“移動いどう式しきの集中しゅうちゅう治療ちりょう室しつ”エクモカー 同乗どうじょうした記者きしゃが見みた現実げんじつは

ECMOでは体外たいがいに血液けつえきを出だして、酸素さんそを溶け込とけこませて体内たいないに戻もどします。コロナで重おもい肺炎はいえんを起おこした患者かんじゃの肺はいの機能きのうを一時いちじ的てきに代行だいこうすることで、肺はいを休やすませて患者かんじゃの回復かいふくを待まちます。

新型しんがたコロナで重症じゅうしょう化かした人ひとの治療ちりょうに大おおきな役割やくわりを果はたしてきました。この治療ちりょうを患者かんじゃの搬送はんそう中ちゅうにも行おこなえるのが「エクモカー」なのです。

都立とりつ多摩たま総合医療センターそうごういりょうせんた-には救命きゅうめい救急きゅうきゅうが専門せんもんの医師いしや臨床りんしょう工学こうがく技士ぎし、それに重症じゅうしょう治療ちりょうができる全国ぜんこくの医師いしらが加くわわる「日本にっぽんECMOnet」から派遣はけんされた医師いしたち合あわせて7人にんのチームが集あつまっていました。

この日ひのエクモカーの任務にんむは中等ちゅうとう症しょうを受け入うけいれている病院びょういんで、重症じゅうしょう化かした患者かんじゃを重症じゅうしょうの治療ちりょうができる大学だいがく病院びょういんに転院てんいんさせることでした。

この病院びょういんに向むかう途中とちゅうも医療いりょうチームは転院てんいん先さきの病院びょういんに治療ちりょうに必要ひつような器具きぐがそろっているか電話でんわで確認かくにんし、どのような機材きざいを使つかって治療ちりょうするか話し合はなしあいます。

搬送はんそうを要請ようせいされたのは、もともと中等ちゅうとう症しょうで入院にゅういんしていた50代だいの男性だんせい患者かんじゃ。人工じんこう呼吸こきゅう器きを使つかった治療ちりょうを受うけていましたが医療いりょうチームは全身ぜんしんの状態じょうたいを改あらためて確認かくにんし、ECMOを使つかわないと救命きゅうめいが難むずかしいと判断はんだんしました。

医師いしたちは手際てぎわよく装着そうちゃくしますが、ECMOは少すこしでも動うごかなくなると患者かんじゃの命いのちに関かかわるため安定あんてい的てきに動うごくか何なん度ども慎重しんちょうに確認かくにんします。防護ぼうご服ふくを着きたままの医療いりょうチームが患者かんじゃをエクモカーに乗のせることができたのは、病院びょういんへの到着とうちゃくから3時間じかん後ごでした。

大学だいがく病院びょういんの医師いしや看護かんご師しなどとともにおよそ10人にんがかりで患者かんじゃを病室びょうしつに運び込はこびこみ、ECMOや人工じんこう呼吸こきゅう器きなどの装置そうちの調整ちょうせいを行おこないました。

その中なかでも都立とりつ多摩たま総合医療センターそうごういりょうせんた-には転院てんいん要請ようせいが先月せんげつ下旬げじゅんから相次あいついでいて、今いまは「日本にっぽんECMOnet」からの医師いしの派遣はけんを受うけ何なんとか対応たいおうしているということです。

「年末ねんまつから年明としあけの感染かんせん拡大かくだいの第だい3波はや春はるの第だい4波はでは数すう回かいしか出動しゅつどうがなかったが、この夏なつの第だい5波はでは出動しゅつどう要請ようせいが毎日まいにちのように入はいり、8月つき下旬げじゅんからはエクモカーをほぼ連日れんじつ、出動しゅつどうさせている」

今回こんかい、エクモカーに同乗どうじょうして取材しゅざいする間まにも清水しみず医師いしの携帯けいたい電話でんわには新あらたな転院てんいん搬送はんそうの依頼いらいが複数ふくすう寄よせられ、日本にっぽんECMOnetから派遣はけんされた医師いしを依頼いらい先さきに派遣はけんしていました。清水しみず医師いしはこれ以上いじょう要請ようせいが増ふえると対応たいおうが難むずかしいと話はなします。

都立とりつ多摩たま総合医療センターそうごういりょうせんた- ECMOセンター長ちょう 清水しみず敬たかし樹じゅ医師いし

「今回こんかい、転院てんいん搬送はんそうした患者かんじゃはECMOを装着そうちゃくしなければ救命きゅうめいできない状態じょうたいだった。今後こんごも装置そうちの導入どうにゅうが必要ひつような患者かんじゃがいればいつでも出向でむきたいが、運用うんようはギリギリですべての要請ようせいに対応たいおうできていないのが現実げんじつだ。少すこしでも感染かんせん者しゃを減へらし、これ以上いじょうの重症じゅうしょう患者かんじゃを減へらす行動こうどうを多おおくの人ひとにとってもらいたい」

清水しみず医師いしは「エクモカーの連日れんじつの出動しゅつどうは明あきらかに異常いじょう事態じたいだ」と話はなしていますが、ぎりぎりの運用うんようが行おこなわれる状況じょうきょうは今後こんごも続つづくことが予想よそうされます。

ECMOを使つかった治療ちりょうは重症じゅうしょう患者かんじゃの治療ちりょうの「最後さいごのとりで」とも言いわれます。

「救すくえる命いのちが救すくえなくなる」

その一いち歩ほ手前てまえまで来きている状況じょうきょうで、一いち日にちも早はやく感染かんせん者しゃ数すうを大幅おおはばに減へらしエクモカーの出動しゅつどうが減へる状況じょうきょうに戻もどすことが重要じゅうようだと強つよく感かんじました。