ＳＮＳ上じょうで“闇やみバイト”の勧誘かんゆう相次あいつぐ 新型しんがたコロナ影響えいきょう

こうした中なか、ツイッターなどのＳＮＳ上じょうでは、生活せいかつが困窮こんきゅうし仕事しごとを求もとめる書き込かきこみをすると振り込ふりこめ詐欺さぎなどに加担かたんする“闇やみバイト”に勧誘かんゆうされる事態じたいが相次あいついでいることがわかりました。

このうち松山まつやま市しの26歳さいの男性だんせいは、感染かんせん拡大かくだいで繁華はんか街がいから客足きゃくあしが遠とおのき、営いとなんでいた店みせを閉しめざるを得えなくなり、追い込おいこまれて、ツイッターで「仕事しごとがほしい」と投稿とうこうしたところ、すぐに「仕事しごとをやらないか」という返信へんしんが10件けんほど届とどいたということです。しかし仕事しごとの内容ないようを確認かくにんしてみると、振り込ふりこめ詐欺さぎで高齢こうれい者しゃの家いえを訪おとずれて現金げんきんをだまし取だましとる「受うけ子こ」など、犯罪はんざいに勧誘かんゆうするものばかりだったということです。

また大阪おおさかの23歳さいの男性だんせいは、アルバイトの契約けいやくが更新こうしんされず、仕事しごとを失うしない、ツイッターで仕事しごとを探さがしたところ、同おなじように20件けんほどの誘さそいが届とどいたということです。しかし、いずれも仕事しごとの内容ないようは「受うけ子こ」の仕事しごとでした。

専門せんもん家かは「ＳＮＳを通をつうじて直接ちょくせつ仕事しごとを探さがすことは便利べんりで、現在げんざいのように外出がいしゅつが制限せいげんされ、すぐに仕事しごとがほしいという緊急きんきゅうな場合ばあい、頼たよってしまいがちになるが、第だい三さん者しゃのチェックが働はたらかず、違法いほうな労働ろうどうに巻き込まきこまれる危険きけん性せいがある」と指摘してきしています。

ネットで職しょく探さがすと“闇やみ”が

松山まつやま市しの26歳さいの男性だんせいは、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいで道後どうご温泉おんせんなどの観光かんこう名所めいしょを訪おとずれる人ひとが少すくなくなった影響えいきょうで、繁華はんか街がいで営いとなんでいた接客せっきゃく業ぎょうの店みせの利用りよう客きゃくが減少げんしょうし、閉店へいてんせざるを得えなくなりました。

収入しゅうにゅうがなくなる中なか、インターネットの求人きゅうじんサイトで、以前いぜん、手てがけていたプログラミングの仕事しごとなどを探さがしましたが、すべて断ことわられたということです。

男性だんせいはわずか１いちか月かげつの間まに生活せいかつが一変いっぺんしたことで精神せいしん的てきにも追い込おいこまれ、自殺じさつまで考かんがえたと言いいます。

男性だんせいは「求人きゅうじんは出でているので応募おうぼするのですが、“コロナの影響えいきょうで募集ぼしゅうは打ち切うちきった”と言いわれました。何なん社しゃか申し込もうしこみましたが、お先おさき真っ暗まっくらで自暴じぼう自棄じきになり、“人生じんせい、もういいかな”という気持きもちになりました」と話はなしました。

そして、追い込おいこまれた男性だんせいが仕事しごとを探さがすのに使つかったのがツイッターでした。

「仕事しごと」や「募集ぼしゅう」というキーワードで検索けんさくしたところ、求人きゅうじんをしているアカウントが見みつかり、「仕事しごとがほしい」と投稿とうこうしました。

すると、すぐに「働はたらく人ひとを募集ぼしゅうしている」という返信へんしんが10件けんほどあったということです。

しかし、仕事しごとの内容ないようを確認かくにんしてみると…。

お年寄としよりから金きんをだまし取だましとる振り込ふりこめ詐欺さぎの「受うけ子こ」や「出だし子こ」、違法いほう薬物やくぶつなどを指定していされた場所ばしょに運はこぶ「運はこび屋や」、違法いほうな口座こうざの売買ばいばいなど、犯罪はんざいに勧誘かんゆうするものばかりだったと言いいます。

男性だんせいは「“運はこび”とか“受け出うけだし”（「受うけ子こ」や「出だし子こ」）とか初はじめて聞きいた単語たんごばかりの返信へんしんが来きて、ネットで調しらべたら“犯罪はんざい行為こういじゃん！”って。週しゅうに100万まん円えん稼かせげるとか言いわれると、一瞬いっしゅん、心こころが揺ゆらぎましたが、関かかわりたくないのでやめました」と話はなしました。

そのうえで「周囲しゅういの知り合しりあいも悲鳴ひめいを上あげている人ひとがたくさんいます。生活せいかつは苦くるしいですが、甘あまい誘さそいに負まけずにできることをやり、頑張がんばっていくしかないと思おもっています」と話はなしていました。

“闇やみ”勧誘かんゆうに苦くもん その後そのご…

「仕事しごとを探さがしています」と、ＳＮＳで投稿とうこうしていた23歳さいの男性だんせいに話はなしを聞きくことができました。

男性だんせいは新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうでアルバイト先さきの大阪おおさかのレンタカー会社かいしゃから先月せんげつ末まつを最後さいごに契約けいやくが更新こうしんされなくなり、仕事しごとを失うしなったということです。

感染かんせん拡大かくだいで海外かいがいからの観光かんこう客きゃくが減少げんしょうし、レンタカーの利用りよう者しゃが減へったことが影響えいきょうしているということです。

その結果けっか、家賃やちんも払はらえなくなり、身みのまわりのものを売うって捻出ねんしゅつしたお金おかねで、ネットカフェで寝泊ねとまりするようになりました。

食事しょくじはカップ入いり即席そくせき麺めんなどにして切り詰きりつめていますが、追い詰おいつめられ、「仕事しごとを探さがしています。金きんのためなら何なんでもします」とツイッターで投稿とうこうしたところ、「闇やみバイトをやらないか」という勧誘かんゆうが、ダイレクトメールで20件けんほど届とどいたということです。

男性だんせいは「自分じぶんと同おなじように“コロナの影響えいきょうで職しょくを失うしなった”という人ひとはたくさんいます。まともな仕事しごとを探さがしていますが、住所じゅうしょ不定ふていになった自分じぶんにはなかなか見みつかりません」と話はなしました。

そのうえで「実家じっかに帰かえる費用ひようだけでも手てに入はいればと、仕事しごとを探さがし始はじめたら、高齢こうれい者しゃのキャッシュカードをだまし取だましとる“受うけ子こ”の誘さそいなど20件けんほどメールがきました。犯罪はんざいはやりたくないですが、今いま、危険きけんではないアルバイトを見みつけることも難むずかしく、お金おかねも尽つきそうです」と切実せつじつな状況じょうきょうを語かたっていました。

そして、私わたしたちと連絡れんらくが取とれなくなりました。

”闇やみバイト”業者ぎょうしゃ「応募おうぼは増加ぞうか」

「コロナで仕事しごとがなくなった方ほう、仕事しごとあります」。

「仕事しごとがしたいのに仕事しごとがない、そんな方ほうのお力おちからになれればと思おもいます」。

新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいで仕事しごとを失うしなう人ひとが相次あいつぐ中なか、ツイッターではこうした書き込かきこみが目立めだつようになっています。

しかし、実際じっさいに募集ぼしゅうしているのは、“闇やみバイト”と呼よばれるものです。

振り込ふりこめ詐欺さぎで高齢こうれい者しゃから現金げんきんをだまし取だましとる「受うけ子こ」や「出だし子こ」など、報酬ほうしゅうを出だす代かわりに犯罪はんざいに加担かたんさせるものが含ふくまれていて、書き込かきこみに応おうじた人ひとが詐欺さぎの疑うたがいで逮捕たいほされるケースが相次あいついでいます。

ツイッターで“闇やみバイト”を募集ぼしゅうしているという人物じんぶつがメッセージのやり取やりとりならばと取材しゅざいに応おうじました。

先月せんげつから「仕事しごとをしたい」という人ひとが増ふえているとしたうえで、「応募おうぼはコロナ騒動そうどうを機きに確実かくじつに増ふえている。目めに見みえてわかるほどで、コロナの影響えいきょうで働はたらくに働はたらけず、今いま、手元てもとにお金おかねがなく困こまっている人ひとが多おおい」と語かたりました。

さらに過去かこの災害さいがいの時ときよりも仕事しごとを失うしない“闇やみバイト”に頼たよる人ひとが多おおいと感かんじるとして、「コロナの影響えいきょうは全国ぜんこく規模きぼなので震災しんさいの時ときよりひどい印象いんしょうを受うける。日にち払はらいで食くいつないでいた人ひと、交通こうつう費ひもない、相当そうとう、金きんに困こまってる人ひとが多おおい印象いんしょうだ」としています。

さらに、“闇やみバイト”を募集ぼしゅうしている別べつの人物じんぶつは「過去かこの災害さいがいでも詐欺さぎなどが増ふえるのは少すこし事態じたいが落ち着おちついた後のちで、コロナに関にかんしても今いまはピークではなくもう少もうすこし後ごにさらに増ふえるだろう」と、犯罪はんざいへの勧誘かんゆうはさらに進すすむと話はなしていました。

専門せんもん家か「ＳＮＳで直接ちょくせつ交渉こうしょうは危険きけん」

労働ろうどう問題もんだいに詳くわしい東京とうきょう大学だいがく社会しゃかい科学かがく研究所けんきゅうじょの玄田げんだ有史ゆうし教授きょうじゅは「ＳＮＳを通をつうじて直接ちょくせつ仕事しごとを探さがすことは便利べんりで、現在げんざいのように外出がいしゅつが制限せいげんされる状況じょうきょうで“すぐに仕事しごとがほしい”という緊急きんきゅうな場合ばあい、頼たよりにすることもあると思おもうが、ＳＮＳで直接ちょくせつ交渉こうしょうすると、ハローワークや職業しょくぎょう紹介しょうかい会社かいしゃなど第だい三さん者しゃのチェックが働はたらかず、違法いほうな労働ろうどうに巻き込まきこまれるなど非常ひじょうに危険きけん性せいがあるということを認識にんしきしてほしい」と指摘してきしました。

そのうえで「緊急きんきゅう事態じたいにおいて、“闇やみのビジネス”がばっこするというのは、歴史れきし的てきにも明あきらかだが、１いち回かいのトラブルで人生じんせいを台だいなしにすることはあまりにも悲かなしいことで、“何なにかおかしいんじゃないか”という疑うたがいを常つねに持もつことが必要ひつようだ。仕事しごとや生活せいかつに困こまった人ひと向むけの公的こうてきな支援しえん制度せいどはあるので、どうすればいいか不安ふあんな場合ばあい、まずはハローワークや総合そうごう労働ろうどう相談そうだんコーナーなど支援しえん窓口まどぐちに相談そうだんしてほしい」と呼よびかけています。