ウクライナ東部ではロシア国防省がドニプロペトロウシク州で、ウクライナ軍の大型弾薬庫をミサイルで攻撃したと9日に発表するなどロシアによる攻勢が続いています。
東部のドネツク州では8日、クラマトルスクの鉄道の駅が攻撃され、地元の州知事はこれまでに子ども5人を含む52人が死亡したと発表し、ウクライナ国防省はロシア軍が残虐な兵器とされているクラスター爆弾を使ったと非難しました。
これに対しロシア国防省は攻撃に使われたのは「トーチカU」と呼ばれる短距離弾道ミサイルで、弾頭部分に1万6000もの金属片をまき散らす爆弾が搭載されたクラスター式だと指摘したうえで「ウクライナ軍による攻撃だ」と主張し、関与を否定しています。
ただ、アメリカ国防総省の高官がロシア軍が短距離弾道ミサイルを使ったという分析を明らかにしたほか、イギリス国防省も「ロシア軍が非戦闘員を攻撃し続けている」としてロシア軍による無差別攻撃だったと指摘しています。
さらにイギリス国防省は、ロシア軍が東部の要衝マリウポリや南部のミコライウなどに攻撃の焦点を当て、巡航ミサイルで攻撃を続けているなどと分析しています。
こうした中、EUのフォンデアライエン委員長と外相にあたるボレル上級代表が8日、首都キーウを訪れゼレンスキー大統領と会談しました。
そのあとの記者会見で「伝えたいのは、ヨーロッパは皆さんとともにある、ということだ」と述べて、連帯の姿勢を示し、今後も軍事的、財政的な支援を強化し、ロシアへの追加的な制裁も行っていくと強調しました。
一方、双方の停戦交渉について、ウクライナ代表団のポドリャク大統領府顧問は8日、ロシア軍が撤退した首都近郊のブチャで多くの市民が殺害されているのが見つかったことをうけ「交渉のムードが影響を受けている」と指摘しました。
ロシア側はこれまで「ロシア軍が市民を殺害したというねつ造の情報をウクライナ側が発信し、停戦交渉を混乱させている」などと主張していて、交渉の進展に大きく影響しているとみられます。