善かいぜんの成果せいかを出だせていないとしています。

そのうえでイ教授きょうじゅは「こうした難局なんきょくの中なかで、日本にっぽんとの問題もんだいも解決かいけつできなければ、政府せいふ与党よとうにとって不利ふりに働はたらくと判断はんだんしたと思おもう」と述のべました。

また、イ教授きょうじゅは、韓国かんこくが破棄はきを決きめた日本にっぽんとの軍事ぐんじ情報じょうほう包括ほうかつ保護ほご協定きょうてい＝「ＧＳＯＭＩＡ」の効力こうりょくが来月らいげつ下旬げじゅんに失うしなわれる点てんに注目ちゅうもくし、「できればそれまでに問題もんだいを解決かいけつする方向ほうこう性せいについて合意ごういできるのがいちばんよい」と述のべました。

そして「徴用ちょうよう」をめぐる裁判さいばんの原告げんこく側がわが日本にっぽん企業きぎょうの資産しさんを売却ばいきゃくし現金げんきん化かする手続てつづきを進すすめていることについて「韓国かんこく政府せいふには、日本にっぽん企業きぎょうに実害じつがいが及およべば、両国りょうこく関係かんけいがさらに悪化あっかするという懸念けねんがある」と述のべ、速すみやかな対応たいおうが求もとめられると強調きょうちょうしていました。