新型しんがたコロナ 重症じゅうしょう化かのメカニズムは？ 解明かいめいに向むけ進すすむ研究けんきゅう

日本にっぽん集中しゅうちゅう治療ちりょう医い学会がっかいのデータによりますと、日本にっぽん国内こくないでは、最もっとも重おも篤あつな症状しょうじょうになり、ＥＣＭＯを装着そうちゃくされた患者かんじゃの約やく7割わりが回復かいふくしているということです。

また、血栓けっせんについては、血管けっかん内ないにウイルスが入り込はいりこんだり、免疫めんえきが暴走ぼうそうして自分じぶん自身じしんの体からだを攻撃こうげきする「サイトカインストーム」が起おきたりすることによってできると考かんがえられています。

血栓けっせんで血管けっかんが詰つまって、心筋しんきん梗塞こうそくや脳のう梗塞こうそくなどになり死亡しぼうしたケースが欧米おうべいを中心ちゅうしんに多おおく報告ほうこくされ、ニューヨークの2つの病院びょういんで、重じゅう篤あつし化かした257人にんについて解析かいせきした報告ほうこくによりますと、血栓けっせんができていることを示しめす「Ｄでぃ-ダイマー」と呼よばれる指標しひょうの値ねが高たかく、死亡しぼうのリスクにも関かかわっていたと分析ぶんせきされています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうが、先月せんげつ改訂かいていした医師いし向むけの診療しんりょうの手引てびきの改訂かいてい版ばんでは、血栓けっせんへの対応たいおうを示しめしていて、必要ひつように応おうじて血液けつえきが固かたまるのを防ふせぐ薬くすりを投与とうよするなどといった治療ちりょうを推奨すいしょうしています。

さらに、「サイトカインストーム」が、腎臓じんぞうや肝臓かんぞうなど、複数ふくすうの臓器ぞうきで起おき、多た臓器ぞうき不全ふぜんとなって死しに至いたったとみられるケースも、日本にっぽんをはじめ、各国かっこくで報告ほうこくされています。

こうした症状しょうじょうが見みられる際さいには、免疫めんえきが患者かんじゃの関節かんせつを攻撃こうげきして炎症えんしょうを起おこす病気びょうき、リウマチの治療ちりょうに使つかわれる、免疫めんえきの働はたらきを抑おさえる薬くすりの投与とうよが行おこなわれています。

このほか、子こどもが重症じゅうしょう化かしたケースとして、欧米おうべいでは、全身ぜんしんの血管けっかんに炎症えんしょうが起おきる川崎病かわさきびょうのような症状しょうじょうが報告ほうこくされ、中なかには死亡しぼうしたケースも出でています。

日本にっぽん川崎かわさき病びょう学会がっかいなどによりますと、これまでのところ、国内こくないでは同様どうようのケースは報告ほうこくされていないということですが、学会がっかいでは今後こんごも注視ちゅうしするとしています。

重症じゅうしょう化かしやすいのはどんな人ひと？

ＷＨＯだぶりゅ-えいちお-＝世界せかい保健ほけん機関きかんによりますと、新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんした人ひとのうち、約やく8割わりは症状しょうじょうがないか、軽症けいしょうですみますが、約やく2割わりは重症じゅうしょう化かするとされています。

重症じゅうしょう化かしやすいとみられる人ひととして、アメリカのＣＤＣし-でぃ-し-＝疾病しっぺい対策たいさくセンターは65歳さい以上いじょうの高齢こうれい者しゃに加くわえて、慢性まんせいの肺はいの病気びょうきや、重おもい心臓しんぞう病びょう、糖尿とうにょう病びょう、肝臓かんぞうの病気びょうきなどの持病じびょうがある人ひとのほか、慢性まんせいの腎臓じんぞう病びょうで透析とうせき治療ちりょうを受うけている人ひと、喫煙きつえん者しゃやがんの治療ちりょうや臓器ぞうき移植いしょくなどで免疫めんえき力りょくが低下ていかしている人ひと、それに重度じゅうどの肥満ひまんの人ひとなどをあげています。

ぜんそく患者かんじゃ 重症じゅうしょう化かリスク高たかくないか

新型しんがたコロナウイルスで、どのような人ひとが重症じゅうしょう化かしやすいか、世界せかい各国かっこくで研究けんきゅうが進すすめられていますが、これまで重症じゅうしょう化かしやすいと考かんがえられてきたぜんそくの患者かんじゃについて、国立こくりつ成育せいいく医療いりょう研究けんきゅうセンターで中国ちゅうごくとアメリカの患者かんじゃのデータを解析かいせきしたところ、重症じゅうしょう化かリスクは高たかくはないとみられることが分わかりました。

国立こくりつ成育せいいく医療いりょう研究けんきゅうセンターのグループは、中国ちゅうごくとアメリカなどの論文ろんぶんで示しめされている新型しんがたコロナウイルスの患者かんじゃに関にかんするデータをもとに、気管支きかんしぜんそくの患者かんじゃが重症じゅうしょう化かしやすいかなどについて解析かいせきしました。

それによりますと、約やく2200人にんのデータを調しらべたところ、気管支きかんしぜんそくの持病じびょうがある人ひとは重症じゅうしょう化かした患者かんじゃのうち、5.5％だったのに対にたいし、軽症けいしょう患者かんじゃのうちでは4.1％で十分じゅうぶんな差さが見みられませんでした。

一方いっぽうで、ＣＯＰＤ＝慢性まんせい閉塞へいそく性せい肺はい疾患しっかんや糖尿とうにょう病びょうの持病じびょうがある人ひとは、重症じゅうしょう患者かんじゃに占しめる割合わりあいが明あきらかに高たかかったとしています。

研究けんきゅうグループによりますと、ぜんそく患者かんじゃでは、新型しんがたコロナウイルスが結び付むすびつきやすいたんぱく質たんぱくしつが、鼻はなのまわりで多おおく現あらわれていないことから、感染かんせんしにくい可能かのう性せいがあるほか、感染かんせんした際さいに重症じゅうしょう化かするリスクは高たかくはないとみられるとしています。

国立こくりつ成育せいいく医療いりょう研究けんきゅうセンターの松本まつもと健治けんじ免疫めんえきアレルギー・感染かんせん研究けんきゅう部長ぶちょうは「ぜんそくだからといって過度かどに心配しんぱいすることはないが、新型しんがたコロナウイルスへの感染かんせんを過小かしょう評価ひょうかしてはいけない。ぜんそくの治療ちりょうを続つづけることは大切たいせつで、重症じゅうしょう化かのリスクについてはさらに慎重しんちょうな調査ちょうさが必要ひつようだ」と話はなしています。

新型しんがたコロナ治療ちりょうの医師いし「新型しんがたコロナは全身ぜんしん性せい疾患しっかん」

新型しんがたコロナウイルスの治療ちりょうの中核ちゅうかくを担になう、国立こくりつ国際こくさい医療いりょう研究けんきゅうセンターで患者かんじゃの治療ちりょうに当あたってきた忽那くつな賢志けんじ医師いしは「この感染かんせん症しょうは重症じゅうしょう化かすると肺炎はいえんだけでなく、さまざまな臓器ぞうきで炎症えんしょうが起おきたり、血液けつえきの凝固ぎょうこ異常いじょうがみられたりするなど、呼吸こきゅう器きだけでなく全ぜん身性みじょうの疾患しっかんだという認識にんしきに変かわってきている」と話はなしています。

そのうえで、忽那くつな医師いしは「以前いぜんから指摘してきされているように、高齢こうれいの人ひとや持病じびょうのある人ひとほど重症じゅうしょう化かしやすい傾向けいこうは変かわらない。これまでの治療ちりょう経験けいけんからも、がんや糖尿とうにょう病びょう、慢性まんせいの呼吸こきゅう器き疾患しっかんや高齢こうれいで複数ふくすうの持病じびょうがある人ひとなどは重症じゅうしょう化かしやすく、最悪さいあく、亡なくなることもあるため十じゅう分ふん注意ちゅういすべきだ」と指摘してきしています。

また、肥満ひまんの人ひとや、喫煙きつえんの習慣しゅうかんのある人ひとなども重症じゅうしょう化かしやすいという報告ほうこくがあるとして、「肥満ひまんの人ひとは体重たいじゅうを減へらしたり、たばこを吸すう人ひとは禁煙きんえんするなど、潜在せんざい的てきな重症じゅうしょう化かのリスクを減へらすために、こうした人ひとたちは次つぎの流行りゅうこうに備そなえて生活せいかつ習慣しゅうかんの見直みなおしにも取り組とりくんでほしい」と話はなしています。

さらに、若わかい人ひとでも重症じゅうしょう化かするケースがあるとして「重症じゅうしょう化かする確率かくりつは年齢ねんれいや持病じびょうの有無うむで変かわるが、若わかくて健康けんこうな人ひとでも重症じゅうしょう化かすることはあるため、決けっして油断ゆだんしないでほしい」と話はなしています。