ナイジェリア大統領だいとうりょう選せん 急きゅうきょ延期えんき 混乱こんらんの拡大かくだい懸念けねん

しかし、投票とうひょう開始かいしを数すう時間じかん後ごに控ひかえた16日にちの未明みめい、選挙せんきょ管理かんり委員いいん会かいが急きゅうきょ記者きしゃ会見かいけんを開ひらき、準備じゅんびが間に合まにあわないとして「投票とうひょうを１いち週間しゅうかん延期えんきし、今月こんげつ23日にちに行おこなう」と発表はっぴょうしました。

今回こんかいの選挙せんきょには70人にん以上いじょうが立候補りっこうほしていますが、事実じじつ上じょう、再選さいせんを目指めざす現職げんしょくのブハリ大統領だいとうりょうと、最大さいだい野党やとうから立候補りっこうほしたかつての副ふく大統領だいとうりょうのアブバカル氏しの２に人にんが争あらそう構図こうずで、当局とうきょくの延期えんきの判断はんだんを受うけて与野党よやとう双方そうほうとも支持しじ者しゃに冷静れいせいに行動こうどうするよう求もとめました。

ナイジェリアでは、大統領だいとうりょう選挙せんきょを前まえに双方そうほうの支持しじ者しゃが衝突しょうとつし、一部いちぶで死傷ししょう者しゃも出でているうえ、北東ほくとう部ぶを拠点きょてんにするイスラム過激かげき派は組織そしき、ボコ・ハラムも活動かつどうを活発かっぱつ化かさせ、治安ちあんが悪化あっかしています。

ナイジェリアは原油げんゆや天然てんねんガスの生産せいさんと輸出ゆしゅつで経済けいざい的てきな影響えいきょう力りょくを拡大かくだいさせていて、大統領だいとうりょう選挙せんきょの行方ゆくえには国際こくさい社会しゃかいの関心かんしんも高たかまっているだけに、今回こんかいの延期えんきの決定けっていによる混乱こんらんの広ひろがりが懸念けねんされています。

アフリカの大国たいこくナイジェリア

ナイジェリアは、アフリカ西部せいぶの沿岸えんがん部ぶに位置いちする国くにです。多様たような民族みんぞくが住すんでいて、北部ほくぶにはイスラム教徒きょうと、南部なんぶにはキリスト教徒きりすときょうとが多おおく暮くらしています。

人口じんこうは１いち億おく9000万まん人にんを超こえ、アフリカの国々くにぐにの中なかで最もっとも多おおく、国連こくれんの推計すいけいによりますと、2050年ねんには４よん億おく人にんに達たっすると予想よそうされるなど、人口じんこうの増加ぞうかが世界せかいで最もっとも急速きゅうそくに進すすんでいる国くにの１ひとつです。

経済けいざいの中心ちゅうしんは原油げんゆや天然てんねんガスの生産せいさんと輸出ゆしゅつで、国くにの収入しゅうにゅうのおよそ７なな割わりを石油せきゆ産業さんぎょうに依存いぞんしています。また、人口じんこうの増加ぞうかや都市とし化かに伴ともなって、情報じょうほう通信つうしんや小売こうりなどのサービス産業さんぎょうも拡大かくだいを続つづけていて、ＧＤＰじ-でぃ-ぴ-＝国内こくない総そう生産せいさんは南アフリカみなみあふりかを抜ぬいてアフリカ最大さいだいとなっています。

一方いっぽう、ナイジェリアが抱かかえる最大さいだいの課題かだいは治安ちあん問題もんだいです。

北東ほくとう部ぶにはボコ・ハラムと呼よばれるイスラム過激かげき派は組織そしきが勢力せいりょくを拡大かくだいし、政府せいふ機関きかんや住民じゅうみんに対にたいする襲撃しゅうげきやテロを繰り返くりかえしているほか、2014年ねんには女子じょし生徒せいと200人にん以上いじょうを連れ去つれさり、世界中せかいじゅうから非難ひなんの声こえが上あがりました。

政府せいふは北東ほくとう部ぶに非常ひじょう事態じたい宣言せんげんを出だし、大だい規模きぼな部隊ぶたいを展開てんかいさせてボコ・ハラムに対にたいする作戦さくせんを進すすめていますが、活動かつどうを押おさえ込こめておらず、今いまもテロや襲撃しゅうげきなどが繰り返くりかえされています。

また、南部なんぶの産油さんゆ地帯ちたいには石油せきゆ利権りけんをめぐって政府せいふと対立たいりつする武装ぶそう勢力せいりょくが拠点きょてんを構かまえているほか、原油げんゆ価格かかくの下落げらくによる経済けいざいの低迷ていめいや、格差かくさの拡大かくだいなどで都市とし部ぶでの犯罪はんざいの増加ぞうかも指摘してきされています。

国際こくさい情勢じょうせいを分析ぶんせきしているアメリカの調査ちょうさ会社かいしゃ「ユーラシア・グループ」は、「ことしの10大だいリスク」の１ひとつにナイジェリア情勢じょうせいをあげていて、選挙せんきょの結果けっかなどをめぐる混乱こんらんが広ひろがることに懸念けねんを示しめしています。

攻勢こうせい強つよめるイスラム過激かげき派は

大統領だいとうりょう選挙せんきょで大おおきな焦点しょうてんになっているのが、ナイジェリアを中心ちゅうしんに活発かっぱつに活動かつどうするイスラム過激かげき派は組織そしき、ボコ・ハラムへの対応たいおうです。

ボコ・ハラムは選挙せんきょを前まえに攻勢こうせいを強つよめていて、国際こくさい的てきな人権じんけん団体だんたい、アムネスティ・インターナショナルによりますと、先月せんげつ28日にちには北東ほくとう部ぶにある町まちが襲撃しゅうげきされ、少すくなくとも60人にんが殺害さつがいされたということです。

人権じんけん団体だんたいが入手にゅうしゅした衛星えいせい写真しゃしんでは、襲撃しゅうげき前まえには集落しゅうらくがあったところが、襲撃しゅうげき後ごは黒くろい焼け跡やけあとになっていて、ボコ・ハラムが住宅じゅうたくを焼き払やきはらったとみられています。

そして、この襲撃しゅうげきには選挙せんきょが影響えいきょうしていた可能かのう性せいも指摘してきされています。生存せいぞん者しゃの証言しょうげんでは、襲撃しゅうげき前まえに町まちを守まもっていた治安ちあん部隊ぶたいが撤退てったいしていたということで、人権じんけん団体だんたいの地元じもと責任せきにん者しゃのオザイ・オジゴ所長しょちょうは「もともと当局とうきょくの治安ちあん対策たいさくが不十分ふじゅうぶんだが、選挙せんきょで治安ちあん機関きかんの手てが回まわらなくなり、そこに過激かげき派は組織そしきがつけ込つけこんで攻勢こうせいを強つよめている」と話はなしています。

市民しみんの犠牲ぎせいが拡大かくだいする中なか、首都しゅとアブジャにある避難ひなん民みんのキャンプでは、襲撃しゅうげきから逃のがれてくる人ひとが増ふえ続つづけています。

その１いち人にん、25歳さいのハリマ・ハッサンさんは、住すんでいた北東ほくとう部ぶの町まちがボコ・ハラムに襲おそわれ、１いち歳さい半はんの娘むすめを連つれてキャンプに逃のがれてきました。

ハリマさんは「銃じゅうを持もった過激かげき派はの戦闘せんとう員いんを目の当まのあたりにして恐怖きょうふで震ふるえた」と振り返ふりかえったうえで、大統領だいとうりょう選挙せんきょについて「自由じゆうにふるさとに戻もどれるよう治安ちあん対策たいさくがきちんとできる指導しどう者しゃが選えらばれてほしい」と話はなしていました。