イギリスのロンドンは
深刻化する
大気汚染の
問題に
対応するため、
一定の
排ガス基準を
満たさない
車から
1日当たりおよそ1800
円を
徴収するという「
超低排出ゾーン」を
導入し、
世界的にも
厳しい対策だと
評価されています。ロンドンは、
8日から
中心部を「
超低排出ゾーン」に
設定し、
一定の
排ガス基準を
満たさない
車が
乗り入れる
場合、
1日当たり12.5ポンド、
日本円でおよそ1800
円を
徴収することになりました。
対象となるのは主に2006年より前に製造されたガソリン車や2015年より前のディーゼル車など、合わせておよそ4万台です。
ロンドン中心部では、渋滞の緩和を目的に、一定の時間帯に乗り入れる車に対する税金がすでに課せられていて、排ガス基準を満たさない車は、「超低排出ゾーン」に乗り入れると、1日当たり最大でおよそ3500円を負担することになり、世界でも厳しい環境対策だと評価されています。
中小企業からは負担が大きすぎると不満の声もあがっていますが、ロンドンの市当局は大気中の有害物質を45%減らせるなどとして理解を求めていて、2年後にはさらに対象範囲を拡大する計画です。
このほか中部のバーミンガムなど5つの都市でも、来年までに同じような対策を導入する計画があり、対策が強化されています。
新対策導入の背景
厳しい環境対策が導入された背景には、自動車などからの排ガスを主な原因とする大気汚染が深刻な健康被害につながっている可能性が指摘されていることがあります。
ロンドンの市当局によりますと、最新の調査では、200万人以上の市民が大気汚染の被害にさらされているということで、とりわけ40万人は18歳以下の若者だと強調しています。
また、大気汚染による経済的なコストは年間37億ポンド、日本円でおよそ5400億円にのぼるとしています。ロンドンのカーン市長は8日、「大気汚染の影響で発育不全の子どもたちがいる。大人もぜんそくや心臓病などさまざまな健康問題を抱えている。これは健康危機だ」と述べ、対策の意義を強調しました。市の当局は世界で最も厳しい基準だとしていて、それだけに中小企業などからは新たな負担への反発の声も出ています。
2年後に「超低排出ゾーン」が拡大すればさらに多くの車が徴収の対象となることから、子どもたちの学校への送り迎えや物品の配達など、市民生活に与える影響も大きくなると指摘されています。