横田早紀江さん「こういう結果になり非常に残念」
中学1年生のときに北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの母親の早紀江さん(84)は「テレビで安倍総理の姿を拝見していて、大丈夫かなと思っていました。こういう結果になり非常に残念ですが、お体が悪いというのはしかたがないことだと思います」と話しています。
そのうえで「次の総理大臣には、引き続き、私たち被害者家族と同じ思いで取り組んでいただきたい。北朝鮮も今、大変なようですので、拉致問題が解決し日朝双方が幸せになれればいいと思います」とコメントしました。
横田めぐみさんの弟 拓也さん
中学1年生の時に北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの弟の拓也さんは取材に対し、「突然の辞意表明だったので正直、驚きました。拉致問題の解決に向けて強い信念がある総理だと感じていただけに、解決が果たされなかったのは残念です」と話しました。
そのうえで、「母親も84歳になり、ほかの家族も40年以上、肉親の帰りを待っています。このあと、何もなかったかのようにリセットされて『1からやり直し』という事態になれば、北朝鮮にいる被害者も、私たち家族も耐えられません。次の総理大臣は、すべての被害者の一刻も早い帰国が実現するよう主体的に取り組んでほしい」と求めました。
拉致被害者 家族会代表 飯塚繁雄さん
北朝鮮による拉致被害者の家族会代表で田口八重子さんの兄の飯塚繁雄さんは取材に対し、「突然の辞任の報に驚いていますが、体調が悪いということなら致し方ないと思います。安倍総理は拉致問題を政権の最重要課題と位置づけてくれましたが、被害者家族は高齢化しており、誰が次の総理大臣になっても、責任を持ってすべての被害者の帰国を実現させてほしい」と話しています。
田口八重子さんの長男 飯塚耕一郎さん
田口八重子さんの長男の飯塚耕一郎さんは「これまで、拉致問題の解決に向けてご尽力いただき感謝しています。ただ、残された拉致被害者の帰国が実現しなかったことは残念でなりません」と話しています。
曽我ひとみさん 「一緒に戦いたかった残念」
拉致被害者の曽我ひとみさんは新潟県佐渡市を通じてコメントを発表しました。
曽我さんは、「安倍総理大臣には私たちの帰国前後から拉致問題解決に向けて力を入れていただき、感謝しています。まだ、全員が帰ってきていない状況なので、それまで一緒に戦いたかった。残念ですが、体が大切なので治療に専念していただきたい」としています。
そのうえで、「拉致問題の解決は時間との闘いです。このあと、どなたが総理大臣に就任しても引き続き、全員の帰国まで力を入れてほしいと願っています」としています。
地村さん夫婦「帰国に多大なご尽力」
北朝鮮による拉致被害者で、平成14年に帰国した福井県小浜市の地村保志さんと妻の富貴恵さんは連名でコメントを出しました。
この中で地村さんは、「安倍総理にはわれわれ5人の拉致被害者や子どもたちの帰国に多大なご尽力をいただきました。安倍総理は拉致問題を政権の最重要課題として、全面解決に向け、全力で取り組んでいただきましたこと、心より感謝申し上げます。今後も政府・国民が一丸となり、引き続き、解決に向けた強力な運動を展開し、必ずやわれわれの世代で拉致問題が解決されるよう私たちも取り組んでまいります」としています。
有本恵子さんの父親 明弘さん
神戸市出身の拉致被害者、有本恵子さんの父親明弘さん(92)は、「拉致問題に一番熱心に取り組んでくれた。在任中、アメリカとの関係が深まり、もう少し長く取り組んでくれていたら、よい結果が出たかもしれないが、病気には勝てない。後任の方にも、拉致問題にしっかり取り組んでほしいと言いたい」と話していました。
松本京子さんの兄 孟さん
鳥取県米子市の拉致被害者、松本京子さんの兄・孟さんは「安倍総理の手で拉致問題を解決してもらいたかったがそれがかなわず残念だ。ただ、問題を全国に広く知らしめるなど問題解決に向けて熱心に取り組んでもらい感謝している。次の総理大臣には残された被害者家族が元気なうちに1日も早く被害者の帰国が実現するよう取り組んでほしい」と話していました。
市川修一さんの兄 市川健一さん
鹿児島県の拉致被害者、市川修一さんの兄、市川健一さんは「突然の発表で驚きを隠せない。拉致問題に真摯(しんし)に取り組んでくださっていたので道半ばで辞任されるのは残念だが、健康が1番なので体を大事にしてほしい。次の総理にも『早期解決を』と繰り返していた安倍総理大臣の意思を引き継いで、拉致被害者家族と一緒にたたかってほしい」と話していました。
尾身会長「辞任の意向 驚いている」
新型コロナウイルス対策についての政府の分科会の会長で、安倍総理大臣の会見にも同席してきた尾身茂さんは「きのう、政府の会議でお会いした。体調が悪いというのは聞いていたが、声の調子や部屋の出入りの様子などから、そんなに疲弊しているという印象ではなかったので、辞任の意向を知ってとても驚いている。きょうの総理大臣会見ではこれまでの新型コロナウイルス対策の経過を踏まえて、新たな対策の方向性について話していただける予定だと理解している。新型コロナウイルス対策では今が重要な時期なので、政府としてしっかりとしたリーダーシップが発揮できる体制をすぐにでもとっていただきたい」と話しています。
JOC 山下泰裕会長
安倍総理大臣が辞任の意向を固めたことについて、JOC=日本オリンピック委員会の山下泰裕会長は「ニュースで知ったが残念だ。来年に延期された東京オリンピック・パラリンピックにどのような影響があるかはまだわからないが、国を挙げた国家的なプロジェクトであり基本的な方針は変わらないと思う。安倍総理大臣の意気込みはすごく感じていたので、意志を受け継ぎ、形は変わっても大会の開催に向けて全力を尽くしていきたい」と話していました。
政府 規制改革推進会議 小林喜光議長
政府の規制改革推進会議で議長を務める三菱ケミカルホールディングスの小林喜光会長は、「7年8か月の長期政権を務め、その間、円高の是正やTPPなどの経済連携を成立させるなど、アベノミクスで大きな功績を残した。日本の変革に精力的に危機感をもって取り組んでいたことが印象に残っている。今後も日本の成長戦略について議論をさせていただけると思っていたので、非常に残念だ」というコメントを発表しました。
経団連 中西会長
経団連の中西会長はコメントを発表し、「大変驚くとともに、心より残念に思います。安倍総理大臣は、憲政史上最長の在任期間の中でアベノミクスの実行、地球儀をふかんする外交の展開、安全保障政策の強化など国政全般にわたり多大な実績を挙げてきました」として、これまでの政権運営を評価しました。
そのうえで、「日本は、感染症への対応と経済の回復との両立、激動する国際情勢への対応、エネルギー政策の見直しなど重要な課題が山積しています。速やかに次の総理・総裁が選出され、さまざまな政策を継続的かつ強力に進めることを強く期待します」としています。
経団連 御手洗元会長
経団連の元会長で、キヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長は「リーマンショックと東日本大震災で毀損していた日本経済をアベノミクスで見事復活に導き、持続的な景気回復を実現し、雇用環境は大きく改善した。また外交面では強力な外交力を発揮して日米関係を基軸に広範な外交を積極的に推し進め、国際社会における日本のプレゼンスをかつてない地位にまで高めた。安倍総理大臣にはまずは静養に専念され、一日も早い体力回復を祈念するとともに総理経験者として今後の国政を引き続き導いていただきたい。次期首相には安倍政権の経済成長重視、雇用重視、若者重視の政策が引き継がれることを期待する」というコメントを発表しました。
経済同友会 櫻田代表幹事
経済同友会の櫻田代表幹事は、「突然の辞任表明に大変驚いている。憲政史上最長となる在任期間中、経済成長への挑戦、消費税率の引き上げ、東京オリンピック・パラリンピックの誘致成功など内政と外交で強いリーダーシップを発揮したことに敬意を表したい。体調悪化にともなう辞任は非常に残念であるが、1日も早い体調の回復に努めていただきたい。日本は、山積する課題に加えて、新型コロナウイルスの克服という難題に的確に対処し、ニュー・ノーマルの経済社会を築いていかなければならない。一刻も早く、国民に信頼される新しい内閣が発足することを期待する」というコメントを発表しました。
連合 神津会長
連合の神津会長は記者会見で、「安倍政権の政治や政策について、かなり疑問が発せられたのは事実で、残念ながら負の部分が大きくなってしまった」と述べました。
一方で、「働き方改革で長時間労働の是正や同一労働同一賃金に踏み込んで、法律やガイドラインを実現したことは率直に評価したい。次の政権では、政労会見の枠組みを復活してもらいたい」と述べました。
政治学者 御厨貴さん
政治学者で東京大学名誉教授の御厨貴さんは、「これだけの長い期間総理大臣を務めていて、本来であれば、有終の美を飾らないといけないはずだが、前回の辞任から何も学べずに、それができなかった。これまで常に新しい課題に取り組んできたが、新型コロナウイルスへの対応で経済や外交の取り組みがすべて止まってしまった。先が見えない新型コロナウイルスの課題に対応するには体力がいると思うが、それが無くなってしまったのではないか」と話しています。
JA北海道中央会 小野寺俊幸会長
JA北海道中央会の小野寺俊幸会長はきょうの定例の記者会見で、「新型コロナウイルスの対策の途中での総理大臣の交代は我々、農業団体にとっても非常に大きな打撃だ。総理大臣が代わっても農業の対策については、大きく変わることはないと私個人としては思っている。政府には引き続き支援をお願いしていきたい」と述べました。
北方領土の元島民などでつくる連盟
北方領土の元島民などでつくる「千島歯舞諸島居住者連盟」の宮谷内亮一根室支部長は「北方領土問題の解決に向けて熱心に取り組んでいただいていただけに、辞任の一報はびっくりしましたし、残念に思います」と述べました。
そのうえで「領土問題が足踏み状態のまま退任することはわれわれにとっては残念でならない。次に総理大臣になる人は積極的に目に見える交渉をして何としても元島民が自由に渡航できる仕組みを今度こそ新たに作ってほしい」と強く求めました。
元外交官 宮家邦彦さん
元外交官でキヤノングローバル戦略研究所の宮家邦彦研究主幹は「安倍政権は東アジアの環境が大きく変わる中で、現状に合わせて安全保障政策を変えていくという、政治的なコストのかかる仕事をやり遂げた。1、2年で交代する政権では手が届かない、東南アジアや中東、アフリカなどに対する外交も積極的に進めたことは成果だ。政策が動きつつある中での辞任は非常に残念だ」と話しています。
一方、外交や安全保障の面での課題については「一番気になるのは朝鮮半島の問題だ。文在寅(ムン・ジェイン)政権との関係は難しく、政権の最後の数年間に問題が表面化してしまった」と指摘しました。
また「安倍政権では確かに政策が進んだが、当然、反対する人もいる中で国民的なコンセンサスを得るためにどうするかが宿題として残されている。後任の総理・総裁が責任をもって対応していかなければならない問題だ」として次の総理大臣に、国民に対する丁寧な説明を求めました。
ノンフィクション作家 保阪正康さん
安倍政権について、日本の近現代史に詳しいノンフィクション作家の保阪正康さんは、「近代以降の日本で最も長期の政権だったが、ロシアとの交渉で戦後処理の問題を解決できず、拉致問題もそれほど前向きな形にはならなかった。こうした問題を一つ一つ取り上げていくと、形として結実したものはないと思う。ただ、最長の政権ということはそれだけ国民の支持があったということで、安倍総理大臣が果たした役割は今後、歴史的に検証する必要がある」と述べました。
また、森友学園や加計学園の問題、それに桜を見る会の問題などについて、「政権運営を振り返っても安倍総理大臣の一番の弱点だったと思う。国会の議論をみてもお互いに言いっぱなし、批判しっぱなしで、議論を許容する風土を日本は失いつつあるのではないかと懸念を持っている。この点については責任の一端があると言わざるをえない」と指摘しました。
そのうえで、次の総理大臣に望むこととして、「アメリカと中国の対立など新たな問題が出ているなかで、日本が世界の中で果たすべき役割を理解し、問題の本質を国際社会全体の枠組みで考えられる人が出てくるべきだ。国会の議論についても、相手の考えを尊重して本質的によい方向に進むような前向きな議論に改めてほしい」と述べました。