訴えを起こしたのは、東京・港区のIT企業「BotExpress」です。
この会社は、スマートフォンのLINEのアプリを使って顔写真と運転免許証などの証明書の画像を送れば、AIが本人確認を行って、住民票の写しなどを取り寄せられるサービスを開発し、ことし4月に全国で初めて渋谷区で導入されました。
しかし、サービスの開始直後に総務省は「マイナンバーカードなどを使った電子署名で本人確認が行われず、なりすましなどのおそれがある。セキュリティー上の問題があり、住民基本台帳法にも違反する」として、全国の自治体に導入しないよう求める通知を出しました。
これについて会社側は、セキュリティーは高く、なりすましのおそれはない上、法令違反の事実もないなどとして、10日、国の通知は不当だとする訴えを起こしました。
記者会見した中嶋一樹社長は「国は『電子署名が必要だ』と、金融機関でさえ使わない非現実的なシステムを求めている。安全面で妥協していないので、多くの人が使うことができるよう国に求めていきたい」と話しました。
提訴について総務省は「訴状が届いておらずコメントは差し控える」としています。