両りょう陛下へいか 「全国ぜんこく豊ゆたかな海うみづくり大会たいかい」最後さいごの出席しゅっせき 高知こうち

式典しきてんでは、高知こうち県けんの尾崎おざき知事ちじが、「森もり・川かわ・海うみのつながりを意識いしきしながら、自然しぜんや環境かんきょうを守まもり育そだてる気持きもちや、行動こうどうの大切たいせつさなどを次つぎの世代せだいにしっかりと伝つたえていきたい」とあいさつしました。

続つづいて、高知こうち出身しゅっしんの幕末ばくまつの志士しし、坂本さかもと龍りゅう馬ばが、新あたらしい国家こっか体制たいせいの基本きほん方針ほうしんをまとめたとされる「船ふね中ちゅう八はち策さく」にちなんで、「海うみづくり八はち策さく」が発表はっぴょうされました。

この中なかで、ウミガメの保護ほごに取り組とりくむ地元じもとの小学生しょうがくせいたちが「これからも、森もり・川かわ・海うみ、すべてがつながっていることを忘わすれずに自然しぜんを大切たいせつにします」などと力強ちからづよく決意けついを述のべると、両りょう陛下へいかは笑顔えがおで拍手はくしゅを送おくられていました。

両りょう陛下へいかは、午後ごごには初はじめて土佐とさ市しを訪おとずれ、漁港ぎょこうにつくられた公園こうえんで稚魚ちぎょの放流ほうりゅう行事ぎょうじに臨のぞまれることになっています。

天皇てんのう陛下へいかは、昭和しょうわ56年ねんの第だい１いち回かい大会たいかいから皇后こうごうさまと「海うみづくり大会たいかい」に出席しゅっせきし、即位そくい後ごは毎年まいとし欠かかさず足あしを運はこんできましたが、来年らいねん４月しがつの退位たいいを前まえに、今回こんかいが両りょう陛下へいかで臨のぞまれる最後さいごの大会たいかいとなりました。

両りょう陛下へいかの大会たいかいへの関かかわり

「全国ぜんこく豊ゆたかな海うみづくり大会たいかい」は、水産すいさん資源しげんの保護ほごや海うみの環境かんきょう保全ほぜんの大切たいせつさを広ひろく呼よびかけ、漁業ぎょぎょうの振興しんこうを図はかることを目的もくてきに、昭和しょうわ56年ねんに初はじめて大分おおいた県けんで大会たいかいが開ひらかれ、その後そのごは毎年まいとし、各かく都道とどう府県ふけんの持ち回もちまわりで開ひらかれています。

天皇てんのう陛下へいかは、昭和しょうわ天皇てんのうが闘病とうびょう中ちゅうだった昭和しょうわ63年ねんの大会たいかいを除のぞいて、毎回まいかい、皇后こうごうさまと大会たいかいに臨のぞまれてきました。

このうち、第だい１いち回かい大会たいかいの式典しきてんでは、産業さんぎょうの発達はったつと都市とし化かが海うみの汚染おせんをもたらしたことに触ふれ、「私わたしたち日本人にっぽんじんは海うみの環境かんきょうをよりよいものとし、乱獲らんかくをつつしみ、海うみの資源しげんが維持いじされるようつとめなければなりません」と述のべられました。

そのうえで、「つくり育そだてる漁業ぎょぎょうを発展はってんさせ、長期ちょうき的てき視野しやに立たって漁業ぎょぎょうの管理かんりを推進すいしんしていくことが大切たいせつであります」と呼よびかけられました。

以来いらい、平成へいせい20年ねんの大会たいかいまで式典しきてんでおことばを述のべ、海うみの環境かんきょうを守まもりながら、水産すいさん資源しげんを持続じぞく的てきに利用りようすることが大切たいせつだという考かんがえを繰り返くりかえし表あらわされてきました。

海うみに面めんしていない県けんで初はじめて開ひらかれた平成へいせい19年ねんの滋賀しが県けんの大会たいかいでは、外来がいらい魚ぎょの繁殖はんしょくでびわ湖びわこの漁獲ぎょかく量りょうが減へっていることについて、「外来がいらい魚ぎょの中なかのブルーギルは50年ねん近ちかく前まえ、私わたしが米国べいこくより持ち帰もちかえり、水産庁すいさんちょうの研究所けんきゅうじょに寄贈きぞうしたものであり、当初とうしょ、食用しょくよう魚ぎょとしての期待きたいが大おおきく、養殖ようしょくが開始かいしされましたが、今いま、このような結果けっかになったことに心こころを痛いためています」と述のべられました。

両りょう陛下へいかは、大会たいかいで稚魚ちぎょの放流ほうりゅう行事ぎょうじにも臨のぞまれてきました。

熊本くまもと県けんで開ひらかれた平成へいせい25年ねんの大会たいかいでは、初はじめて水俣みなまた市しを訪おとずれ、かつて工場こうじょう排水はいすいの有機ゆうき水銀すいぎんで水俣病みなまたびょうが発生はっせいした水俣みなまた湾わんにヒラメとカサゴの稚魚ちぎょを放流ほうりゅうされました。また、水俣病みなまたびょうで亡なくなった人ひとたちを慰霊いれいするとともに、語かたり部ぶとして被害ひがいを伝つたえる患者かんじゃや遺族いぞくらと懇談こんだんしてこれまでの苦労くろうに思おもいを寄よせられました。

天皇てんのう陛下へいかは、魚類ぎょるい分類ぶんるい学がくの研究けんきゅう者しゃとしての顔かおをのぞかせることもあり、北海道ほっかいどうで開ひらかれた昭和しょうわ60年ねんの大会たいかいの際さい、早朝そうちょうに胴どう長ちょうとジャンパー姿すがたで会場かいじょうのサロマ湖さろまこに入はいり、研究けんきゅうのためのハゼを捕獲ほかくされる場面ばめんも見みられました。

大会たいかい主催しゅさい者しゃ「心こころから感謝かんしゃ」

長年ながねん、「全国ぜんこく豊ゆたかな海うみづくり大会たいかい」の運営うんえいに携たずさわってきた全漁連ぜんぎょれん＝全国ぜんこく漁業ぎょぎょう協同きょうどう組合くみあい連合れんごう会かいの長屋ながや信博のぶひろ代表だいひょう理事りじ専務せんむは「大会たいかいが始はじまったころは『とる漁業ぎょぎょう』が中心ちゅうしんで、稚魚ちぎょの放流ほうりゅうなど資源しげんを増ふやしていく取り組とりくみはようやく本格ほんかく化かしていく段階だんかいだった」と振り返ふりかえったうえで、「天皇てんのう陛下へいかが先さきを見通みとおして第だい１いち回かい大会たいかいから『つくり育そだてる漁業ぎょぎょう』の重要じゅうよう性せいを述のべられ、全国ぜんこくの漁業ぎょぎょう者しゃが取り組とりくみを進すすめたことで今いまの漁業ぎょぎょうの礎いしずえが築きずかれました。心こころから感謝かんしゃの意いをあらわしたいです」と話はなしました。そして、「魚類ぎょるいの研究けんきゅうを通をつうじて水産すいさん資源しげんの保護ほごや環境かんきょう保全ほぜんの重要じゅうよう性せいを感かんじられていた天皇てんのう陛下へいかのおことばは漁業ぎょぎょうに携たずさわる私わたしたちの心こころに響ひびき、取り組とりくみに生いかさなければと感かんじることがたくさんありました」と述のべました。