新型迎撃ミサイル
システム「イージス・アショア」の
配備をめぐり、
防衛省は
環境調査の
結果を
公表し、レーダーの
電波が
住民に
影響を
与えることはないとしたうえで、
地元に
施設が
攻撃目標と
なることへの
懸念が
あることを
踏まえ、
警備体制を
強化するとしています。
政府が
秋田市と
山口県萩市の
自衛隊演習場に
配備する
方針の
新型迎撃ミサイル
システム「イージス・アショア」をめぐり、
防衛省は、
地元住民の
懸念などを
受けてレーダーの
電波などの
環境調査を
行い、27
日、
結果を
公表しました。
それによりますと、レーダーから半径230メートル以上離れた場所では人体への影響はなく、2つの配備候補地ともこの範囲に住宅地はないとしています。
ただ、秋田については、県道の一部がこの範囲のそばにあるため、新たな道路を設けるとしています。
また、両県の施設とも、レーダーの周囲に設置する防護壁に電波を吸収する素材を設置し、影響をさらに少なくする対策を取るとしています。
一方、地元に「イージス・アショア」が敵の攻撃目標となり、周辺地域が危険にさらされるのではないかという懸念があることを踏まえ、防空部隊を配置し警備体制を250人規模として、周辺地域も含めて防護するとしています。
防衛省としては、こうした対策によって安全に配備できるとしていて、今後、地元の理解を得ていきたい考えです。
秋田 調査結果の具体的内容
日本に導入される「イージス・アショア」のレーダーは、アメリカのメーカーが開発中でまだ実物がないことから、今回の調査は、アメリカ側から提供された性能の想定上の数値を基に、電波を管理する総務省の計算式を使って行われました。
候補地の1つになっている秋田市の陸上自衛隊新屋演習場は、日本海の沿岸地域にあります。
北朝鮮の弾道ミサイルを探知・追尾する場合、電波は日本海側の住宅がない方向に放たれることになりますが、今回の調査では念のため電波を周囲の全方向に向けて放った場合も確認したということです。
その結果、レーダーから230メートル以上離れれば、いずれのケースでも人体への影響が考えられる基準値を下回ることが確認されたとしています。
演習場の内陸側には住宅地が広がっていますが、レーダーの設置予定地から最も近い学校まで875メートル、最も近い住宅まではおよそ1キロあるため、防衛省は人体への影響はないとしています。
一方、電波によるさまざまな機器への影響については、一部で対策をとる必要があるとしています。
このうち医療用の器具については、演習場周辺の医療施設では影響はないものの在宅医療のケースまでは確認できていないため、防衛省はレーダーの周囲に電波を吸収する防護壁を設置して影響をなくすと説明しています。
また、航空機の運航についても、秋田空港に発着する旅客機に影響はないものの、レーダーから半径2475メートルの範囲内を飛行する場合には計器などに影響が出る可能性があるということです。
演習場周辺のこの範囲内にはドクターヘリの臨時発着場が2か所あることから、防衛省は、病院や自治体などとの間で連絡体制を整備し、この範囲内をヘリコプターが飛行する場合には事前に通知を求め、電波を一時的に停止するなどの対応をとるとしています。
このほか防衛省は、秋田市の演習場にイージス・アショアを設置する場合、演習場の周囲を走る県道のルートを一部変更するほか、演習場と日本海の間にある民間の電力会社が所有する風車も移設を求めていく方針を示しました。