ことしの路線価は1日、公表され、調査対象となった全国およそ32万地点の平均は去年に比べて0.5%下がり、6年ぶりに前の年を下回りました。
また、東京が1.1%、大阪が0.9%下がって、いずれも8年ぶりの下落に転じるなど、39の都府県で去年を下回りました。 上昇したのは都市部の再開発などが進んだ、北海道、宮城、千葉、福岡、佐賀、熊本、沖縄の7道県で、前の年より高くなった都道府県の数は、去年の3分の1となりました。
36年連続での全国最高額ですが、去年に比べて7.0%下がり、9年ぶりの下落となりました。
▽大阪市中央区の心斎橋筋の26.4%、 ▽岐阜県高山市の上三之町下三之町線通りの12.7%、 ▽奈良市の大宮通りの12.5%、 ▽東京 台東区の雷門通りの11.9%などで、 各地の観光地や商業地で下落が目立ちました。
東京に近く割安感がある市川市や船橋市などで住宅需要が高まり、去年に比べて0.2%高くなりました。
しかし、上げ幅は1.0%となり、3.7%の上昇だった去年に比べ大幅に縮小しました。
去年まで上昇率が6年連続で全国で最も高かった倶知安町山田の「ホテルニセコアルペン前」は、ことしは1平方メートル当たり72万円と去年と同じでした。 この地区の不動産を扱っている会社は、感染拡大で海外投資家の来日が難しくなったことが、土地取り引きの減少につながっているとみています。 ニセコ地区を中心に不動産の売買や仲介をしている小樽市の会社は、感染拡大に伴って顧客の海外投資家の来日が難しくなったと実感しています。 海外投資家は、不動産を購入する前に周辺の環境などの視察を欠かさないことから、去年2月からこれまでの1年余りの間に、海外投資家との契約はほとんどなかったといいます。
一方で、感染の拡大が収束したあとには、ニセコ地区を中心とした北海道の不動産の取り引きは再び注目されると見ています。 石井社長は「『密』にならない、豊かな自然資源がある、四季がはっきりしているなど、魅力があるのはアジアの中で北海道だとアジアの投資家が言いだした。とにかく今、『安かったら、下がったら投資したい』と言っている」としたうえで、情報発信を続けて将来的な取り引きにつなげたいとしています。
一方、住宅地は比較的影響が小さく、「宇都宮や福岡など長期間再開発を行ってきた地域では上昇している。千葉の市川市や船橋市、さいたま市などではマンションの建設などが進み、東京に比べて価格が安いため需要があり、強含んでいる」と指摘しています。
39都府県で去年を下回る
全国最高額は4272万円 東京 銀座5丁目
下げ幅が大きい地点
8年連続上昇の千葉県
北海道 6年連続上昇も上げ幅縮小
“高級リゾート地” ニセコ地区は
ニセコ地区の不動産を扱う会社「ほぼ新規の取引はゼロ」
専門家「観光客に依存しているエリア 大きなダメージ」
今後の動向「ワクチン接種進み 全体的に上向き傾向」
ことしは、全国の調査地点の平均が6年ぶりに前の年を下回りました。新型コロナウイルスの影響で、観光地や商業地で下落が目立っていて、専門家は「飲食店を中心とした店舗が撤退し、代わりに入る店も出てこないという状況が原因と考えられる」と見ています。