南部には、住まいを追われた大勢の人が避難していて、犠牲者がさらに増えることが懸念されます。
イスラエルやパレスチナに関する日本時間12月5日の動きを随時更新でお伝えします。
イスラエル軍は4日、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスに対する軍事作戦を地上部隊が続けるとともに、ハマスの標的およそ200か所を空爆したと発表しました。
特に南部の中心都市ハンユニスへの攻撃を強化していて、住民にさらに南へ避難するよう促すビラをまいた上で、市内に北側から入る幹線道路を封鎖するなど、地上部隊を進める構えを見せています。
中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、ハンユニス近郊でイスラエル軍の戦車が目撃されたと伝えています。
戦闘に巻き込まれる住民も増えていて、ハンユニスの病院で撮影された映像には生後数か月の赤ちゃんが酸素マスクをつけた状態で手当てを受ける様子が映っています。
父親は「イスラエル軍に言われたとおり北部のガザ市を離れて南部に避難したのに、子どもが負傷した。私たちはどうすればいいのか」と話し、途方に暮れていました。
また、パレスチナのメディアは、北部のガザ市では住まいを失った人たちが避難していた2つの学校が爆撃され、少なくとも50人が死亡したと伝えています。
ガザ地区の保健当局は4日、戦闘開始からの2か月近くの死者数は1万5899人、負傷者は4万2000人に上ると発表しました。
12月1日にイスラエル軍が軍事作戦を再開してからの4日間では、700人近くの死亡が新たに確認されたことになります。
一方のハマスは、ガザ地区でイスラエル軍の車両28台を破壊し、戦闘で兵士を殺害したと主張したほか、イスラエル最大の商業都市テルアビブなどにロケット弾を相次いで発射しました。
大勢の人の避難先となってきた南部への攻撃が強化される中で犠牲者がさらに増えることが懸念されます。
負傷者が救急車などで次々搬送 南部ハンユニス ナセル病院
南部ハンユニスのナセル病院で4日に撮影された映像には、負傷者が救急車などで次々と運ばれてくる様子が映っています。
また、負傷した生後2か月ほどの赤ちゃんが抱きかかえられて病院に運び込まれ、酸素マスクを装着した状態で手当てを受けている様子も映っています。
赤ちゃんの父親は「ガザ北部を離れて南部に行くよう言われ従ったにも関わらず、南部で息子が負傷しました。私たちはどうしたらいいんでしょうか。息子は戦闘が始まって2日目に生まれ、まだ出生登録もできていません」と話していました。
避難先で遊ぶ子どもたちの様子
またSNSには、南部ハンユニスに避難している子どもたちを撮影した動画が投稿されています。
パレスチナ赤新月社が旧ツイッターのXに投稿した動画で、子どもたちは手をつないで輪を作ったり、歌をうたったりして笑顔で過ごしています。
動画に合わせてパレスチナ赤新月社は「経験している困難にもかかわらず子どもたちは、遊びや歌を最大限いかし、恐怖と痛みの中で幸せと希望を見出している」と投稿しています。
ガザ地区 人口の8割超の190万人が避難 UNRWA 発表
UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関は4日、ガザ地区では人口の8割を超えるおよそ190万人が避難を余儀なくされているとする報告書を発表しました。
避難する人は増え続けていて、11月30日からイスラエル軍の軍事作戦が再開された翌日の12月2日にかけては、少なくとも6万人の避難民が新たにガザ地区中部と南部の避難所に逃れたとしています。
現在、UNRWAが運営する156の避難所にはあわせておよそ120万人が避難しているということです。
3人の子どもと避難所に身を寄せている母親は「何日も食事をしてません。水を手に入れるのも大変で子どもは汚い水を飲んで下痢をしました。誰の力も借りられず、何をどうしたらいいか分からず怖いです」と話しています。
また、10月に戦闘が始まってから今月2日までにガザ地区で亡くなった国連職員やスタッフはあわせて111人にのぼることも明らかにしました。