さいたま市大宮区にある自治医科大学付属さいたま医療センターは、これまでに新型コロナウイルスの患者、合わせて32人を受け入れてきました。
このうち12人は、人工呼吸器や肺の機能が低下したときに使う「ECMO」と呼ばれる人工心肺装置が必要な重症患者で、病院では4月から30床ある集中治療室のうち、急きょ6床を専用としました。
また、集中治療室の人員を確保するため、2つの病棟合わせて100床を閉鎖したほか、急を要さない手術を20%減らしていました。
こうした対応や受診控えなどもあって、ことし4月の病院の収入は、前の年に比べ1億7000万円減少したということです。
現在、この病院では3人が引き続き入院していますが、いずれもウイルスの検査では陰性となっているということです。
このため病院では、集中治療室の体制を来週から元に戻し、閉鎖していた病棟を再開するということで、手術についても元に戻していくことを決めたということです。
今後、新たな感染者が出た場合は、ウイルスが拡散しないよう内部の気圧を低くした「陰圧室」にある3床で対応する方針ですが、一方で、感染が再び拡大する「第2波」が起きて、多くの患者が出た場合、すぐに十分な体制を作るのは人員確保などの面から課題が大きいとしています。
讃井將満副センター長は「どのくらい元に戻すのかは悩ましい問題だが、通常の患者を受け入れなければ地域の医療に貢献できない。第2波がきた場合、一気に受け入れ規模を拡大するのは難しい。今回の経験は大きいので次にどう生かすかを考えていきたい」と話していました。