カップに入った真っ赤なイチゴに、真っ白な生クリームをかけた「ストロベリー&クリーム」。
ウィンブルドン選手権では、観戦のお供として会場の至るところで販売され、グッズ売り場では、イチゴのイラストが描かれたキーホルダーやマグカップ、タオルなども売られています。
イギリスでは、もともと上流階級の間でイチゴにクリームをかけた食べ物がありました。
ウィンブルドン選手権の大会期間が、イチゴの旬の時期にもあたるといい、1877年にストロベリー&クリームを会場で販売したところ、人気となり、いまも続いているというわけです。
期間中、毎日会場内で消費されるイチゴは、およそ3トン。使われているのは、イギリス南東部のケント州の農場で、その日午前5時ごろに収穫される取れたてのイチゴです。
そのイチゴはお昼までに会場に到着。カップに詰められ、イギリス中部、ランカシャー州の生クリームをかけられると、こだわりの「ストロベリー&クリーム」が完成です。
マディー・ライトさん(19)は、大会期間中、午前8時から午後9時ごろまで、イチゴのへたをとるアルバイトをしています。「イチゴが大好き。イチゴを見すぎて、大会が終わったら、しばらく見たくなくなるけど、この雰囲気の中で仕事ができるのは最高です」と話します。
ことしからは完全菜食主義、ヴィーガンの人向けに豆から作られたクリームを使ったものも登場。時代に合わせて少しずつ改良されています。
「ストロベリー&クリーム」は選手たちにもおなじみ。錦織選手は「毎年食べています。ことしも毎日会場のイチゴを持ち帰って食べています。ここのイチゴはおいししいんですよ」と気に入っています。
また、大坂なおみ選手は、開幕前に大会のイメージを聞かれると「ストロベリー&クリーム。ファンシーでかわいいイメージ」と話していました。
10年前からイチゴ販売の責任者を務め、「サリー・ストロベリー」のニックネームを持つサリー・イグザーさんは「テニスとストロベリー&クリームの関係は切り離せません。大会を体感できるものの1つとして定着しているし、新鮮で形の整ったものにこだわっているんです。毎朝わたくし、サリー・ストロベリーが味のチェックをして、OKを出してから皆さんにご提供しています」と話していました。
大会に関わる人たちの思いがこもり、選手やファンからも長年支持される伝統的な食べ物。ウィンブルドンの魅力はこんなところにもあるようです。