일본어 뉴스: ワクチンデマに不安感じた妊婦考え変わり接種したきっかけは

“ワクチンを接種せっしゅすると不妊ふにんになる、流産りゅうざんする”というデマがSNSなどで出回でまわり、それを見みて不安ふあんになる人ひとが少すくなくありません。

今年ことし5月つきに出産しゅっさんしたマリさん（仮名かめい・アメリカ在住ざいじゅう）もその一いち人にんです。

一いち度どは「ワクチンを打うつのをやめよう」と思おもったマリさんですが、ある医師いしの動画どうがを見みたことで考かんがえを変かえ、出産しゅっさん前まえにワクチンを接種せっしゅしました。

マリさんが「背中せなかを押おしてもらった」という動画どうが。制作せいさくした医師いしらのグループは、ワクチンの有効ゆうこう性せいや副ふく反応はんのうなどについて、科学かがく的てき根拠こんきょに基もとづいた情報じょうほうを毎日まいにち発信はっしんし続つづけています。

（フェイク・バスターズ新型しんがたコロナワクチンと誤あやま情報じょうほう取材しゅざい班はん / 総合テレビそうごうてれび 8月つき10日にち午後ごご10時じ放送ほうそう予定よてい）

https://www.nhk.jp/p/ts/XKNJM21974/

世界中せかいじゅうに拡散かくさんした誤あやま情報じょうほう受け取うけとった妊婦にんぷは…

アメリカに住すむマリさんは、5月つきに第だい二に子しを出産しゅっさんしました。

アメリカでは去年きょねん12月つきからワクチンの接種せっしゅが始はじまりましたが、妊娠にんしん中ちゅうにワクチンを打うつことにマリさんには迷まよいがありました。

去年きょねん12月つきごろから、SNSを中心ちゅうしんに、「ワクチンを製造せいぞうするファイザー社しゃの元もと職員しょくいんが『ワクチンによって体内たいないでつくられた抗体こうたいが胎盤たいばんのたんぱく質たんぱくしつに悪あく影響えいきょうを与あたえ、不妊ふにんになる可能かのう性せいがある』などと述のべた」とする情報じょうほうが広ひろがっていたからです。

根拠こんきょのない誤あやま情報じょうほうにもかかわらず、ネット上じょうでは広ひろく拡散かくさんし、最初さいしょは英語えいご圏けんで、その後そのご日本にっぽんでも広ひろまっていました。

マリさんは新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだい以降いこう、情報じょうほうを求もとめてSNSを頻繁ひんぱんにチェックするようになっていました。

“ワクチンが不妊ふにんや流産りゅうざんの原因げんいんになる”とするデマも、Twitterのタイムラインにたびたび流ながれてきました。

マリさんがフォローしている人ひとたちも「いいね」や「リツイート」をしていました。

デマだとは思おもうけど…

マリさん

「妊娠にんしん中ちゅうっていうのはただでさえ不安ふあんなんですよね。本当ほんとうに生うまれてくるまで分わからない。そこを突ついてくる。赤あかちゃんに悪わるい影響えいきょうがあるよっていうふうにささやかれると、え、本当ほんとうかなって思おもっちゃいますよね」

その頃ころ、マリさんはほぼ家いえの中なかで過すごしていたこともあり、自分じぶんが感染かんせんするリスクは低ひくいと判断はんだんし「出産しゅっさんするまでは打うたないでおこう」と考かんがえました。

デマだと思おもっていても、早産そうざんや流産りゅうざんになるリスクはやはり怖こわく、感染かんせんリスクが低ひくいのであれば「打うたない方ほうがいいのではないか」と思おもったのです。

一緒いっしょに暮くらす夫おっとはワクチンを接種せっしゅすることにしましたが、妊娠にんしん中ちゅうのマリさんの身みを案あんじて「やめておこう」と話はなしていたそうです。

届とどいた動画どうが “科学かがく的てき根拠こんきょに基もとづいた”医師いしによる発信はっしん

そんな時とき、マリさんのもとに友人ゆうじんからある動画どうがが送おくられてきました。新型しんがたコロナウイルスの情報じょうほうを発信はっしんしている医師いしたちのグループ「こびナビ」の動画どうがでした。

「こびナビ」は、感染かんせん症しょう専門医せんもんいやウイルス研究けんきゅう者しゃ、公衆こうしゅう衛生えいせいの専門せんもん家かなど30人にんほどがボランティアで参加さんかしていて、ウェブサイトやSNSをフル活用かつようし、ワクチンの有効ゆうこう性せいや副ふく反応はんのうなど、科学かがく的てき根拠こんきょに基もとづいた情報じょうほうを毎日まいにち発信はっしんし続つづけています。

マリさんが見みたのは、「こびナビ」のメンバーのひとり、内田うちだ舞まい医師いしが、妊娠にんしん中ちゅうの女性じょせいに向むけて発信はっしんした動画どうがでした。

内田うちだ医師いしはアメリカ在住ざいじゅうでハーバード大学だいがく医学部いがくぶ助教授じょきょうじゅやマサチューセッツ総合そうごう病院びょういん小児しょうにうつ病うつびょうセンター長ちょうを務つとめています。

自分じぶん自身じしんが妊娠にんしん中ちゅうに新型しんがたコロナワクチンを接種せっしゅした経験けいけんから、女性じょせいたちの不安ふあんに寄り添よりそいたいと、最新さいしんの論文ろんぶんや研究けんきゅう結果けっかをわかりやすく紹介しょうかいしています。

「“何なにもしない”ことも大おおきなリスク」

内田うちだ医師いしが解説かいせつする動画どうがの中なかで、マリさんが特とくに気きになった言葉ことばがありました。

内田うちだ医師いし

「“なんとなく怖こわいから何なにもしない”、すなわち“ワクチンを接種せっしゅしない”という選択せんたくにも、大おおきなリスクがあることを忘わすれてはなりません」

日本にっぽん産科さんか婦人ふじん科か学会がっかいやアメリカ疾病しっぺい対策たいさくセンター（CDC）などによると、妊娠にんしん中ちゅうに新型しんがたコロナに感染かんせんした場合ばあい、妊娠にんしんしていない同どう年代ねんだいの女性じょせいに比くらべて、重症じゅうしょう化かしやすくなるとされています。

内田うちだ医師いしはこうした研究けんきゅう結果けっかをもとに、ワクチンを打うつリスクと打うたないリスクを天秤てんびんにかけて判断はんだんをしてほしいと呼よびかけていました。

マリさん

「これまで“打うたないことのリスク”はあまり考かんがえたことがありませんでした。重症じゅうしょう化かしてECMO につながれるかもしれないと考かんがえたときに『あ、それは本当ほんとうに怖こわいことだ』と。私わたしが感染かんせんしてしまったら『家族かぞくはどうなるんだろう』『赤あかちゃんはどうなるんだろう』と思おもいました。ドンと背中せなかを押おしてもらったような感かんじがしました」

この動画どうがを見みてから考かんがえが変かわったマリさんは、出産しゅっさん前まえにワクチンを接種せっしゅ。

その後そのご、無事ぶじに女の子おんなのこが生うまれました。

“ワクチンで流産りゅうざんや不妊ふにん”には「科学かがく的てき根拠こんきょがない」

ワクチン接種せっしゅが不妊ふにんや流産りゅうざんの原因げんいんになるという情報じょうほうは、世界中せかいじゅうの公的こうてき機関きかんが『科学かがく的てきな根拠こんきょがない』と否定ひていしています。

その詳くわしい理由りゆうを内田うちだ医師いしに改あらためて解説かいせつしてもらいました。

「ワクチンが胎盤たいばんに悪あく影響えいきょう与あたえることはない」

内田うちだ医師いし

「ワクチンを接種せっしゅすることによって、新型しんがたコロナウイルスの周まわりを囲かこむ『スパイクたんぱく質たんぱくしつ』に対にたいする抗体こうたいができます。デマの元もとになったのは、この『スパイクたんぱく質たんぱくしつ』と『胎盤たいばんを構成こうせいしているたんぱく質たんぱくしつ』が似にているため、抗体こうたいが胎盤たいばんに対にたいしても反応はんのうするのではという説せつでした。しかし、検証けんしょうの結果けっか、2つのたんぱく質たんぱくしつは全まったく似にておらず、胎盤たいばんに悪あく影響えいきょうを与あたえることはないことが分わかっています」

「ワクチンで流産りゅうざんが増ふえていることはない」

内田うちだ医師いし

「流産りゅうざんについては、アメリカでは妊娠にんしん中ちゅうにワクチンを接種せっしゅした人ひと3万まん人にん以上いじょうを対象たいしょうとした調査ちょうさが行おこなわれ、コロナの流行りゅうこう以前いぜんの一般いっぱん的てきな流産りゅうざん率りつ15～20％に対にたいして、ワクチン接種せっしゅ後ごの流産りゅうざん率りつは12.6％という結果けっかが出でています（CDC・米べい疾病しっぺい対策たいさくセンターの最新さいしんの論文ろんぶんより）。実際じっさいにワクチンが原因げんいんで流産りゅうざんが増ふえていることはないと確認かくにんされています」

「臨床りんしょう試験しけんでは、妊娠にんしんする確率かくりつは全まったく同おなじ」

内田うちだ医師いし

「また不妊ふにんについては、ワクチンの臨床りんしょう試験しけん中ちゅうにワクチンを接種せっしゅしたグループと、プラセボ（偽薬ぎやく）を接種せっしゅしたグループを比較ひかくしたところ、妊娠にんしんする確率かくりつは全まったく同おなじだったことが分わかっています。新型しんがたコロナワクチンが流産りゅうざんや不妊ふにんを起おこすという科学かがく的てき根拠こんきょはありません」

「心こころの弱よわいところを突ついてくる意地悪いじわるなデマ」

こうした情報じょうほうを発信はっしんするようになってから、内田うちだ医師いしのもとには質問しつもんやコメントが数すう千せん件けんの単位たんいで寄よせられるようになったといいます。

その多おおくは不安ふあんを訴うったえる女性じょせいたちの声こえで、それを読よんだ内田うちだ医師いしは、改あらためてデマの悪質あくしつさを感かんじたと言いいます。

内田うちだ医師いし

「ほとんどの不妊ふにんや流産りゅうざんは、何なにかをしたり、しなかったりで確率かくりつが増ふえることはほとんどありません。それでも不妊ふにんや流産りゅうざんを経験けいけんされた方々かたがたは、自分じぶんを責せめることが非常ひじょうに多おおいんですよね。私わたしもその気持きもちはすごくよくわかります。そうした心こころの弱よわいところを突ついてくる意地悪いじわるなデマだなと思おもいます」