ＧＳＯＭＩＡ失効しっこう迫せまる 韓国かんこく ２に日にち連続れんぞくでＮＳＣえぬえすし-開催かいさいし対応たいおう協議きょうぎ

韓国かんこく大統領だいとうりょう府ふでは21日にち、定例ていれいのＮＳＣえぬえすし-が開ひらかれ、日本にっぽんと韓国かんこくの間まの懸案けんあんの解決かいけつに向むけ、関係かんけい国こくと緊密きんみつな協議きょうぎを続つづけていくことを確認かくにんするとともに、さまざまな状況じょうきょうに備そなえた方策ほうさくについて議論ぎろんしたばかりです。

ＧＳＯＭＩＡをめぐって韓国かんこく政府せいふは、まず日本にっぽん側がわが韓国かんこく向むけの輸出ゆしゅつ管理かんりについて前向まえむきな姿勢しせいに変かえるべきだと主張しゅちょうする一方いっぽうで、ぎりぎりまで外交がいこう努力どりょくを続つづける考かんがえを強調きょうちょうしてきました。

韓国かんこく大統領だいとうりょう府ふが２に日にち続つづけてＮＳＣえぬえすし-を開催かいさいするのは異例いれいで、ＮＳＣえぬえすし-での協議きょうぎを踏ふまえて、22日にちの夕方ゆうがたまでに最終さいしゅう的てきな立場たちばを明あきらかにするとみられ、協議きょうぎの行方ゆくえが注目ちゅうもくされています。

日本にっぽん外務省がいむしょう幹部かんぶ「日にち韓かんのやり取やりとりは現在げんざいも継続けいぞく」

日本にっぽんの外務省がいむしょう幹部かんぶは22日にち昼前ひるまえ、記者きしゃ団だんに対にたいし「日にち韓かんの外交がいこう当局とうきょく間かんのやり取やりとりは現在げんざいも続つづけている」と述のべました。

アメリカ政府せいふの立場たちば

アメリカ政府せいふは、日本にっぽんと韓国かんこくという２ふたつの同盟どうめい国こくとの連携れんけいをアジア太平洋たいへいようの安全あんぜん保障ほしょう政策せいさくの基盤きばんと位置いちづけ、強化きょうかを図はかってきました。

アメリカは日本にっぽんと韓国かんこくとそれぞれＧＳＯＭＩＡを結むすんでいますが、３さんか国かこくで迅速じんそくに情報じょうほうを共有きょうゆうするためには日本にっぽんと韓国かんこくの間まのＧＳＯＭＩＡが欠かかせません。

このためアメリカ政府せいふは、ＧＳＯＭＩＡが失効しっこうすればミサイル防衛ぼうえいのような瞬時しゅんじの連携れんけいを要求ようきゅうされる作戦さくせんに大おおきな影響えいきょうが出でると考かんがえています。

日にち韓かんのＧＳＯＭＩＡが失効しっこうした場合ばあいでも、日にち韓かんがアメリカを介かいして情報じょうほうを共有きょうゆうする枠組わくぐみがありますが、その範囲はんいは北朝鮮きたちょうせんの核かく・ミサイルに関にかんする情報じょうほうに限定げんていされます。このため潜水せんすい艦かんの不審ふしんな行動こうどうが探知たんちされた場合ばあいなどに３さんか国かこくで対処たいしょすることができなくなります。

こうしたことから、アメリカとしてはＧＳＯＭＩＡの問題もんだいは日にち韓かんの間まにまたがる徴用ちょうよう工こうをめぐる対立たいりつや、日本にっぽん政府せいふによる輸出ゆしゅつ管理かんりの強化きょうかと比くらべ、アメリカの国益こくえきに直結ちょっけつする問題もんだいだと深刻しんこくに受け止うけとめています。

アメリカは、韓国かんこく政府せいふがことし８月はちがつにＧＳＯＭＩＡの破棄はきを決きめた際さいには、「強つよい懸念けねんと失望しつぼう」という同盟どうめい国こくに対にたいしては極きわめて異例いれいの強つよい表現ひょうげんで決定けっていを批判ひはんし、その後そのごも政府せいふ高官こうかんをたびたび韓国かんこくに派遣はけんして、見直みなおしを求もとめてきました。

アメリカ政府せいふ関係かんけい者しゃはＮＨＫえぬえいちけいの取材しゅざいに、ＧＳＯＭＩＡの破棄はきは「越こえてはならないレッドラインだ」という認識にんしきを示しめしています。

また、日本にっぽん政府せいふに対にたいしては、具体ぐたい的てきな対応たいおうは求もとめていないとする一方いっぽう、ＧＳＯＭＩＡ破棄はきを避さけるため、韓国かんこくとのあいだで対話たいわで解決かいけつするよう促うながしているとしています。

ＧＳＯＭＩＡが失効しっこうした場合ばあいの影響えいきょうは

ＧＳＯＭＩＡが韓国かんこくの破棄はきによって失効しっこうした場合ばあいの影響えいきょうについて、アメリカの専門せんもん家かは、日にち米べい韓かん３さんか国かこくの連携れんけいにほころびが出でて、北朝鮮きたちょうせんに誤あやまったメッセージを送おくるだけでなく、韓国かんこくに駐留ちゅうりゅうするアメリカ軍ぐんの経費けいひをめぐる交渉こうしょうでも韓国かんこく側がわに不利ふりな影響えいきょうが出でる可能かのう性せいもあると指摘してきしました。

アメリカ国防こくぼう総省そうしょうで東アジアひがしあじあ政策せいさくの上級じょうきゅう顧問こもんを務つとめ、日にち米べい韓かん３さんか国かこくの関係かんけいに詳くわしいカーネギー国際こくさい平和へいわ財団ざいだんのジェームズ・ショフ上級じょうきゅう研究けんきゅう員いんがワシントンで21日にち、ＮＨＫえぬえいちけいのインタビューに応おうじました。

このなかでショフ氏しは「アメリカが韓国かんこくの決定けっていを不満ふまんに思おもうのは、長年ながねんかけて築き上きずきあげた作戦さくせん上じょうの効率こうりつ性せいを失うしない、日にち米べい韓かんの団結だんけつが弱よわまるというメッセージになるからだ。北朝鮮きたちょうせんの行動こうどうが今いまよりも悪わるい方向ほうこうに向むかったときに、日にち米べい韓かんのさらなる協力きょうりょくが必要ひつようになるのでこの仕組しくみをなくしてはならない」と指摘してきしました。

ただ、ＧＳＯＭＩＡが失効しっこうした場合ばあいでも、以前いぜんの仕組しくみを使つかい、アメリカが日にち韓かんの間まで情報じょうほうを仲介ちゅうかいするため、北朝鮮きたちょうせんなどへの軍事ぐんじ的てきな対応たいおうは可能かのうだという見方みかたも示しめしました。

一方いっぽうでショフ氏しは「韓国かんこくはＧＳＯＭＩＡの破棄はきで日本にっぽんに向むけて矢やを放はなったつもりが、矢やは日本にっぽんをそれてアメリカに当あたってしまった。重要じゅうようなのは日にち韓かん関係かんけいの悪化あっかを防ふせぐとともに、米べい韓かん関係かんけいを維持いじすることだ。ＧＳＯＭＩＡが失効しっこうしてもアメリカ政府せいふはあまり騒さわがないほうがよい」と述のべ、ＧＳＯＭＩＡの失効しっこうで米べい韓かん関係かんけいが悪化あっかしないよう努つとめるべきだと強調きょうちょうしました。

そのうえで「トランプ大統領だいとうりょうがＧＳＯＭＩＡについてどこまで理解りかいしているかはわからないが、大統領だいとうりょうが関心かんしんがあるのはアメリカが韓国かんこくに50億おくドルを要求ようきゅうしているアメリカ軍ぐんの駐留ちゅうりゅう経費けいひだ。ＧＳＯＭＩＡが失効しっこうすればトランプ大統領だいとうりょうは駐留ちゅうりゅう経費けいひの交渉こうしょうで対抗たいこうしようとするだろう」と述のべ、トランプ大統領だいとうりょうが韓国かんこくへの要求ようきゅうを強つよめる可能かのう性せいもあると指摘してきしました。

さらにショフ氏しは、トランプ大統領だいとうりょうが在ざい韓かんアメリカ軍ぐんの規模きぼを削減さくげんするのはアメリカ国内こくないの抵抗ていこうにより、容易よういではないとする一方いっぽうで、アメリカが経費けいひの負担ふたんの増額ぞうがくを求もとめれば韓国かんこくのムン大統領だいとうりょうが在ざい韓かんアメリカ軍ぐんの削減さくげんを求もとめ、北朝鮮きたちょうせんや中国ちゅうごくに接近せっきんを図はかるおそれもあると懸念けねんを示しめしました。

ＧＳＯＭＩＡとは

「ＧＳＯＭＩＡ」＝軍事ぐんじ情報じょうほう包括ほうかつ保護ほご協定きょうていは、弾道だんどうミサイルの発射はっしゃに向むけた動うごきなど、秘匿ひとく性せいの高たかい軍事ぐんじ情報じょうほうを２に国こく間かんで交換こうかんできるよう情報じょうほうを適切てきせつに保護ほごするための仕組しくみなどについて定さだめたものです。

秘密ひみつにすべき情報じょうほうを保護ほごするため、情報じょうほうを取り扱とりあつかうことができる人ひとを限定げんていすることや、許可きょかなく第だい３さん国こくへ提供ていきょうしないことなどが盛り込もりこまれています。

日にち韓かんで結むすばれたＧＳＯＭＩＡは日本にっぽんと韓国かんこくのどちらかが破棄はきを通告つうこくしないかぎり、１いち年ねんごとに自動じどう的てきに延長えんちょうされる取り決とりきめになっていますが、破棄はきする場合ばあいは、90日にち前まえに外交がいこうルートを通をつうじて通告つうこくしなければならず、毎年まいとし８月はちがつ24日にちが期限きげんとなっています。

韓国かんこくは、期限きげんの２に日にち前まえのことし８月はちがつ22日にちに、破棄はきを決定けっていし、翌日よくじつ、日本にっぽんに通告つうこくしました。日にち米べい韓かん３さんか国かこくは、それぞれ互たがいに、この協定きょうていを結むすんでいたため、軍事ぐんじ情報じょうほうを共有きょうゆうすることができていましたが、今後こんごは、日にち米べい、米べい韓かんの協定きょうていのみになるため、防衛ぼうえい省内しょうないには「日本にっぽんと韓国かんこくとの間まではスムーズな情報じょうほう共有きょうゆうができなくなる」という懸念けねんの声こえもあります。

一方いっぽう、３さんか国かこくの間まには、ＧＳＯＭＩＡとは別べつに、北朝鮮きたちょうせんによる弾道だんどうミサイルや核かく実験じっけんなどの情報じょうほうに限かぎって、アメリカを介かいして情報じょうほうを交換こうかんする「ＴＩＳＡ」と呼よばれる覚書おぼえがきがあり、今後こんごは、この覚書おぼえがきに基もとづいて、情報じょうほうを共有きょうゆうすることになります。

政府せいふは「ＧＳＯＭＩＡが破棄はきされても、日本にっぽん独自どくじの情報じょうほう収集しゅうしゅうや、アメリカとの情報じょうほう協力きょうりょくによって万全ばんぜんの態勢たいせいを取とっている」として、日本にっぽんの安全あんぜん保障ほしょうに直ただちに影響えいきょうはないとしていますが、「日にち米べい韓かんの足並あしなみの乱みだれは、北朝鮮きたちょうせんのみならず中国ちゅうごく・ロシアも利りする」といった指摘してきもあります。

ＧＳＯＭＩＡ破棄はき決定けってい後ごの動うごき

３さん年ねん前まえに韓国かんこくとの間まで締結ていけつしたＧＳＯＭＩＡをめぐり、韓国かんこくは、日本にっぽんが、輸出ゆしゅつ管理かんりの優遇ゆうぐう対象たいしょう国こくから韓国かんこくを除外じょがいしたことなどを理由りゆうに、自動じどう更新こうしんの期限きげんの２に日にち前まえ、８月はちがつ22日にちに破棄はきを決定けっていしました。

これに対にたいし日本にっぽん政府せいふは「地域ちいきの安全あんぜん保障ほしょう環境かんきょうを完全かんぜんに見み誤あやまった対応たいおうで、極きわめて遺憾いかんだ」と抗議こうぎしたほか、アメリカは、ポンペイオ国務こくむ長官ちょうかんが「韓国かんこく政府せいふの決定けっていに失望しつぼうしている」と述のべるなど、地域ちいきの安全あんぜん保障ほしょうに悪あく影響えいきょうを及およぼしかねないとして、異例いれいの強つよい調子ちょうしで批判ひはんしました。

こうした中なか、北朝鮮きたちょうせんは、韓国かんこくが破棄はきを決定けっていしてから４よん回かいにわたって、弾道だんどうミサイルの発射はっしゃを繰り返くりかえし、このうち10月つき２に日にちには、ＳＬＢＭ＝潜水せんすい艦かん発射はっしゃ弾道だんどうミサイルを発射はっしゃしました。

日にち韓かん両りょう政府せいふは「11月下げっか旬しゅんまで協定きょうていは有効ゆうこうだ」として、ＳＬＢＭが発射はっしゃされた際さいに、韓国かんこくのチョン・ギョンドゥ国防こくぼう相しょうがＧＳＯＭＩＡに基もとづき、日本にっぽんに軍事ぐんじ情報じょうほうの共有きょうゆうを要請ようせいしたことを明あきらかにするなど、両りょう政府せいふとも「適切てきせつに連携れんけいしている」としています。

こうした中なか、河野こうの防衛ぼうえい大臣だいじんは「仮かりに破棄はきされたとしても、日本にっぽんの安全あんぜん保障ほしょうに、直ただちに何なにか影響えいきょうがあるということはないが、それ以上いじょうに、誤あやまったシグナルを周辺しゅうへん国こくに送おくってしまうというのは、日にち米べい韓かんの連携れんけいが必要ひつようだというこの時期じきにデメリットだ」と指摘してきしていました。

ＧＳＯＭＩＡが効力こうりょくを失うしなうのを前まえに、韓国かんこく政府せいふは、日本にっぽん政府せいふが韓国かんこくを輸出ゆしゅつ管理かんりの優遇ゆうぐう対象たいしょう国こくから除外じょがいする決定けっていを撤回てっかいすれば、終了しゅうりょうの決定けっていを再さい検討けんとうする考かんがえを示しめしたのに対にたいし、日本にっぽん政府せいふは、日本にっぽんの輸出ゆしゅつ管理かんりの見直みなおしは、適切てきせつに制度せいどを実施じっしする上うえで必要ひつような見直みなおしだと強調きょうちょうしたうえで、「協定きょうていの終了しゅうりょう決定けっていとは全まったく次元じげんの異ことなる問題もんだいだ」としています。

今月こんげつ中旬ちゅうじゅんには、タイで開ひらかれた国際こくさい会議かいぎの場ばで、日にち米べい韓かん３さんか国かこくの防衛ぼうえい相しょう会談かいだんを行おこなうなど、３さんか国かこくの閣僚かくりょうが相次あいついで会談かいだんしました。この中なかで、アメリカのエスパー国防こくぼう長官ちょうかんは「ＧＳＯＭＩＡを元もとに戻もどす必要ひつようがある」と述のべ、韓国かんこくはＧＳＯＭＩＡ破棄はきの決定けっていを見直みなおすべきだとの考かんがえを改あらためて示しめしましたが、韓国かんこく側がわはこれまでの主張しゅちょうを変かえず、目立めだった変化へんかは見みられていませんでした。

韓国かんこく以外いがいの国くにとも締結ていけつ

日本にっぽんは韓国かんこく以外いがいに、アメリカとインドともＧＳＯＭＩＡを締結ていけつしています。

また、ＧＳＯＭＩＡとは別べつに、情報じょうほう保護ほご協定きょうてい＝ＧＳＯＩＡと呼よばれる、軍事ぐんじだけでなくテロなどを含ふくめた安全あんぜん保障ほしょうに関にかんする幅広はばひろい情報じょうほうを共有きょうゆう・保護ほごを行おこなう協定きょうていを、フランス、オーストラリア、イギリス、イタリアの４よんか国かこくのほか、ＮＡＴＯなと-＝北大ほくだい西洋せいよう条約じょうやく機構きこうとの間まで、それぞれ締結ていけつしています。